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【新婚旅行編】三日目:分かっちゃいるけど止められない
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すっぽ抜けていた当初の目的を思い出したのは、手遅れなくらいに大幅に脱線し終えた後。魅力的な屋台のご飯で、空きっ腹が八割がた満たされた後だった。
……バアルさんと一緒にご飯を作る為に、食材を揃えに来ていたハズだったのになぁ。
そう思いつつも、大して後悔はしていないからだろう。ジューシーな果汁の美味しさには抗えない。咥えているストローを吸うことを止められない。
バアルさんと二人で手にしているのは、一度はやってみたいなと憧れていた果物の器。ラグビーボールサイズのパイナップルを丸々使った贅沢な一品だ。
アロエみたいにトゲトゲした頭の部分を切り落とし、中身をくり抜いてからジュースにして、二本のストローを添えている。搾りたてなパイナップルのスッキリとした甘さが爽やかで、ついつい飲み進めてしまう。
これをいただく前にも、色々なお品をしっかりガッツリ堪能してしまっているってのに。
まず俺達の目に止まったのはハンバーガー。鉄板で焼かれた肉汁あふれるハンバーグが、スライスしたトマトが、瑞々しいレタスが、とろけるチーズが、フカフカのパンズからはみ出るほどに豪快な一品だった。これだけでも大満足なボリュームだった為、店員さんにお願いして半分こに。
さらには、スパイシーな味付けがクセになる、殻まで美味しく食べられたエビの唐揚げを一パック。も一つおまけに、見た目の華やかさに惹かれたフルーツの盛り合わせまで。
「アオイ、しょっぱいものが欲しくはございませんか? そろそろ喉が乾いたでしょう?」
背中の羽をはためかせ、柔らかな微笑みに隠し切れないワクワク感を滲ませながら提案してきたバアルさん。カッコいいのに可愛い彼からのお誘いにホイホイと釣られて、あれよあれよという間に屋台を満喫してしまったのだ。
……まぁ、楽しかったからいいか。別に昼ご飯じゃなくて、晩ご飯にすればいいだけだし。
ほんの少し前を見つめていた視線は、自然と隣へと向いていた。ほんのり温い木製のベンチに腰掛けている彼へと。
しなやかな指で髪を耳へとかけながら、ジュースを楽しんでいるバアルさん。所作が洗練されているからだろう。頭のないパイナップルに刺さっている二本の内一本、赤いストローを軽く咥えているだけで気品を感じる。
先がくるりと反った細くて長い触角が、風と戯れているかのようにふわふわと揺れている。伏せられた長い睫毛が、照りつけるような日差しによって透けるように煌めいていた。まるで、銀色みたい。ホントは白なのに。緩く後ろへと撫でつけられている髪色と同じで。
やっぱり、カッコよくてキレイだよなぁ……俺の旦那様。
今更なんだけどさ。ふとした時に改めて実感しちゃうっていうか、もっともっと好きが積み重なっていくっていうか…………ええ、まぁ、惚気ですよね、はい。
分かっちゃいるけれど止められないし、そもそも止める気も。とはいえ、問題はないだろう。自分の心の中だけで留めて……
「ふむ、確かに止められませんね。それから、全く持って足りません。愛しい私の妻の愛らしさを……年甲斐も無く募る想いを、幾度となく伝えてはきましたが……」
どうやら、留められていなかったようだ。栓の緩んだ蛇口のように垂れ流しだったみたい。
……バアルさんと一緒にご飯を作る為に、食材を揃えに来ていたハズだったのになぁ。
そう思いつつも、大して後悔はしていないからだろう。ジューシーな果汁の美味しさには抗えない。咥えているストローを吸うことを止められない。
バアルさんと二人で手にしているのは、一度はやってみたいなと憧れていた果物の器。ラグビーボールサイズのパイナップルを丸々使った贅沢な一品だ。
アロエみたいにトゲトゲした頭の部分を切り落とし、中身をくり抜いてからジュースにして、二本のストローを添えている。搾りたてなパイナップルのスッキリとした甘さが爽やかで、ついつい飲み進めてしまう。
これをいただく前にも、色々なお品をしっかりガッツリ堪能してしまっているってのに。
まず俺達の目に止まったのはハンバーガー。鉄板で焼かれた肉汁あふれるハンバーグが、スライスしたトマトが、瑞々しいレタスが、とろけるチーズが、フカフカのパンズからはみ出るほどに豪快な一品だった。これだけでも大満足なボリュームだった為、店員さんにお願いして半分こに。
さらには、スパイシーな味付けがクセになる、殻まで美味しく食べられたエビの唐揚げを一パック。も一つおまけに、見た目の華やかさに惹かれたフルーツの盛り合わせまで。
「アオイ、しょっぱいものが欲しくはございませんか? そろそろ喉が乾いたでしょう?」
背中の羽をはためかせ、柔らかな微笑みに隠し切れないワクワク感を滲ませながら提案してきたバアルさん。カッコいいのに可愛い彼からのお誘いにホイホイと釣られて、あれよあれよという間に屋台を満喫してしまったのだ。
……まぁ、楽しかったからいいか。別に昼ご飯じゃなくて、晩ご飯にすればいいだけだし。
ほんの少し前を見つめていた視線は、自然と隣へと向いていた。ほんのり温い木製のベンチに腰掛けている彼へと。
しなやかな指で髪を耳へとかけながら、ジュースを楽しんでいるバアルさん。所作が洗練されているからだろう。頭のないパイナップルに刺さっている二本の内一本、赤いストローを軽く咥えているだけで気品を感じる。
先がくるりと反った細くて長い触角が、風と戯れているかのようにふわふわと揺れている。伏せられた長い睫毛が、照りつけるような日差しによって透けるように煌めいていた。まるで、銀色みたい。ホントは白なのに。緩く後ろへと撫でつけられている髪色と同じで。
やっぱり、カッコよくてキレイだよなぁ……俺の旦那様。
今更なんだけどさ。ふとした時に改めて実感しちゃうっていうか、もっともっと好きが積み重なっていくっていうか…………ええ、まぁ、惚気ですよね、はい。
分かっちゃいるけれど止められないし、そもそも止める気も。とはいえ、問題はないだろう。自分の心の中だけで留めて……
「ふむ、確かに止められませんね。それから、全く持って足りません。愛しい私の妻の愛らしさを……年甲斐も無く募る想いを、幾度となく伝えてはきましたが……」
どうやら、留められていなかったようだ。栓の緩んだ蛇口のように垂れ流しだったみたい。
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