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★【新婚旅行編】三日目:寂しいって思うこともないかも

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 断続的に鳴り続けている音が、彼が俺のことを好きにしてくれている音が、ますます心地よさを高めてくる。

「あっ、ひ……あ、んぁ、あっ……」

「アオイっ……アオイ……愛して、おります……」

 バアルさんは何度も俺の名を呼んでくれているのに、愛を囁いてくれているのに、俺は何も返せていない。彼の名を呼ぶことも、俺も愛していると伝えることも。ひたすらに求めてくれる彼の頭を撫でることも、広い背中を抱き締め返すことも。

 ただ、気を抜けば目の前が真っ白に染められてしまう快感に全身を震わせるだけ。深く深く愛してもらえるがまま、逞しい腕の中で情けのない声を上げ続けるだけだった。

 ひたすらに俺の奥を突いている彼の腰つきは、広いベッドを揺らすほど。額に滲み、顎から伝い落ちている玉のような汗からも、その激しさを分からされた。

 とめどなくもたらされている心地よさに溺れていると、彼が切なそうな声で訴えてきた。

「くっ……あっ、また……申し訳、ございません……出します……受け止めて、下さいね……っ」

 何度目の宣言だっけ。数えるという単純なことさえ出来ないから、せっかく彼が教えてくれているのに分からない。

 構える間もなく、強い快感がもたらされた。大きな先端で俺の最奥を抉るように、引き締まった腰に力強く打ちつけられた。

 隙間なく抱き締めてくれている、鍛え抜かれた長身が熱い。首元をキツく吸われながら、俺が彼のものだという証を再びつけてもらいながら、絶頂を迎える。

「ッッ……」

 とはいっても、深くイっちゃったなって感覚があるだけだ。なんせ、ずっとイきっぱなし。奥を突いてもらっているだけで、口づけてもらっているだけで、簡単に頭の芯が痺れてしまうんだから。

「あ、あっ、ふ……はひ……」

 バアルさんに限界はないんだろうか。もう結構中に出してもらっているのに、注ぎ込まれている熱の勢いも、量も、一回目の時となんら変らない。衰える気配がない。

 こんなに何度も出してもらえちゃったら、バアルさんのものが抜かれても、俺のお腹ん中……いっぱいになっちゃっていそうだな。寂しいって思うこともないかも。

 バアルさんと繋がれているのが幸せ過ぎるせいかな? 愛してもらえた後はくっついていないと、すぐにバアルさん不足になっちゃうんだよな。俺が欲張りなだけかもしれないけどさ。

 ふと、気持ちのいい波が和らいでいることに気づく。バアルさんを見上げようとしていた丁度に呼ばれた。何故か、寂しそうな声で。

「……アオイ」

 どうやら、何か考えごとをしていた、というところだけが伝わってしまっていたらしい。俺を求めてくれていた腰の動きはすっかり止まってしまっている。俺の手を取って、自分だけを見て欲しいと言わんばかりに、手のひらに頬を擦り寄せてきた。

 ……バアルさんのことを考えていたんだけどな。

 伝えたいのだけれども、新鮮な空気を取り込むだけで精一杯。じゃあ、せめて行動でと、感覚はボヤけているが上体に力を込めてみた。

 ちょっぴり上がったけれども、彼との距離を詰めるには足りない。もう少しと、踏ん張ったところでバアルさんが微笑んでくれた。汲み取って、口づけてくれた。

「は、ぁ……ん、んっ、は……ふ、ん……」

 抱き抱えてもらえて、再び彼の膝の上へ。やっぱりこの体勢の方が、さらに奥まで入ってこれるらしい。段差の大きな先端が、内壁を擦りながら進んだことで俺はまた全身を震わせてしまっていた。

 止まらない快感に溺れていると頭の中で声が聞こえた。聞き間違えるハズのない穏やかな低音が、またどこか寂しそうな声で尋ねてきた。

『……先程は、何を考えていらしたのでしょうか?』

 流石の察しの良さだ。答えられないけれども伝えたいという想いが伝わっていたらしい。一時的に念話が出来るように、意識を繋げてくれたみたい。早速、俺は強く念じてみた。

『バアルに、いっぱい出してもらってるから……だから、抜かれちゃった後でも、お腹の中、寂しくないかなって』

 ちゃんと伝わったハズだ。伝えられたと思う。何で自信がないのかというと、あやふやなのだ。念じた後の出来事が、ほとんど全部。

 ぼんやりと覚えているのは、カーテンの隙間が少し明るくなってきていても、気持ちいいのが続いていたってことくらい。俺がちょっぴり気を失ってしまっても、またとびきりの愛を伝えてもらえていたってことくらいだ。
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