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【新婚旅行編】一日目:出迎えてくれたのは、真っ青なオーシャンビュー
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魔法陣が放つ光が収まった先は、大きな窓から望めるオーシャンビュー。
とても術で再現したとは思えない、真っ青な水平線が俺達を出迎えてくれた。
「スゴい……ホントに直通っていうか、もう、ここがホテルの部屋の中ってこと……ですよね?」
「ええ、左様でございます」
高い天井からは螺旋型のシャンデリアが、眩い明かりをお供の水晶の飾りと共に提供してくれている。石造りの床に敷かれた絨毯は、いかにも生地が良さそう。実際、足元の踏み心地もふわふわしているし。
今、俺達が居るこの部屋が、メインのお部屋なんだろう。窓辺にある丸いテーブルの他に、中央辺りに広い長方形のテーブルがあり、その周囲を囲むようにCの形をした大きなソファーがある。近くには一人用のソファーもいくつか。
ここだけでも、皆さんとお茶会をするには十分だし。術でテーブルを片付けてもらわなくとも、バアルさんとダンスが踊れそう。なのに、隣にも部屋がある。扉がなく、いくつかのアーチ型の柱によって区切られているだけのあちら側も、ちらりと見えている部分だけでも広そうだ。
目の前に広がっている空間は、とてもホテルの一室とは。ていうか、ホントに二人部屋なのか? ざっと見ただけでも、部屋の総数を把握出来ないんだけど。そもそも、二階があるし。
流石、王族御用達の五つ星。おまけにサタン様とヨミ様の為にご用意されているお部屋。次元が違うなぁ……
「泊まりではなくとも、僅かなひと時の気分転換にお忍びで訪れることもございましたので。お二方の寛ぎの時間を邪魔せぬよう、お部屋に直接転送出来るようにしたのです」
「ああ、確かにその方が気軽に来れますもんね。誰かに見つかる心配もないですから、認識阻害の術をかけなくてもいいですし」
王族御用達とはいえ、他のお客さんも居る。けれどもチェックインの必要がなければ、会うとしても事情をご存知な従業員さんだけ。お忍びで羽根を伸ばすにはもってこいの場所だろう。
しかし、そういった事情を知ってしまうと、ますます心配になるんだけど。
「……あの、この部屋……ホントに俺が来ちゃっても」
手を握られた。白くて大きな手に恭しく指先をそっと取られて、上から包み込むようにもう一方が重ねられる。
「サタン様も、ヨミ様も、以前から度々仰っておりました」
「え……?」
「いつかアオイ様を此方にお招きしたいと。ですが、私めが我儘を申してしまったが故に、遅れてしまったのですが……」
細く長い触覚と一緒に、緩やかなアーチを描いていた眉が下がっていく。どこか気恥ずかしそうに伏せられた、白い睫毛が銀糸のように美しい。
いくら察しの悪い俺でも思い至ってしまった。期待してしまっていた。
とても術で再現したとは思えない、真っ青な水平線が俺達を出迎えてくれた。
「スゴい……ホントに直通っていうか、もう、ここがホテルの部屋の中ってこと……ですよね?」
「ええ、左様でございます」
高い天井からは螺旋型のシャンデリアが、眩い明かりをお供の水晶の飾りと共に提供してくれている。石造りの床に敷かれた絨毯は、いかにも生地が良さそう。実際、足元の踏み心地もふわふわしているし。
今、俺達が居るこの部屋が、メインのお部屋なんだろう。窓辺にある丸いテーブルの他に、中央辺りに広い長方形のテーブルがあり、その周囲を囲むようにCの形をした大きなソファーがある。近くには一人用のソファーもいくつか。
ここだけでも、皆さんとお茶会をするには十分だし。術でテーブルを片付けてもらわなくとも、バアルさんとダンスが踊れそう。なのに、隣にも部屋がある。扉がなく、いくつかのアーチ型の柱によって区切られているだけのあちら側も、ちらりと見えている部分だけでも広そうだ。
目の前に広がっている空間は、とてもホテルの一室とは。ていうか、ホントに二人部屋なのか? ざっと見ただけでも、部屋の総数を把握出来ないんだけど。そもそも、二階があるし。
流石、王族御用達の五つ星。おまけにサタン様とヨミ様の為にご用意されているお部屋。次元が違うなぁ……
「泊まりではなくとも、僅かなひと時の気分転換にお忍びで訪れることもございましたので。お二方の寛ぎの時間を邪魔せぬよう、お部屋に直接転送出来るようにしたのです」
「ああ、確かにその方が気軽に来れますもんね。誰かに見つかる心配もないですから、認識阻害の術をかけなくてもいいですし」
王族御用達とはいえ、他のお客さんも居る。けれどもチェックインの必要がなければ、会うとしても事情をご存知な従業員さんだけ。お忍びで羽根を伸ばすにはもってこいの場所だろう。
しかし、そういった事情を知ってしまうと、ますます心配になるんだけど。
「……あの、この部屋……ホントに俺が来ちゃっても」
手を握られた。白くて大きな手に恭しく指先をそっと取られて、上から包み込むようにもう一方が重ねられる。
「サタン様も、ヨミ様も、以前から度々仰っておりました」
「え……?」
「いつかアオイ様を此方にお招きしたいと。ですが、私めが我儘を申してしまったが故に、遅れてしまったのですが……」
細く長い触覚と一緒に、緩やかなアーチを描いていた眉が下がっていく。どこか気恥ずかしそうに伏せられた、白い睫毛が銀糸のように美しい。
いくら察しの悪い俺でも思い至ってしまった。期待してしまっていた。
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