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★【番外編】ひたすらに甘やかして6

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 押し倒された勢いは、まるで飢えた獣に飛びかかられたようだった。けれども、まだ紳士な彼は残っているらしい。

 それはそれは丁寧に、ズボンごとボクサーパンツを優しく脱がされたのだ。

 そのまま彼を受け入れる為の準備を始めてもらえるかと思いきや、トレーナーをシャツごとたくし上げられ、胸元を撫でられて。すでに硬くなっている乳首を指先で軽く摘まれたのだ。

「あ、んっ……バアル……」

 丁寧にしてくれなくてもいいのに……もう心の準備は出来たから、我慢してくれなくていいのに……

 心の隅っこで、ちょっぴり思っただけ。なのにバアルさんにはお見通しだったらしい。

「大丈夫ですよ、アオイ……心配なさらないで……今宵はまだ始まったばかりなのですから……ゆっくり致しましょう?」

 親指と人差指の腹同士を擦り合わせるように俺の乳首を撫でてくれながら、また満遍なく額に頬にとキスを送ってくれながら。

 熱を帯びて、ますます艶と渋さを増した声が、幼い子供を諭すように語りかけてくる。

「貴方様の緊張が解れてきたとはいえ、久方ぶりなのですから……疲れたら休めばよいのです……そうして、また愛し合いましょう?」

「ふ、ぁ……ちゃんと、最後まで……してくれます? バアルさんの……俺にくれますか?」

「ええ……無論、私めはそのつもりでしたよ? 御身を抱かせて欲しいと願った時から……」

 緑の瞳がうっとりと微笑んだ。息を呑むどころか思わず喉を鳴らしてしまった俺を見て。

「安心して頂けましたか? では、いっぱい気持ちよくなられて下さいね……私は、まだ貴方様を甘やかし足りないのです……」

 十分甘やかしてもらったんだけれど。

 思ったけれども飲み込んだ俺の首を、形の良い唇が甘く食んでくる。柔らかい温もりが触れてくれた部分が、ジンと熱を持つ。俺が苦労した証を容易く付けてくれながら、あそこへも手を伸ばしてきた。

「ん……は、ぁっ……」

 すでに濡らしてしまっている竿が、大きな手のひらに包まれた。根元からカリ首まで繰り返しゆったり撫でてもらう度に、はしたない音が鳴ってしまう。

 気持ちがいいんだけれど、やっぱり恥ずかしい。何度致してもらっても、慣れることはないんだろうな。

 バアルさんも分かってくれているのか、首周りから顔を離して口づけてくれる。恥ずかしさなんて吹き飛ぶように、気持ちいいってことしか考えられなくなるように、深く深く交わしてくれる。

「ふ、ぅん……ん、んっ……ぁ、ん、んふ……っ」

 あっさり俺は虜になっていた。

 バアルさんからのキスに応えようと必死に舌を伸ばして、動かして。俺のものを可愛がってくれている手の動きを追うように腰を振って。乳首の先端を撫でられる度に上擦った声を上げて。

 あっさり俺は上り詰めていた。

 強烈な刺激をもらった訳ではない。ひたすらに優しく優しく甘やかしてもらえただけ。でも、止めることなく一滴一滴落とされて、満たされて、突然あふれてしまったかのように重たい熱が込み上げてきたんだ。

「ッ…………んんっ……は……ぅ、ぁ……」

 甘く痺れて、頭の天辺から全身へ。波紋みたいに広がっていく心地よさに浸る間もなく次がもたらされる。もう一度、優しく優しく追い詰められていく。

 分かってはいたけれども、俺は欲張りな男だ。さっき満たされたばかりなのに、もう溺れてしまっているんだから。逞しい彼の身体にしがみついて、腰を揺らしてしまっているんだから。

 みっともないなって、浅ましいなってのも分かってる。でも、いいんだ。

「ひ、ぁ……バアル、バアル……っ」

「ふふ、気持ちいいのですね……可愛いですよ、アオイ……もっと私に夢中になられて下さい……もっと愛らしく乱れる御姿を私に見せて下さい……」

 バアルさんは喜んでくれるから。どんな俺でも受け止めて、愛してくれるから。だから素直に全部をさらけ出せるんだ。
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