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【番外編】ハレの日だから4
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「え……?」
音と光の正体は投影石だった。微笑むレタリーさんの手で、バッチリ記念に収められてしまったらしい。それから、しっかり見られてもいた。ニコニコ微笑むヨミ様達に。
「ひょわ……すみませ……」
「はっはっは、気にすることはない! 存分に楽しんでくれ! 貴殿らが主役なのであるからな!」
「そうじゃ、そうじゃ。ほれ、ワインはどうじゃ? ローストビーフに良く合うぞ」
大変ご満悦そうに笑うヨミ様の言葉に頷きながら、サタン様がバアルさんにグラスを差し出した。透明なグラスは赤みがかった紫色の液体で満たされている。
そう言えばバアルさん、ワインが好きなんだっけ。でも。
「なんじゃ、バアル飲まぬのか? 貴殿の一番好きな銘柄じゃろう?」
「お気遣いありがとうございます……ですが……」
「……バアルさん」
やっぱり例の件を気にしているらしい。断ろうとしている彼の袖を引き、内緒話がしたいのだと自分の口元に片手を当てて示す。
察しのいい彼はすぐに汲み取ってくれて、俺が耳元で話しやすいように身体を屈めてくれた。
「……遠慮しないで下さい、俺なら大丈夫ですよ……お酒臭くなっても……キス出来……いえ、したいです……二人っきりになれたら、いっぱい……だから」
ハレの日だから我慢しないで欲しい。ハレの日だから……バアルさんと……
そう思って伝えたようとしたのだけれど、最後まで言わせてもらえなかった。勢いよく抱き締められてしまったのだ。
ぎゅってしてもらえているんだから……喜んではくれている、よな?
「……えっと……バアルさん?」
頼もしい背に腕を回しながら尋ねると囁かれた。
「アオイ……お気持ちは誠に嬉しいのですが、それ以上は……衝動のままに貴方様を連れて行ってしまいたくなります……今すぐにでも、二人っきりになれる場所へ」
余裕のない低い声に、想像以上な嬉しいお返事に、背筋に淡い感覚が走ってしまう。
確実に伝わってしまっただろう。一際大きく高鳴って、今も踊り狂っている俺の心音が。
「ひょわ……ご、ごめんなひゃい……」
「いえ」
短く答えて、離れていってしまった彼に向けてだろう。ヨミ様がぽつりと呟いた。
「私は、別に構わないのだがな……貴殿らが抜け出しても」
「わしらが適当に誤魔化せば良いからのう」
サタン様にも聞こえていたらしい。そういや、耳がいいんだっけ、俺よりも。忘れていた。
「ヨミ様っ、サタン様まで…………あまり、この老骨めを甘やかさないで下さい……」
珍しくお二人に向かって声を大にしたものの、顔が真っ赤っ赤では。お二人も俺と一緒で可愛いなと思っているんだろう。ただただ、我が子を愛でるように微笑むだけだ。
「それで、お召し上がりになられますか?」
そんな時でもレタリーさんは平常運転。長い尾羽根を揺らしながら、ワインの入ったグラスを差し出してくる。
「頂きます……一杯だけ」
バアルさんは、気恥ずかしそうに睫毛を伏せながらグラスを受け取った。俺はぶどうのジュースを頂いた。
音と光の正体は投影石だった。微笑むレタリーさんの手で、バッチリ記念に収められてしまったらしい。それから、しっかり見られてもいた。ニコニコ微笑むヨミ様達に。
「ひょわ……すみませ……」
「はっはっは、気にすることはない! 存分に楽しんでくれ! 貴殿らが主役なのであるからな!」
「そうじゃ、そうじゃ。ほれ、ワインはどうじゃ? ローストビーフに良く合うぞ」
大変ご満悦そうに笑うヨミ様の言葉に頷きながら、サタン様がバアルさんにグラスを差し出した。透明なグラスは赤みがかった紫色の液体で満たされている。
そう言えばバアルさん、ワインが好きなんだっけ。でも。
「なんじゃ、バアル飲まぬのか? 貴殿の一番好きな銘柄じゃろう?」
「お気遣いありがとうございます……ですが……」
「……バアルさん」
やっぱり例の件を気にしているらしい。断ろうとしている彼の袖を引き、内緒話がしたいのだと自分の口元に片手を当てて示す。
察しのいい彼はすぐに汲み取ってくれて、俺が耳元で話しやすいように身体を屈めてくれた。
「……遠慮しないで下さい、俺なら大丈夫ですよ……お酒臭くなっても……キス出来……いえ、したいです……二人っきりになれたら、いっぱい……だから」
ハレの日だから我慢しないで欲しい。ハレの日だから……バアルさんと……
そう思って伝えたようとしたのだけれど、最後まで言わせてもらえなかった。勢いよく抱き締められてしまったのだ。
ぎゅってしてもらえているんだから……喜んではくれている、よな?
「……えっと……バアルさん?」
頼もしい背に腕を回しながら尋ねると囁かれた。
「アオイ……お気持ちは誠に嬉しいのですが、それ以上は……衝動のままに貴方様を連れて行ってしまいたくなります……今すぐにでも、二人っきりになれる場所へ」
余裕のない低い声に、想像以上な嬉しいお返事に、背筋に淡い感覚が走ってしまう。
確実に伝わってしまっただろう。一際大きく高鳴って、今も踊り狂っている俺の心音が。
「ひょわ……ご、ごめんなひゃい……」
「いえ」
短く答えて、離れていってしまった彼に向けてだろう。ヨミ様がぽつりと呟いた。
「私は、別に構わないのだがな……貴殿らが抜け出しても」
「わしらが適当に誤魔化せば良いからのう」
サタン様にも聞こえていたらしい。そういや、耳がいいんだっけ、俺よりも。忘れていた。
「ヨミ様っ、サタン様まで…………あまり、この老骨めを甘やかさないで下さい……」
珍しくお二人に向かって声を大にしたものの、顔が真っ赤っ赤では。お二人も俺と一緒で可愛いなと思っているんだろう。ただただ、我が子を愛でるように微笑むだけだ。
「それで、お召し上がりになられますか?」
そんな時でもレタリーさんは平常運転。長い尾羽根を揺らしながら、ワインの入ったグラスを差し出してくる。
「頂きます……一杯だけ」
バアルさんは、気恥ずかしそうに睫毛を伏せながらグラスを受け取った。俺はぶどうのジュースを頂いた。
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