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【番外編】ハレの日だから3
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それは、少し前のこと。
再び、無事に迎えることが出来たハレの日に、俺とバアルさんは皆さん方が見守ってくれている中、ヨミ様とサタン様の前で指輪を交換し、誓いのキスを交わすことが出来た。
鳴り止むことのない祝福の声に包まれながら、俺は夢見心地のままバアルさんと、皆さんと、心の赴くままに踊って、笑って。
十分に楽しんだ後、お色直しをするべく一旦ダンスホールと化した会場を後にしたんだ。
戻って来た頃には、今度は立食パーティーの会場へと早変わり。スヴェンさん特製のウェディングケーキを一緒に入刀、ヨミ様が乾杯の音頭を取って。
それから、レダさん達やシアンさん達、お城の皆さん方からかわるがわるお祝いの言葉をいただいてと、賑やかな忙しさが落ち着いてきた頃のことだった。
「バアル、アオイ殿、お疲れ様」
「挨拶やらで、飲む暇も食べる暇もなかったじゃろ? 一通り見繕ってきたんじゃが……」
「他にも必要な物がございましたら、何なりと私にお申しつけ下さい」
ヨミ様、サタン様、レタリーさんが、飲み物の入ったグラスや料理が盛られたお皿を手に、此方へと来たのは。
ついさっきまで、俺達と同様にご挨拶に忙しかったハズなのに。お気遣いに感謝しつつ頭を下げてお皿を受け取ろうとして、大きな手に先を越された。これまたお気遣いに長けているバアルさんが、買って出てくれたのだ。
「ありがとうございます」
「いえ」
瞳を細めたバアルさんが、早速盛られていたメインの一つを、ピンク色の断面がキレイなローストビーフをフォークで刺して、俺の口元へと運んでくれる。
「どうぞ」
「いただきますっ」
食べやすいようにあらかじめ小さめに切ってあるとはいえ肉厚そう。食べごたえがありそうだ。
しかし、俺の予想は外れた。
「ん……めちゃくちゃ柔らかい……美味しいですっ」
あっさりと噛めて、旨味たっぷりなお肉の味が広がったのだ。よく言う、歯がいらないってヤツだ。
うっかり大興奮ではしゃいでしまっていた俺を見て、バアルさんが柔らかな笑みを深くする。オールバックの生え際から生えている、金属のような光沢を帯びた触覚を揺らしながら、再びお肉を差し出してきた。
「ふふ、それは何よりです。もう一口いかがですか?」
「はいっ……あ、でも今度は俺が……」
「左様でございますか……では、宜しくお願い致します」
フォークを受け取って、渋いお髭が素敵な口元へと。形の良い唇がお肉を綺麗に召し上がって、柔らかな笑みを描いた。
「……これは、仰られた通り……蕩けるような柔らかさでございますね……大変美味しいです」
「ですよねっ」
好きな人と美味しさを共有出来て、俺は舞い上がってしまっていた。バアルさんしか見えなくなってしまっていた。
そのことに気がついたのは、パシャリと音がしてから。瞬いた光の方へと顔を向けてからだった。
再び、無事に迎えることが出来たハレの日に、俺とバアルさんは皆さん方が見守ってくれている中、ヨミ様とサタン様の前で指輪を交換し、誓いのキスを交わすことが出来た。
鳴り止むことのない祝福の声に包まれながら、俺は夢見心地のままバアルさんと、皆さんと、心の赴くままに踊って、笑って。
十分に楽しんだ後、お色直しをするべく一旦ダンスホールと化した会場を後にしたんだ。
戻って来た頃には、今度は立食パーティーの会場へと早変わり。スヴェンさん特製のウェディングケーキを一緒に入刀、ヨミ様が乾杯の音頭を取って。
それから、レダさん達やシアンさん達、お城の皆さん方からかわるがわるお祝いの言葉をいただいてと、賑やかな忙しさが落ち着いてきた頃のことだった。
「バアル、アオイ殿、お疲れ様」
「挨拶やらで、飲む暇も食べる暇もなかったじゃろ? 一通り見繕ってきたんじゃが……」
「他にも必要な物がございましたら、何なりと私にお申しつけ下さい」
ヨミ様、サタン様、レタリーさんが、飲み物の入ったグラスや料理が盛られたお皿を手に、此方へと来たのは。
ついさっきまで、俺達と同様にご挨拶に忙しかったハズなのに。お気遣いに感謝しつつ頭を下げてお皿を受け取ろうとして、大きな手に先を越された。これまたお気遣いに長けているバアルさんが、買って出てくれたのだ。
「ありがとうございます」
「いえ」
瞳を細めたバアルさんが、早速盛られていたメインの一つを、ピンク色の断面がキレイなローストビーフをフォークで刺して、俺の口元へと運んでくれる。
「どうぞ」
「いただきますっ」
食べやすいようにあらかじめ小さめに切ってあるとはいえ肉厚そう。食べごたえがありそうだ。
しかし、俺の予想は外れた。
「ん……めちゃくちゃ柔らかい……美味しいですっ」
あっさりと噛めて、旨味たっぷりなお肉の味が広がったのだ。よく言う、歯がいらないってヤツだ。
うっかり大興奮ではしゃいでしまっていた俺を見て、バアルさんが柔らかな笑みを深くする。オールバックの生え際から生えている、金属のような光沢を帯びた触覚を揺らしながら、再びお肉を差し出してきた。
「ふふ、それは何よりです。もう一口いかがですか?」
「はいっ……あ、でも今度は俺が……」
「左様でございますか……では、宜しくお願い致します」
フォークを受け取って、渋いお髭が素敵な口元へと。形の良い唇がお肉を綺麗に召し上がって、柔らかな笑みを描いた。
「……これは、仰られた通り……蕩けるような柔らかさでございますね……大変美味しいです」
「ですよねっ」
好きな人と美味しさを共有出来て、俺は舞い上がってしまっていた。バアルさんしか見えなくなってしまっていた。
そのことに気がついたのは、パシャリと音がしてから。瞬いた光の方へと顔を向けてからだった。
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