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【番外編】ただ、貴方にありがとうと2
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どんなに見渡しても果ての見えない狭間での、お目当てのお花集めも中々に大変だった。だけど、まだ始まってもいない。本番は地獄へと、僕達の家へと帰ってきてから。ここからが、ブーケ作りの本当の始まりだ。
なのに、出だしっから僕は躓いてしまっていた。
「なぁ、グリム……アオイ様とバアル様の為にって意気込んじまってるのも、あれもこれもと欲張りたい気持ちも分かるけどな……流石にもっと小さくしないとアオイ様が持ちづらいんじゃないか?」
「あっ…………そう、ですよね……」
クロウに言われてやっと気付いた。僕の手元が、オレンジと緑と白であふれそうになってしまっていた。
もっと華やかにしたいな、もっとキレイにしたいなとお花を手にしている内に、モリモリになってしまった花束は、アオイ様の小さなお顔を簡単に隠せてしまうほど。
ということは、重さもそれなりになってしまっているんだろう。あの可愛らしい手では、持っているだけで疲れてしまうに違いない。
初めてのブーケの時に思い知ったってのになぁ。僕達の基準じゃダメだって。
あの時も僕は浮足立っていた。張り切っていた。
アオイ様とバアル様にとって……いや、僕達にとっても特別な日だったから、めいいっぱいのお祝いをしたくて。アオイ様の大好きな緑とバアル様にとって大切なオレンジだけじゃなくて、赤も、黄色も、白も、青も……と僕達が探せただけの色と種類を集めたブーケを作ったんだ。作ってしまったんだ。
クロウですら気付けなかった失敗に気付いたのは、アオイ様に贈ってからだった。僕が手渡した花束を驚きと喜びが混ざった顔でアオイ様が、両腕をめいいっぱいに広げて受け取ってくれてからだった。
僕達は、すっかり忘れてしまっていたのだ。アオイ様が人間だということを。僕達よりも力が弱くて、儚い存在だってことを。
いや、意識しなくなっていたってのが近いかもしれない。自分達と同じ存在だって認識してしまうほどに、アオイ様が居ることが当たり前になっていたんだと思う。
だから、あの時は。
「そうだな……ここのバラとヒマワリを少なくしたらどうだ? そうしたら、華やかさはそのままに……小さく、軽く出来るんじゃないか?」
「っ……そ、そうですね」
……いけない、いけない。大事なブーケ作りの最中にぼーっとしちゃうなんて。
気を取り直して、じっくりと手元を見る。確かにクロウが指し示してくれているお花を外せば、バランスは崩さないまま小さく出来そう。
少しずつ手元からテーブルへとお花を外していく。全体を眺めながら、クロウと相談しながら。
「ん……いい感じなんじゃないか?」
「はいっ、後は……ラッピングですね」
といっても、お花が主役だからリボンを結ぶだけなんだけど。
クロウに手伝ってもらいながら、茎を紐で結んだ。このままじゃあ長いから、持ちやすい長さにカット。それから緑とオレンジのリボンを飾り用の結び方で。
「よし、完成だな」
「はいっ……喜んでもらえますかね?」
返してくれる言葉は分かっていたし、期待していた。でも、僕は尋ねずにはいられなかった。だって、クロウに言ってもらえると。
「当たり前だろう? グリムが想いを込めて作ったんだ。必ずお二人に伝わるさ」
クロウに言ってもらえると、勇気が湧いてくるから。
「……ありがとうございます」
ああ、やっぱり。目の前の微笑みにつられてすぐに頬が緩んでいく。胸の真ん中がぽかぽかして、身体がふわふわして、もうスキップを踏んじゃいそう。
「……でも、僕だけじゃないですよ。クロウの気持ちもこもってるでしょう?」
テーブルの向かいから頭を撫でてくれていた手が止まる。金色の瞳が少しだけ揺れて「……そうだな」と照れくさそうに細められた。
なのに、出だしっから僕は躓いてしまっていた。
「なぁ、グリム……アオイ様とバアル様の為にって意気込んじまってるのも、あれもこれもと欲張りたい気持ちも分かるけどな……流石にもっと小さくしないとアオイ様が持ちづらいんじゃないか?」
「あっ…………そう、ですよね……」
クロウに言われてやっと気付いた。僕の手元が、オレンジと緑と白であふれそうになってしまっていた。
もっと華やかにしたいな、もっとキレイにしたいなとお花を手にしている内に、モリモリになってしまった花束は、アオイ様の小さなお顔を簡単に隠せてしまうほど。
ということは、重さもそれなりになってしまっているんだろう。あの可愛らしい手では、持っているだけで疲れてしまうに違いない。
初めてのブーケの時に思い知ったってのになぁ。僕達の基準じゃダメだって。
あの時も僕は浮足立っていた。張り切っていた。
アオイ様とバアル様にとって……いや、僕達にとっても特別な日だったから、めいいっぱいのお祝いをしたくて。アオイ様の大好きな緑とバアル様にとって大切なオレンジだけじゃなくて、赤も、黄色も、白も、青も……と僕達が探せただけの色と種類を集めたブーケを作ったんだ。作ってしまったんだ。
クロウですら気付けなかった失敗に気付いたのは、アオイ様に贈ってからだった。僕が手渡した花束を驚きと喜びが混ざった顔でアオイ様が、両腕をめいいっぱいに広げて受け取ってくれてからだった。
僕達は、すっかり忘れてしまっていたのだ。アオイ様が人間だということを。僕達よりも力が弱くて、儚い存在だってことを。
いや、意識しなくなっていたってのが近いかもしれない。自分達と同じ存在だって認識してしまうほどに、アオイ様が居ることが当たり前になっていたんだと思う。
だから、あの時は。
「そうだな……ここのバラとヒマワリを少なくしたらどうだ? そうしたら、華やかさはそのままに……小さく、軽く出来るんじゃないか?」
「っ……そ、そうですね」
……いけない、いけない。大事なブーケ作りの最中にぼーっとしちゃうなんて。
気を取り直して、じっくりと手元を見る。確かにクロウが指し示してくれているお花を外せば、バランスは崩さないまま小さく出来そう。
少しずつ手元からテーブルへとお花を外していく。全体を眺めながら、クロウと相談しながら。
「ん……いい感じなんじゃないか?」
「はいっ、後は……ラッピングですね」
といっても、お花が主役だからリボンを結ぶだけなんだけど。
クロウに手伝ってもらいながら、茎を紐で結んだ。このままじゃあ長いから、持ちやすい長さにカット。それから緑とオレンジのリボンを飾り用の結び方で。
「よし、完成だな」
「はいっ……喜んでもらえますかね?」
返してくれる言葉は分かっていたし、期待していた。でも、僕は尋ねずにはいられなかった。だって、クロウに言ってもらえると。
「当たり前だろう? グリムが想いを込めて作ったんだ。必ずお二人に伝わるさ」
クロウに言ってもらえると、勇気が湧いてくるから。
「……ありがとうございます」
ああ、やっぱり。目の前の微笑みにつられてすぐに頬が緩んでいく。胸の真ん中がぽかぽかして、身体がふわふわして、もうスキップを踏んじゃいそう。
「……でも、僕だけじゃないですよ。クロウの気持ちもこもってるでしょう?」
テーブルの向かいから頭を撫でてくれていた手が止まる。金色の瞳が少しだけ揺れて「……そうだな」と照れくさそうに細められた。
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