593 / 906
【番外編】ひたすらに甘やかして11
しおりを挟む
長く長く愛してもらえたのに、大して身体が怠くなっていないのは、バアルさんがかけてくれた自然治癒の術のお陰だろう。
「おはようございます……アオイ」
目覚めてすぐに微笑む瞳とかち合って。蕩けるような笑みを浮かべた唇に触れてもらえた。最高の贅沢だ。
「お、おはようございます……バアルさん……」
お返しに俺からもキスを送ってから気づく。全身にもシーツにも昨晩の名残は一切ない。でも、下着すら纏ってはいなかった。
それは、俺に腕枕をしてくれている彼も同じ。神秘的な白い肌を、濃い陰影のついたカッコいい身体を、余すことなく明るい日差しのもとに晒してしまわれている。
心臓に悪い……エッチ過ぎる……
とはいえ、俺は欲望に忠実過ぎる男だ。目の前に、無防備に好きな人が素肌を晒してしまっていたら、ついつい見惚れてしまう。なんなら、触りたく……
「ふぇ……ちょっ、バアルさん……?」
見透かされてしまったんだろう。どこか艶っぽい笑みを浮かべたかと思えば、手を取られて導かれていた。
食い入るように見つめてしまっていた彼の身体に。更には腹筋の凸凹をなぞるように動かされてしまった。嬉しいけれども、これはマズい。
「昨晩の続きをと……結局、此方もですが……触覚や羽にも触れて頂けなかったでしょう?」
「そ、それは……そう、ですけど……」
「大丈夫ですよ……アオイが触って欲しいと望んで頂ければ、すぐに触って差し上げます……お好みの触り方で……」
笑みを深くして、今度は俺の腰にするりと手を回した。
撫でながら尋ねてくる。最初は優しく甘やかすように、次は淡い感覚を引き出すように。二つのパターンを実演してくれてから「どちらをご所望でしょうか?」と。
これはもう、考えちゃったことまでバレていそう。朝っぱらなのに、エッチな気分になっちゃってることも。すっかり期待しちゃってることも。
それでも部屋が明るいからか、ヘタれな俺が顔を出してくる。
「で、でも……お菓子作らないと……約束しましたよね? 一緒に作るって……」
「ええ、左様でございますね」
けれども、俺の扱い方を俺以上に熟知しているバアルさんは、さくりと俺の逃げ道を塞いできた。
「ですから、この部屋だけ時間の流れを遅くしております。もし昨晩のように愛し合っても……午後の茶会までには、十分に間に合わせることが出来ますよ?」
何かを言う前に、触れるだけのキスで塞がれた。ますます期待値が上がってしまっている俺に、優しい声で尋ねてくる。
「アオイ……どうか素直なお気持ちを聞かせて下さい……今、私に求められて困っておられますか? それとも……期待して、下さってますか?」
そっと手を繋がれて、寂しさを滲ませた瞳で見つめられて、お願いされたのだ。応えなくては。
「……引いちゃわない? ……あんなにしてもらったのに、朝からも、だなんて……」
「はて、何度も申し上げていた筈ですが? 私は、いつ何時でもお持ちしておりますと……貴方様が私を求めて下さるのを……」
「バアル……」
胸を温かく満たしてくれている想いを伝えたくて、俺から口を押しつけた。嬉しそうに瞳を細めた彼は、すぐに甘く食んでくれた。
でも、何故か彼の手は俺の胸元へと伸びてきた。まだ硬くなってはいない乳首の周りをなぞるように優しく撫でてきたんだ。
「んむ、ふ……ぁ、あっ、バアル……お、俺が、触るんじゃ?」
あの流れだったら、先ずは俺の番だと思っていたんだけど? 俺がいっぱい触らせてもらってから、バアルさんに……ってハズじゃ?
「おや、違いましたか? 私の目には、貴方様が期待して下さっていたように見えておりましたが……」
「う……っ……期待、してた……でも、触りたいなって、思ってたのも……ホントだから……」
「では、後ほど宜しくお願い致します……」
どうやら、今のところ俺には権利がないらしい。バアルさんが満足してくれるまで、ひたすら甘やかしてもらうことになりそうだ。
「おはようございます……アオイ」
目覚めてすぐに微笑む瞳とかち合って。蕩けるような笑みを浮かべた唇に触れてもらえた。最高の贅沢だ。
「お、おはようございます……バアルさん……」
お返しに俺からもキスを送ってから気づく。全身にもシーツにも昨晩の名残は一切ない。でも、下着すら纏ってはいなかった。
それは、俺に腕枕をしてくれている彼も同じ。神秘的な白い肌を、濃い陰影のついたカッコいい身体を、余すことなく明るい日差しのもとに晒してしまわれている。
心臓に悪い……エッチ過ぎる……
とはいえ、俺は欲望に忠実過ぎる男だ。目の前に、無防備に好きな人が素肌を晒してしまっていたら、ついつい見惚れてしまう。なんなら、触りたく……
「ふぇ……ちょっ、バアルさん……?」
見透かされてしまったんだろう。どこか艶っぽい笑みを浮かべたかと思えば、手を取られて導かれていた。
食い入るように見つめてしまっていた彼の身体に。更には腹筋の凸凹をなぞるように動かされてしまった。嬉しいけれども、これはマズい。
「昨晩の続きをと……結局、此方もですが……触覚や羽にも触れて頂けなかったでしょう?」
「そ、それは……そう、ですけど……」
「大丈夫ですよ……アオイが触って欲しいと望んで頂ければ、すぐに触って差し上げます……お好みの触り方で……」
笑みを深くして、今度は俺の腰にするりと手を回した。
撫でながら尋ねてくる。最初は優しく甘やかすように、次は淡い感覚を引き出すように。二つのパターンを実演してくれてから「どちらをご所望でしょうか?」と。
これはもう、考えちゃったことまでバレていそう。朝っぱらなのに、エッチな気分になっちゃってることも。すっかり期待しちゃってることも。
それでも部屋が明るいからか、ヘタれな俺が顔を出してくる。
「で、でも……お菓子作らないと……約束しましたよね? 一緒に作るって……」
「ええ、左様でございますね」
けれども、俺の扱い方を俺以上に熟知しているバアルさんは、さくりと俺の逃げ道を塞いできた。
「ですから、この部屋だけ時間の流れを遅くしております。もし昨晩のように愛し合っても……午後の茶会までには、十分に間に合わせることが出来ますよ?」
何かを言う前に、触れるだけのキスで塞がれた。ますます期待値が上がってしまっている俺に、優しい声で尋ねてくる。
「アオイ……どうか素直なお気持ちを聞かせて下さい……今、私に求められて困っておられますか? それとも……期待して、下さってますか?」
そっと手を繋がれて、寂しさを滲ませた瞳で見つめられて、お願いされたのだ。応えなくては。
「……引いちゃわない? ……あんなにしてもらったのに、朝からも、だなんて……」
「はて、何度も申し上げていた筈ですが? 私は、いつ何時でもお持ちしておりますと……貴方様が私を求めて下さるのを……」
「バアル……」
胸を温かく満たしてくれている想いを伝えたくて、俺から口を押しつけた。嬉しそうに瞳を細めた彼は、すぐに甘く食んでくれた。
でも、何故か彼の手は俺の胸元へと伸びてきた。まだ硬くなってはいない乳首の周りをなぞるように優しく撫でてきたんだ。
「んむ、ふ……ぁ、あっ、バアル……お、俺が、触るんじゃ?」
あの流れだったら、先ずは俺の番だと思っていたんだけど? 俺がいっぱい触らせてもらってから、バアルさんに……ってハズじゃ?
「おや、違いましたか? 私の目には、貴方様が期待して下さっていたように見えておりましたが……」
「う……っ……期待、してた……でも、触りたいなって、思ってたのも……ホントだから……」
「では、後ほど宜しくお願い致します……」
どうやら、今のところ俺には権利がないらしい。バアルさんが満足してくれるまで、ひたすら甘やかしてもらうことになりそうだ。
45
お気に入りに追加
485
あなたにおすすめの小説
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる