間違って地獄に落とされましたが、俺は幸せです。

白井のわ

文字の大きさ
上 下
461 / 1,055

★ そっちが問題なくても、こっちは大有りなんですけど

しおりを挟む
 俺が、いつもよりドキドキしちゃってるのと一緒で、彼もドキドキしてくれているんだろうか。

 だったら、甲斐があったというものだ。まだ、ちょっぴり恥ずかしいけれど、えっちな下着を穿いた甲斐が。

 引き締まった長い腕が、俺を丁重に抱き起こしめてくれる。彼の太ももを跨ぐ形で膝の上に乗せてもらい、近くなれた目線。薄い涙の膜に覆われた、緑の煌めきに見惚れてしまう。

 どちらともなく唇を重ね、抱き締め合う。鼻先を擽る濃いハーブの匂い、伝わってくる激しい心音。

 ……ああ、やっぱり一緒なんだ。嬉しいな。

 泣きたくなるような喜びで心が満たされていく。けれども、同時に強い渇きを覚えてしまう。俺が欲張りな男だからだ。たっぷり彼に愛してもらえても、もっと、もっと欲しくなってしまうからだ。

「っは……バアルさ……」

「……大丈夫ですよ、私も一緒でございます」

 尋ねる前に、教えてくれた。

 腰を強く抱き寄せられて、触れ合ってしまう。いつの間にか大きさを増した彼のものと、すでに勃ち上がってしまっている俺のものとが。

 真っ直ぐに俺を見つめてくれる瞳は、欲に濡れていた。

「貴方様が欲しくて堪りません……ですから、ご一緒に……」

「うん、俺も……一緒がいい……あぁっ……」

 引き締まった首に腕を絡める間もなく、強い快感に襲われた。

 彼が突き上げるように腰を揺らす度に、ひと回り以上大きな熱と薄い布越しに擦れ合って、甘い痺れが走って。もう、気持ちいいってことしか考えられない。

 艶のある吐息が唇に触れた。誘うように舌を伸ばせば、すぐに彼も応じてくれた。嬉しい。

「はっ……ふぁ……ん、んむ……」

 上からも、下からも、いやらしい音がする。思わず顔を覆いたくなるような。

 多分、下の方は俺のせい。さっき一回イっちゃったから。もう濡らしちゃってたから、余計にするんだと思う。現に、あまり穿いている感覚がない。直接擦れ合っているような気がする。

 ゆっくり、少しずつ、二人で高め合っている最中だった。

「んんっ……」

 不意の刺激に思わず身体を仰け反らせてしまう。原因は言わずもがな。尖った喉をくつくつ震わせ、淡い光を帯びた羽をぱたぱたはためかせている彼、バアルさんだ。

 俺の反応に気をよくしたんだろう。楽しそうに微笑んだまま、指を動かすのを止めない。摘んだばかりの乳首を軽く揉んでいる。一緒がいいって言ったのに。

「っあ……も、バアル……今は胸、ダメ……ひぁっ……イっちゃうから……」

「問題はございませんよ……何度でも気持ちよくさせて差し上げます。タイミングも合わせますので」

 こっちは大有りなんですけど。

 浮かんだ訴えを口にする間もなく、艷やかに微笑む唇に塞がれた。

 夢中にされてしまった。巧みなキスに、指使いに。まぁ、そもそも敵う訳がないのだけれど。バアルさんのことが、好きで好きで仕方がない俺が。

「んっ、んぁっ……バアル、気持ちい……あっ、俺、また……」

「大丈夫ですよ、そのまま達してしまわれて……」

「あっ、あぁっ……ッ…………ふ、ぁ………」

「可愛いですよ、私のアオイ……もっと蕩けたお顔を見せて下さい……」

 もう、何回目だろう。バアルさんの彫刻のように盛り上がった腹筋に、神秘的な透き通った肌に、自分の欲をぶち撒けてしまったのは。

 数えたところでって話だが。

 それに、今更だ。優しい彼に甘やかされっぱなしの現状を、受け入れているどころじゃない。くびれた腰に足を絡めて全身で抱きついて、彼にキスを強請りながら、はしたなく腰を振ってしまっているのだから。

「ん、んっ、バアル……もっと……」

 ああ、ほら、言葉でも。

 重ねたままの額を擦り寄せながら強請れば、すぐに次へと導いてくれていた。でも、今回は違った。ずっと気持ちよくしてくれていた指先が離れていってしまう。俺を揺さぶっていた、逞しい腰の動きまで。

「……バアル?」

 物欲しそうな声で呼んでしまった。

 大きな手が頬を撫でてくれる。どこか気恥かしそうに伏せられた、長い睫毛が震えていた。

「申し訳ございません……少々我慢していて下さい……私めも、そろそろ限界ですので……」

 言われてみれば。

 触れ合っている彼のものは、音が伝わってきそうなほどに脈打っていた。その長さも、大きさも、先程までとは比べ物にならない。合わせるって、そういうことか。

「嬉しい……分かった……俺、頑張るから……一緒に気持ちよくなろうね……」

「ありがとうございます」

 律儀だな。お礼なんて言わなくていいのに。

 穏やかに微笑む唇が、優しく口づけてくれる。再び彼が、ゆっくりと動き出す。

 でも、最初だけ。ホントに余裕がないんだろう。両手で俺の腰を掴んで固定して、激しく突き上げてくる。もし、俺が彼のものを全部受け入れられるようになったら。今みたく、お膝の上でしてもらえたら。こんな風に抱いてもらえるのかな。

 余計な想像をしてしまったからだ。自分で自分を追い詰めてしまった。

 一気に込み上げてきた喜びと一緒に、重たい快感がせり上がってくる。限界を訴えるように全身が、腰が、びくびく震え始める。

「あっ、あっ、バアル……ごめ、俺……きちゃう……も、イっちゃ……」

「はっ……畏まり、ました……一緒に参りましょう……」

 結局、合わせてくれたのは彼の方だった。

 もうとっくに下着としての意味をなしていない濡れそぼった布地を、擦れ合っている俺達の先端を、大きな手のひらが撫で回す。それがトドメになった。俺にとっても、彼にとっても。

「あぅっ……あっ、あぁっ…………ん、は……ふ……」

「くっ…………っ……ん、は……ぁ……」

 強く抱き締め合いながら、荒い吐息を漏らす口を押しつけ合いながら、俺達は全身を震わせた。

 腹の間に放たれた熱すら心地いい。一緒にイけたばかりなのに、また気持ちよくなってしまう。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

家族になろうか

わこ
BL
金持ち若社長に可愛がられる少年の話。 かつて自サイトに載せていたお話です。 表紙画像はぱくたそ様(www.pakutaso.com)よりお借りしています。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

処理中です...