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喜ばせるつもりが、喜ばされてしまうなんて
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「ひょわ……」
下にスクロールすればするほど過激になっていく。俺が想像していた際どいの、ブーメランタイプのものなんて序の口で。大事な部分の布は最低限、後は紐だけってもの。なんなら、お尻が丸だしになってしまうものまである。下着の意味とは。
「着けたまま、挿入する為でしょうね」
俺の目線や反応で察したのだろう。相変わらず察しが良い。平然とした顔で、淡々と説明してくれた。
「あ、成る程。合理的? ですね……」
意味、あったな……ちゃんと、しかもえっちな。にしても、バアルさん……リアクション薄くないか?
調べる前は、あんなに喜びを全身で表現してくれていたのに。
俺が見やすいように、ゆったりめのペースで画面をスクロールしてくれている彼はいつも通り。凛とした雰囲気は執事服を纏っている時のような、術を教えてくれている時のような。
あんまり、好みじゃないんだろうか。
まぁ、どちらかといえば、バアルさんのが似合いそうなんだよな。この黒いブーメランタイプのとか。バアルさんの彫刻みたいに盛り上がった逞しい身体と、白い素肌に目茶苦茶合いそう。
「此方を注文致しましょうか?」
「ふぇっ」
目線を合わせるように少し屈んで、彼が指差したのは黒いブーメラン。しまった。バレバレなんだった。
「ああ、勿論。貴方様のお望み通り、私が穿かせて頂きますので、ご心配なさらず」
まさか、そこまでお見通しとは。っていうか、今穿くって言ってくれたのか? バアルさんが? コレを?
想像の中の彼が身に着けただけで、胸が高鳴ってしまう。何故か身体の奥のほうが、きゅっと疼いてしまう。
「えっ……穿いて、くれるんですか?」
「はい。私も貴方様の喜びが、何よりの幸福でございますので」
寄りかかっていた身体を弾むように起こし、向き直っていた俺にバアルさんが微笑む。
なんという棚ぼた。喜ばせるつもりが、喜ばされてしまうだなんて。
「そもそも貴方様が、この老骨の為に着飾って頂けるのですから、私も全身全霊でお応えしなければ無作法というものでございましょう?」
緩やかな笑みを形作った唇が、甘く優しく囁く。それだけで、ぞくぞく震えてしまった俺の背を撫でてくれてから、頬に優しく触れてくれた。
「……バアル」
「ですから、此方も注文致しましょうか」
「え」
「解く際は、アオイの手でお願い致しますね」
悪戯っぽく微笑んで、彼が購入ボタンらしきものに触れる。
対象は、黒の紐パンだった。しかも、局部の布地が最低限なヤツ。バアルさんが穿いたらえっちだなとか。そもそも全部収まるのかなとか、思い浮かべていたヤツだ。いや、嬉しいけどさ。
「アオイは、黒がお好きなのでしょうか?」
「うぇ……ば、バアルさんの肌、白くてキレイだから……そのカッコいいかなって……」
「左様でございましたか」
「って、俺の好みばっかりじゃないですか! バアルさんの! バアルさんのを探しましょうよっ!!」
俺が訴えても、ご満悦そうなバアルさんは擽ったそうに笑うばかり。なんなら「他にリクエストはございませんか?」と宝石よりも美しい瞳を煌めかせて催促してくる。
いやいや、目的が変わってるんですが? 俺だって喜ばせたいんですけど!
下にスクロールすればするほど過激になっていく。俺が想像していた際どいの、ブーメランタイプのものなんて序の口で。大事な部分の布は最低限、後は紐だけってもの。なんなら、お尻が丸だしになってしまうものまである。下着の意味とは。
「着けたまま、挿入する為でしょうね」
俺の目線や反応で察したのだろう。相変わらず察しが良い。平然とした顔で、淡々と説明してくれた。
「あ、成る程。合理的? ですね……」
意味、あったな……ちゃんと、しかもえっちな。にしても、バアルさん……リアクション薄くないか?
調べる前は、あんなに喜びを全身で表現してくれていたのに。
俺が見やすいように、ゆったりめのペースで画面をスクロールしてくれている彼はいつも通り。凛とした雰囲気は執事服を纏っている時のような、術を教えてくれている時のような。
あんまり、好みじゃないんだろうか。
まぁ、どちらかといえば、バアルさんのが似合いそうなんだよな。この黒いブーメランタイプのとか。バアルさんの彫刻みたいに盛り上がった逞しい身体と、白い素肌に目茶苦茶合いそう。
「此方を注文致しましょうか?」
「ふぇっ」
目線を合わせるように少し屈んで、彼が指差したのは黒いブーメラン。しまった。バレバレなんだった。
「ああ、勿論。貴方様のお望み通り、私が穿かせて頂きますので、ご心配なさらず」
まさか、そこまでお見通しとは。っていうか、今穿くって言ってくれたのか? バアルさんが? コレを?
想像の中の彼が身に着けただけで、胸が高鳴ってしまう。何故か身体の奥のほうが、きゅっと疼いてしまう。
「えっ……穿いて、くれるんですか?」
「はい。私も貴方様の喜びが、何よりの幸福でございますので」
寄りかかっていた身体を弾むように起こし、向き直っていた俺にバアルさんが微笑む。
なんという棚ぼた。喜ばせるつもりが、喜ばされてしまうだなんて。
「そもそも貴方様が、この老骨の為に着飾って頂けるのですから、私も全身全霊でお応えしなければ無作法というものでございましょう?」
緩やかな笑みを形作った唇が、甘く優しく囁く。それだけで、ぞくぞく震えてしまった俺の背を撫でてくれてから、頬に優しく触れてくれた。
「……バアル」
「ですから、此方も注文致しましょうか」
「え」
「解く際は、アオイの手でお願い致しますね」
悪戯っぽく微笑んで、彼が購入ボタンらしきものに触れる。
対象は、黒の紐パンだった。しかも、局部の布地が最低限なヤツ。バアルさんが穿いたらえっちだなとか。そもそも全部収まるのかなとか、思い浮かべていたヤツだ。いや、嬉しいけどさ。
「アオイは、黒がお好きなのでしょうか?」
「うぇ……ば、バアルさんの肌、白くてキレイだから……そのカッコいいかなって……」
「左様でございましたか」
「って、俺の好みばっかりじゃないですか! バアルさんの! バアルさんのを探しましょうよっ!!」
俺が訴えても、ご満悦そうなバアルさんは擽ったそうに笑うばかり。なんなら「他にリクエストはございませんか?」と宝石よりも美しい瞳を煌めかせて催促してくる。
いやいや、目的が変わってるんですが? 俺だって喜ばせたいんですけど!
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