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とある王様達の二次会
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飲み足りない気分ではあった。
とはいえ、だ。一応、私はこの国の主。そんな私がいつまでも兵舎の食堂で、大事な部下達の憩いの場で、朝まで飲み明かす訳にはいかない。父上達もいるのだから、尚更だ。
隊長であるレダはともかく、私達が居座っていては、楽しめるものも楽しめないであろうからな。
そこでバアルとアオイ殿を、主役の二人を見送ったところで場所を移動。スヴェンの厚意に甘え、城の本棟にある彼の戦場、厨房にて二次会を行うことにしたのだ。
食堂を後にする際、アオイ殿の親衛隊であるサロメ達には、別棟の見張りを休むようにと告げておいた。今宵は特別な夜であるからな。のんびり過ごして欲しかったのだ。そもそも昼の間も、彼等には大変頑張ってもらっていたからな。丁度いいだろう。
代わりに別棟には私と父上、それからレタリーとレダの写し身を配置した。万が一があった場合には、即座に本体である私達とバアルに連絡。後、アオイ殿の保護を最優先に、侵入者の即刻排除に動くよう命じて、自動的に巡回するようにしてある。
意識を写し身から切り離す分、多少魔力の消耗は増すだろうが、安いものだ。バアルとアオイ殿が、夫婦水入らずの時間を過ごせるのであれば。
ああ、まだ婚約であったか。とはいえ間もなく儀式を、我らが神の前で永遠を誓うのだ。もう、夫婦と言っても気が早いことはないだろう。
そうだ。もうすぐ実現するのだ。
皆の祝福を受けながら、白いタキシードに身を包むバアル。そしてバアルの手を取り歩むアオイ殿。彼がバアルと揃いのタキシードに花嫁さんなベールを纏った姿を、二人の晴れ姿を、この目で拝むことが出来るのだ。
楽しみであるなぁ……
楽しみ過ぎて、今宵から眠れる気がしな……
…………さ……ま、…………よみ…………さま……
「ヨミ様」
「おわっ……と、なんだ……レタリーか。どうした?」
呼びかけられた方を向けば、秘書殿が困ったような顔をして佇んでいた。その手には、真っ赤なワインで満たされたグラスがある。
私が寛いでいた席。木製の丸テーブルの上に、その杯を静かに置いてから、長い尾羽根をしょんもり下げる。
「どうしたも、こうしたもないですよ。ワインのお代わりをご所望されたかと思えば、ずっと上の空でニヤニヤなさって……」
大げさに息を吐き、肩をすくめた彼の瞳が私をじっと見てから移る。
釣られてそちらへと顔を向ければ、隣のテーブルでジョッキを傾けていた隊長殿が、これまた困ったように雄々しい眉毛を下げた。
そう言えば、そうだった。頼んでいたことすら忘れてしまっていたとは。悪いことをしたな。
「すまなかったな、私が頼んだのに放っておいてしまって……ありがとう、レタリー」
「いえ。感慨にふけられるのは、一向に構わないのですが」
一度言葉を切ってから、レタリーが続ける。
「また、お二人のことを考えておられるのか、単に酔われておられるのか。後者ならば、レダ殿のお力を借り、協力してベッドへお運びすべきかと悩んでおりました」
「なんと……」
どうやら私は、また連行される寸前だったらしい。しかも、以前のようにレタリーとレダに両脇を抱えられる形で。
心配してくれるのは有り難いんだが、二度目は勘弁願いたい。
なんせ、あの時は、結構な数の兵士達やメイド達に見られた挙げ句、温かい眼差しを向けられてしまったからな。王の沽券に関わるというものだ。
「ヨミはこの程度では酔わぬから、大丈夫じゃろうとワシは言ったんじゃがのう」
とはいえ、だ。一応、私はこの国の主。そんな私がいつまでも兵舎の食堂で、大事な部下達の憩いの場で、朝まで飲み明かす訳にはいかない。父上達もいるのだから、尚更だ。
隊長であるレダはともかく、私達が居座っていては、楽しめるものも楽しめないであろうからな。
そこでバアルとアオイ殿を、主役の二人を見送ったところで場所を移動。スヴェンの厚意に甘え、城の本棟にある彼の戦場、厨房にて二次会を行うことにしたのだ。
食堂を後にする際、アオイ殿の親衛隊であるサロメ達には、別棟の見張りを休むようにと告げておいた。今宵は特別な夜であるからな。のんびり過ごして欲しかったのだ。そもそも昼の間も、彼等には大変頑張ってもらっていたからな。丁度いいだろう。
代わりに別棟には私と父上、それからレタリーとレダの写し身を配置した。万が一があった場合には、即座に本体である私達とバアルに連絡。後、アオイ殿の保護を最優先に、侵入者の即刻排除に動くよう命じて、自動的に巡回するようにしてある。
意識を写し身から切り離す分、多少魔力の消耗は増すだろうが、安いものだ。バアルとアオイ殿が、夫婦水入らずの時間を過ごせるのであれば。
ああ、まだ婚約であったか。とはいえ間もなく儀式を、我らが神の前で永遠を誓うのだ。もう、夫婦と言っても気が早いことはないだろう。
そうだ。もうすぐ実現するのだ。
皆の祝福を受けながら、白いタキシードに身を包むバアル。そしてバアルの手を取り歩むアオイ殿。彼がバアルと揃いのタキシードに花嫁さんなベールを纏った姿を、二人の晴れ姿を、この目で拝むことが出来るのだ。
楽しみであるなぁ……
楽しみ過ぎて、今宵から眠れる気がしな……
…………さ……ま、…………よみ…………さま……
「ヨミ様」
「おわっ……と、なんだ……レタリーか。どうした?」
呼びかけられた方を向けば、秘書殿が困ったような顔をして佇んでいた。その手には、真っ赤なワインで満たされたグラスがある。
私が寛いでいた席。木製の丸テーブルの上に、その杯を静かに置いてから、長い尾羽根をしょんもり下げる。
「どうしたも、こうしたもないですよ。ワインのお代わりをご所望されたかと思えば、ずっと上の空でニヤニヤなさって……」
大げさに息を吐き、肩をすくめた彼の瞳が私をじっと見てから移る。
釣られてそちらへと顔を向ければ、隣のテーブルでジョッキを傾けていた隊長殿が、これまた困ったように雄々しい眉毛を下げた。
そう言えば、そうだった。頼んでいたことすら忘れてしまっていたとは。悪いことをしたな。
「すまなかったな、私が頼んだのに放っておいてしまって……ありがとう、レタリー」
「いえ。感慨にふけられるのは、一向に構わないのですが」
一度言葉を切ってから、レタリーが続ける。
「また、お二人のことを考えておられるのか、単に酔われておられるのか。後者ならば、レダ殿のお力を借り、協力してベッドへお運びすべきかと悩んでおりました」
「なんと……」
どうやら私は、また連行される寸前だったらしい。しかも、以前のようにレタリーとレダに両脇を抱えられる形で。
心配してくれるのは有り難いんだが、二度目は勘弁願いたい。
なんせ、あの時は、結構な数の兵士達やメイド達に見られた挙げ句、温かい眼差しを向けられてしまったからな。王の沽券に関わるというものだ。
「ヨミはこの程度では酔わぬから、大丈夫じゃろうとワシは言ったんじゃがのう」
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