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涙ながらに託されて、はたまた祝福されて
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「は、はいぃっ! って大丈夫ですくわぁっ!?」
反射的に伸ばした身体を襲った衝撃。肩の辺りとお腹周りに同時に受けた重みによって、声が裏返ってしまっていた。一体、何が。
「ヨミ様、グリムさん、お気持ちはお察しします。ですが、華奢なアオイ様に向かって、全速力で飛びつくのはいかがなものかと」
私めの防御障壁があるとはいえ、と続けるバアルさんの声は、ちょっぴり苦笑気味だった。
って、え? 俺、飛びつかれていたの? 二人から?
今更ながら気がついた。俺とバアルさんを同時に抱き締めている、しなやかな腕の存在に。それから、俺の胸元にくっついている薄紫色の頭に。腰にぎゅうぎゅう抱きついてきているのは、グリムさんの腕か。
……全っ然見えなかったんだけど。体感的には、お二人が瞬間移動でもしてきた気分だ。やっぱり身体能力ヤバいな。
改めて、皆さんとの種族差を実感、感心していると、今度はしょんぼり声のハーモニー。
「……すまない」
「……ごめんなさい」
此方も涙に滲んでいた。
「いえ、そんな、全然大丈夫ですよ。バアルさんのお陰で、痛くもなんともなかったですし」
びっくりはしたけれど。
でも、泣いて謝るほどじゃ……いや、元から泣いてたんだっけ? あれ?
疑問は、ますます加速していくことになる。
「本当に、ぐすっ……本当に、この時を待ち侘びておったぞ……どうか、ひぐっ……どうかバアルを……よろしく、うぇぇぇっ」
涙ながらにヨミ様から、バアルさんを託され。
「ひっく、おめでとう……ございます……まさか僕達も、うぇっ……立ち会えるなんて……僕、ずっと夢見てて、お二人の幸せを……この目でって……だから、僕、僕……うわぁぁぁんっ」
号泣するグリムさんから、祝福されたことによって。
「えっと……ありがとうございます?」
「感謝するのは、私の方で……うぇぇぇっ」
「そう……ですよ、ありがとうございま……うわぁぁぁんっ」
……どうしたら、いいんだろうか。
ますます困惑する俺と、涙に濡れる二人。そこへ救世主達が、それぞれの保護者達が来てくださった。
「ほれほれ、ヨミや、一旦離れなさい。アオイ殿とバアルが困っておるじゃろ」
「ヨミ様、此方へ……お顔をお拭きいたします」
「冷たいお水もございますよ」
流石お父さん。サタン様の呼びかけに、俺達を解放したヨミ様が、ふらりと吸い寄せられていく。
ついた途端、膝から崩れ落ちかけていたところを、レダさんとレタリーさんが左右からナイスキャッチ。サタン様から頭を撫でられている。
その後も、隊長殿と秘書殿のコンビネーションは完璧だった。レダさんがハンカチで丁寧にヨミ様のお顔を拭ってから、レタリーさんがグラスの水をゆっくり飲ませている。器用だ。お二人とも、長身なヨミ様を支えたままなのに。
「ほら、グリム」
此方も流石お師匠さん。柔らかく微笑むクロウさんが、たった一言呼びかけただけ。それだけで、あっさりと長い両腕を広げて待つ彼の胸元に、グリムさん自らふらふらと収まっていった。
クロウさんは、片腕で軽々とグリムさんを抱っこしながら、彼の背中を優しくぽんっぽんっと宥めている。
……これは当分の間、あちらのお話を伺う場合でもなければ、俺達がお話する場合でもないな。
「とにもかくにも、ヨミ様とグリムさんが落ち着いてからですね、バアルさ……バアルさん!?」
反射的に伸ばした身体を襲った衝撃。肩の辺りとお腹周りに同時に受けた重みによって、声が裏返ってしまっていた。一体、何が。
「ヨミ様、グリムさん、お気持ちはお察しします。ですが、華奢なアオイ様に向かって、全速力で飛びつくのはいかがなものかと」
私めの防御障壁があるとはいえ、と続けるバアルさんの声は、ちょっぴり苦笑気味だった。
って、え? 俺、飛びつかれていたの? 二人から?
今更ながら気がついた。俺とバアルさんを同時に抱き締めている、しなやかな腕の存在に。それから、俺の胸元にくっついている薄紫色の頭に。腰にぎゅうぎゅう抱きついてきているのは、グリムさんの腕か。
……全っ然見えなかったんだけど。体感的には、お二人が瞬間移動でもしてきた気分だ。やっぱり身体能力ヤバいな。
改めて、皆さんとの種族差を実感、感心していると、今度はしょんぼり声のハーモニー。
「……すまない」
「……ごめんなさい」
此方も涙に滲んでいた。
「いえ、そんな、全然大丈夫ですよ。バアルさんのお陰で、痛くもなんともなかったですし」
びっくりはしたけれど。
でも、泣いて謝るほどじゃ……いや、元から泣いてたんだっけ? あれ?
疑問は、ますます加速していくことになる。
「本当に、ぐすっ……本当に、この時を待ち侘びておったぞ……どうか、ひぐっ……どうかバアルを……よろしく、うぇぇぇっ」
涙ながらにヨミ様から、バアルさんを託され。
「ひっく、おめでとう……ございます……まさか僕達も、うぇっ……立ち会えるなんて……僕、ずっと夢見てて、お二人の幸せを……この目でって……だから、僕、僕……うわぁぁぁんっ」
号泣するグリムさんから、祝福されたことによって。
「えっと……ありがとうございます?」
「感謝するのは、私の方で……うぇぇぇっ」
「そう……ですよ、ありがとうございま……うわぁぁぁんっ」
……どうしたら、いいんだろうか。
ますます困惑する俺と、涙に濡れる二人。そこへ救世主達が、それぞれの保護者達が来てくださった。
「ほれほれ、ヨミや、一旦離れなさい。アオイ殿とバアルが困っておるじゃろ」
「ヨミ様、此方へ……お顔をお拭きいたします」
「冷たいお水もございますよ」
流石お父さん。サタン様の呼びかけに、俺達を解放したヨミ様が、ふらりと吸い寄せられていく。
ついた途端、膝から崩れ落ちかけていたところを、レダさんとレタリーさんが左右からナイスキャッチ。サタン様から頭を撫でられている。
その後も、隊長殿と秘書殿のコンビネーションは完璧だった。レダさんがハンカチで丁寧にヨミ様のお顔を拭ってから、レタリーさんがグラスの水をゆっくり飲ませている。器用だ。お二人とも、長身なヨミ様を支えたままなのに。
「ほら、グリム」
此方も流石お師匠さん。柔らかく微笑むクロウさんが、たった一言呼びかけただけ。それだけで、あっさりと長い両腕を広げて待つ彼の胸元に、グリムさん自らふらふらと収まっていった。
クロウさんは、片腕で軽々とグリムさんを抱っこしながら、彼の背中を優しくぽんっぽんっと宥めている。
……これは当分の間、あちらのお話を伺う場合でもなければ、俺達がお話する場合でもないな。
「とにもかくにも、ヨミ様とグリムさんが落ち着いてからですね、バアルさ……バアルさん!?」
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