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バアルさんを押し倒そう! 大作戦! 協力:コルテ
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「……おや、いかがなさいましたか? アオイ様」
コルテ先生の講義に対して、おお! だの、スゴい! だの、はしゃいでいたからだ。気づくのが遅れてしまった。
いつの間にか佇み、俺に影を落としていた長身。シンプルな白いシャツ、ゆったりめの黒いズボンというリラックス姿なバアルさんが、ソファーに腰掛ける俺の顔を覗き込むように見つめていた。
「ひょわっ」
待ち人からの呼びかけにドキっとして、さらにもう一丁。緩めた襟元からチラリと覗いてしまっている胸板に、浮き出た鎖骨のキレイなラインに、違う意味で鼓動が跳ねてしまった。
何とか誤魔化さないと……そんな考えだけが先行したんだろう。
「な、何でもないですよ! コルテなんて居ませんよ! 俺達、何にも企んでいませんから、全然!」
その結果がコレである。
いやぁ、なんて見事な自白だ。素早く身を隠してくれたコルテも今頃、くりくりお目々をしょんぼり潤ませていることだろう。いやホント、ごめん。
長い睫毛を瞬かせ、シャープな顎に指を当て、しばらく黙ってから「……ふむ」と頷く。清潔感のある白い髭が素敵な口元が、ふわりと綻んだ。
「……左様でございますか」
あんまりにもあんまりだったんだろうか。言及しないでいてくれるらしい。
いや無いのか、聞きたいことが。大体、言っちゃったしな……俺が全部。ちくしょう。
「それで、いかがなさいますか?」
決行前から頭を抱えている俺の横へ、静かに腰を下ろしたバアルさん。しなやかな指が、優しい目元にサラリとかかった艷やかな髪を耳へかける。長く筋肉質な腕が、俺の腰へと回された。
抱き寄せられ、優しい体温と密着してしまう。頬をゆるりと撫でられたせいだ。もう俺の心臓は小躍りし始めちゃってたのに、ますますドキドキと走り出してしまったんだ。
「ご教示頂けますでしょうか? 貴方様のお望みを叶える為に、私めがすべきことを」
「は、はぃ……その、まずは……べ、ベッドまで一緒に来て欲しい、です……」
「畏まりました」
嬉しそうに瞳を細めた彼の触覚が、ふわふわ揺れている。ごくごく自然に俺を抱き上げてから、額に口づけてくれた。
「ひぇ……」
……いかん。もう、バアルさんのペースになりつつあるのでわ? もう、俺、そわそわしちゃってるんだけど?
彼にとっては軽いスキンシップなんだろう。でも俺にとっては、とんでもない大サービス。供給過多もいいとこだ。お陰様で心の隅っこから滲み出てしまっている。
もう、このままバアルさんに甘やかしてもらいたいな……だなんて、ふわっふわな願望が漏れ出してしまっている。それだと、さっきと同じだってのに。
ときめきっぱなしの自分に喝を入れた。せっかくコルテが協力してくれてるんだ。せめて、押し倒すところまでは頑張らないと。
「お次は、いかが致しましょうか?」
「ふぇっ」
また、ワンテンポ遅れてしまった。律儀にベッドの側に立ち、俺のお呼びがかかるまで待ってくれていたようだ。
反射的に身体を揺らした俺の背を、ゆったり撫でてくれている。
「あ、えっと……お膝の上にお邪魔させてもらいたいです。それから、足を伸ばしててくれませんか?」
「はい、貴方様のお望みのままに」
俺を抱えたまま、器用にベッドインしたバアルさん。スラリと伸びた足を寛げてから、ご自身の太ももを跨がせるような形で俺をひょいっと抱き直してくれた。
バッチリだ。後は無事に彼を押し倒せたら万々歳なのだが。
「次のご指示はございますか?」
「いえ、ちょっと……このまま待っててくれませんか?」
「承知致しました」
多分、察しがついたんだろう。何とも楽しそうに細められた瞳は、期待でキラっキラ。触覚と羽もぶんぶん、ぱたぱた大騒ぎだ。
まぁ、デジャヴだもんな。同じ轍を踏むつもりはないが。
「えっと……よろしくお願いします」
「此方こそ、宜しくお願い致します」
失礼して肩を掴まさせていただく。魔力を練るのはそこそこ慣れてきたハズ。なんせ、今日もバアルさんとのデート代を稼ぐべくバイトを、石に練り上げた魔力を込めて魔宝石を作っていたんだからな。
目を瞑り、呼吸を整え、意識をお腹の中心へと集中させる。しばらくしてから、ぐるぐると俺の中を渦巻き始めた不思議な熱。練った魔力を一気に腕へと込めた。
「なんと……」
……成功、したのか?
少なくとも手応えはあった。重たい金属の扉を押し開けたような。抗う力を力で押し返したような。
驚くような声も聞こえた。期待に胸を高鳴らせ、そっと目を開ける。
集中していたせいで、奇跡的な瞬間を見ることは出来なかったが、最高の結果が俺を待って……
コルテ先生の講義に対して、おお! だの、スゴい! だの、はしゃいでいたからだ。気づくのが遅れてしまった。
いつの間にか佇み、俺に影を落としていた長身。シンプルな白いシャツ、ゆったりめの黒いズボンというリラックス姿なバアルさんが、ソファーに腰掛ける俺の顔を覗き込むように見つめていた。
「ひょわっ」
待ち人からの呼びかけにドキっとして、さらにもう一丁。緩めた襟元からチラリと覗いてしまっている胸板に、浮き出た鎖骨のキレイなラインに、違う意味で鼓動が跳ねてしまった。
何とか誤魔化さないと……そんな考えだけが先行したんだろう。
「な、何でもないですよ! コルテなんて居ませんよ! 俺達、何にも企んでいませんから、全然!」
その結果がコレである。
いやぁ、なんて見事な自白だ。素早く身を隠してくれたコルテも今頃、くりくりお目々をしょんぼり潤ませていることだろう。いやホント、ごめん。
長い睫毛を瞬かせ、シャープな顎に指を当て、しばらく黙ってから「……ふむ」と頷く。清潔感のある白い髭が素敵な口元が、ふわりと綻んだ。
「……左様でございますか」
あんまりにもあんまりだったんだろうか。言及しないでいてくれるらしい。
いや無いのか、聞きたいことが。大体、言っちゃったしな……俺が全部。ちくしょう。
「それで、いかがなさいますか?」
決行前から頭を抱えている俺の横へ、静かに腰を下ろしたバアルさん。しなやかな指が、優しい目元にサラリとかかった艷やかな髪を耳へかける。長く筋肉質な腕が、俺の腰へと回された。
抱き寄せられ、優しい体温と密着してしまう。頬をゆるりと撫でられたせいだ。もう俺の心臓は小躍りし始めちゃってたのに、ますますドキドキと走り出してしまったんだ。
「ご教示頂けますでしょうか? 貴方様のお望みを叶える為に、私めがすべきことを」
「は、はぃ……その、まずは……べ、ベッドまで一緒に来て欲しい、です……」
「畏まりました」
嬉しそうに瞳を細めた彼の触覚が、ふわふわ揺れている。ごくごく自然に俺を抱き上げてから、額に口づけてくれた。
「ひぇ……」
……いかん。もう、バアルさんのペースになりつつあるのでわ? もう、俺、そわそわしちゃってるんだけど?
彼にとっては軽いスキンシップなんだろう。でも俺にとっては、とんでもない大サービス。供給過多もいいとこだ。お陰様で心の隅っこから滲み出てしまっている。
もう、このままバアルさんに甘やかしてもらいたいな……だなんて、ふわっふわな願望が漏れ出してしまっている。それだと、さっきと同じだってのに。
ときめきっぱなしの自分に喝を入れた。せっかくコルテが協力してくれてるんだ。せめて、押し倒すところまでは頑張らないと。
「お次は、いかが致しましょうか?」
「ふぇっ」
また、ワンテンポ遅れてしまった。律儀にベッドの側に立ち、俺のお呼びがかかるまで待ってくれていたようだ。
反射的に身体を揺らした俺の背を、ゆったり撫でてくれている。
「あ、えっと……お膝の上にお邪魔させてもらいたいです。それから、足を伸ばしててくれませんか?」
「はい、貴方様のお望みのままに」
俺を抱えたまま、器用にベッドインしたバアルさん。スラリと伸びた足を寛げてから、ご自身の太ももを跨がせるような形で俺をひょいっと抱き直してくれた。
バッチリだ。後は無事に彼を押し倒せたら万々歳なのだが。
「次のご指示はございますか?」
「いえ、ちょっと……このまま待っててくれませんか?」
「承知致しました」
多分、察しがついたんだろう。何とも楽しそうに細められた瞳は、期待でキラっキラ。触覚と羽もぶんぶん、ぱたぱた大騒ぎだ。
まぁ、デジャヴだもんな。同じ轍を踏むつもりはないが。
「えっと……よろしくお願いします」
「此方こそ、宜しくお願い致します」
失礼して肩を掴まさせていただく。魔力を練るのはそこそこ慣れてきたハズ。なんせ、今日もバアルさんとのデート代を稼ぐべくバイトを、石に練り上げた魔力を込めて魔宝石を作っていたんだからな。
目を瞑り、呼吸を整え、意識をお腹の中心へと集中させる。しばらくしてから、ぐるぐると俺の中を渦巻き始めた不思議な熱。練った魔力を一気に腕へと込めた。
「なんと……」
……成功、したのか?
少なくとも手応えはあった。重たい金属の扉を押し開けたような。抗う力を力で押し返したような。
驚くような声も聞こえた。期待に胸を高鳴らせ、そっと目を開ける。
集中していたせいで、奇跡的な瞬間を見ることは出来なかったが、最高の結果が俺を待って……
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