間違って地獄に落とされましたが、俺は幸せです。

★ このままがいい……このままずっと、お互いの境が分からなくなるくらいに溶け合っていたい

　明らかに増した気がする。胸を触ってくれる頻度が、さっきよりも。

　よっぽど、俺の反応が良かったんだろうか。いや、良かったか。なんせ、ちょっぴり触ってもらえただけでイっちゃったんだからさ。そんでもって、今も。

「んぁっ……あ、あっ……ふ……ぁ……」

　後ろから腰をぺちぺち打ちつけられながら、乳首の先端を指の腹でくりゅっと押し潰されて。もう、何度目かも分からない絶頂を迎える。

　出すものもないんだろうか？　長く太い彼のものに擦り上げられている俺のものは、ピンっと勃ったままぴくぴく震えるだけだ。

　それでも、出した時より気持ちがいい。おまけに、俺が気持ちよくなっちゃう度に彼が嬉しそうに……か、可愛いって褒めてくれるから、全然構わないんだけどさ。

「やはり、ご一緒にされるのがお好きなのですね……可愛らしいお顔をこんなにも蕩けさせて……気持ちいいですか？」

「はぃ……気持ちい、です……もっと、もっとして……くださ……ひぁっ……」

　首の辺りを優しく食んでくれながら、彼の指が俺の乳首を可愛がってくれる。俺の望んだ通りに、何度イっても優しく次へと導いてくれる。

　両方同時に摘まれて、指の腹で転がされるように揉まれて。ジンと熱い感覚が、胸元から全身へと広がっていく。

「あっ、それぇ……すき……くりくりされるの……あんっ、あっ、あぁっ……」

　目の前で星が瞬いて、頭の中がくらくらする。駆け巡り続ける心地のいい刺激に、思わず太ももに力を込めてしまっていた。股の間をぬるぬる行き交っていた彼の熱が、それに合わせるようにグンと大きくなる。

　……バアルさんも、また一緒にイってくれるんだろうか。さっきよりも腰の動きが荒々しい。耳に、首に、かかっている熱い吐息も。

「はっ、は……こうやって……私に擦り上げられるのも、お好き、でしょう？」

　びくびくと脈打っている彼の太い竿が、真っ赤に潤んだ大きな先端が、俺のあそこを纏めて擦る。

　俺達のものが直接触れ合ってるっていう気持ちよさもあるんだけれど、何でだろう。時々、不思議な気持ちよさを感じる時があるんだ。お尻に挿れてもらってないのに、前立腺を触ってもらってる時と同じで目が眩むような、激しい感覚が走る時が。

　とはいえ、この時の俺に考える余裕なんてある訳がなかった。

　何でだろ？　って浮かんでも、すぐに大好きな彼に溺れてしまっていたんだから。

「うんっ……すきっ……すき、ぜんぶ……ばあるにしてもらえるの……ぜんぶ……」

「……くっ……アオイ様っ……アオイ……」

　ドクリとまた彼の熱が固さを増す。俺を求めてくれる腰の動きも激しく、速くなっていく。甘く切ない声で名前を呼ばれ、一気にこみ上げてきた喜びに腰がジンと疼いた。

「ぅあっ……ああっ……おっきぃ……すごぃ……ばあるの……あ、あっ、あ、また……きちゃ……おれ、また……んぁあっ」

「ふっ……ぅ……」

　二人で一つになれたみたいだった。滲むような熱さも、全身に響く鼓動も、心地のいい震えも……全部共有出来たみたいに重なれて。

　でも、やっぱり俺は欲張りだ。もっと彼とくっつきたいって思ってしまうんだから。隙間なく肌と肌とを、大事な場所をくっつけ合ってもらっているのに。

　幸せな気怠さに満たされている身体を叱咤して顔を動かす。振り向いた先でかち合った、ゆるりと細められた鮮やかな緑の瞳。

　瞬間、奪われてしまっていた。ふわりと綻んだ桜色の唇を、俺が奪うハズだったのに。待っていましたと言わんばかりに伸びてきた細い指から顎を掴まれ、口づけられ。差し入れられた大きな熱に、あっという間に絡め取られてしまったんだ。

　くちゅ、くちゅ……と包み込むみたいに舌を擦り合わされて、心地よさがぶり返してしまう。

「んん……は、ん……ん、ふ、ぅ……んっ……ん」

　……あ、なんだ……バアルさんも、一緒だったんだ……俺だけじゃ、なかったんだ……

　求め合うような深い触れ合いが心地よくて仕方がない。このままがいい。このままずっと、お互いの境が分からなくなるくらいに溶け合っていたい。

　そんな我が儘を抱いてしまったからだろうか。不意に終わりが訪れてしまった。舌先を甘く食んでくれたのを最後に、優しい笑顔が離れていってしまう。

「ぁ……」

　物欲しそうな声を上げてしまった俺を映す、柔らかい眼差しが微笑む。ご満悦そうに触覚を弾ませながら、耳心地のいい低音が誘ってくれた。

「もう一度……お願いしても宜しいでしょうか？」

「っ……うんっ……今度は、バアルの顔見ながらしたい……キスも、いっぱいして欲しい……」

「……畏まりました。アオイ様のお望みのままに」

　喜びのあまり、思わず申告なしに抱きついてしまっていた。

　慣れてくれたのかな？　バアルさんは、嬉しそうにクスリと口角を持ち上げて抱き締め返してくれた。それどころか、また特別なキスをくれたんだ。