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クロウさん特製マカロン
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「では、クロウのマカロンを頂こうか!」
真っ黒な羽をはためかせ、指揮者の様にしなやかな腕を広げたヨミ様は、大変ご機嫌麗しそうだ。心なしか、側頭部から生えている角が宿す硬い光沢も、増し増しになって見えるしな。
そんでもって、うっきうきな主を微笑ましそうに見つめるバアルさん。お二人の間を漂う陽だまりのようなほのぼの感。それに比べてお向かいには、ピシリとした緊張感が走っている。こういうのを、対照的って言うんだろうか。
「じゃあ、いただきますね?」
ハートの方はグリムさん専用なのだから、丸い方は俺が先陣を切るべきだろう。先程「とびきりのを作るんで」ってクロウさんから宣言をいただいたんだしさ。
「ど、どうぞ!」
「はい、お口に合うか、分かりませんが……」
びくんっと姿勢を正すグリムさん。そのお隣で硬い表情のまま、姿勢も言葉尻も縮こまっていくクロウさん。
意外だ。いつも料理を作り慣れているとのことなのに、誰かに食べてもらう時は緊張しちゃうんだな。でも、分かる。スゴく分かるな……そのお気持ち。
飄々としている彼に初めて抱いた親近感。ほっこりとした温かさに緩んでいた気持ちが、口にしたマカロンの美味しさにますますトロリと緩んでいく。
「うわっ……何これ、めっちゃ美味い」
そのせいだ。語彙力と一緒に言葉遣いの丁寧さまで、どっかに飛んでいってしまっていた。
「ほ、ホントですかっ?」
「はい。ナッツ……かな? コクがあって、優しい甘さがスゴく美味しいです」
一口分欠けた緑色のマカロンを眺めていた俺の疑問に、はつらつとした声が答える。
「おそらくピスタチオではないか? 緑であるしな。因みにこっちの赤はイチゴ味であったぞ! 甘酸っぱい風味が大変美味しいぞ!」
「ああ、確かにピスタチオですね。イチゴも美味しそう……」
小皿に載せられ勧められた真っ赤なマカロン。横から伸びてきた手が受け取ると、オレンジのマカロンが添えられてから、俺に差し出される。
「此方はオレンジでした。表面はサクッとしておりますが、中のガナッシュは蕩けるような口溶けで大変美味しいですね。口に広がる爽やかな風味も、大変味わい深いものでした」
「ありがとうございます。丁度いい大きさだから、いくらでも食べられちゃいそうですね」
流石バアルさん。今回も……そう、それが言いたかったんですよってことを代弁してくれた。わいわいと俺達が盛り上がっている中、パチンっといい音が響く。
「やったぁ!! やりましたよ、クロウ!」
正体は、ハイタッチの音だった。自分のことみたいに喜ぶグリムさんが、小さな手をひと回り大きなクロウさんの手に合わせている。
「ああ、これでひと安心……いや、まだだな。俺としたことが、肝心のが残ってた」
「へ?」
「ほら、俺からの特別だ。受け取ってくれるよな?」
きょとんとしているグリムさんに、たくさんのハートが詰まったプレゼントが手渡される。大きな瞳が、見る見るうちに潤んで、細められて。
「はいっ」
とびきり元気な返事が、にこっと開いた口から返された。
真っ黒な羽をはためかせ、指揮者の様にしなやかな腕を広げたヨミ様は、大変ご機嫌麗しそうだ。心なしか、側頭部から生えている角が宿す硬い光沢も、増し増しになって見えるしな。
そんでもって、うっきうきな主を微笑ましそうに見つめるバアルさん。お二人の間を漂う陽だまりのようなほのぼの感。それに比べてお向かいには、ピシリとした緊張感が走っている。こういうのを、対照的って言うんだろうか。
「じゃあ、いただきますね?」
ハートの方はグリムさん専用なのだから、丸い方は俺が先陣を切るべきだろう。先程「とびきりのを作るんで」ってクロウさんから宣言をいただいたんだしさ。
「ど、どうぞ!」
「はい、お口に合うか、分かりませんが……」
びくんっと姿勢を正すグリムさん。そのお隣で硬い表情のまま、姿勢も言葉尻も縮こまっていくクロウさん。
意外だ。いつも料理を作り慣れているとのことなのに、誰かに食べてもらう時は緊張しちゃうんだな。でも、分かる。スゴく分かるな……そのお気持ち。
飄々としている彼に初めて抱いた親近感。ほっこりとした温かさに緩んでいた気持ちが、口にしたマカロンの美味しさにますますトロリと緩んでいく。
「うわっ……何これ、めっちゃ美味い」
そのせいだ。語彙力と一緒に言葉遣いの丁寧さまで、どっかに飛んでいってしまっていた。
「ほ、ホントですかっ?」
「はい。ナッツ……かな? コクがあって、優しい甘さがスゴく美味しいです」
一口分欠けた緑色のマカロンを眺めていた俺の疑問に、はつらつとした声が答える。
「おそらくピスタチオではないか? 緑であるしな。因みにこっちの赤はイチゴ味であったぞ! 甘酸っぱい風味が大変美味しいぞ!」
「ああ、確かにピスタチオですね。イチゴも美味しそう……」
小皿に載せられ勧められた真っ赤なマカロン。横から伸びてきた手が受け取ると、オレンジのマカロンが添えられてから、俺に差し出される。
「此方はオレンジでした。表面はサクッとしておりますが、中のガナッシュは蕩けるような口溶けで大変美味しいですね。口に広がる爽やかな風味も、大変味わい深いものでした」
「ありがとうございます。丁度いい大きさだから、いくらでも食べられちゃいそうですね」
流石バアルさん。今回も……そう、それが言いたかったんですよってことを代弁してくれた。わいわいと俺達が盛り上がっている中、パチンっといい音が響く。
「やったぁ!! やりましたよ、クロウ!」
正体は、ハイタッチの音だった。自分のことみたいに喜ぶグリムさんが、小さな手をひと回り大きなクロウさんの手に合わせている。
「ああ、これでひと安心……いや、まだだな。俺としたことが、肝心のが残ってた」
「へ?」
「ほら、俺からの特別だ。受け取ってくれるよな?」
きょとんとしているグリムさんに、たくさんのハートが詰まったプレゼントが手渡される。大きな瞳が、見る見るうちに潤んで、細められて。
「はいっ」
とびきり元気な返事が、にこっと開いた口から返された。
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