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★ 教えてもらったから、男の俺でも気持ちよくなっていいんだって

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 妖しい熱を帯びた緑の眼差しに見つめられ、囚われる。さっきから心臓が煩い。壊れてしまいそうだ。

 頬に添えられた白い手の熱さに息を呑んでいると、艷やかな笑みを湛えた唇が小さく囁いた。

「……触れさせて頂いても、宜しいでしょうか?」

 いや、ズルい。すんでのところで気遣ってくれるとか、ズル過ぎる。そんなの、ときめいちゃうじゃないか。

 気がつけば、すらりと引き締まった首に腕を絡めていた。肯定を……行動で示す前に、嬉しそうに綻んだ唇に吐息ごと奪われてしまう。

「ん……ふっ、ぁ……」

 自分から望んで受け入れたくせに、身体の震えが止まらない。熱い彼の体温が口内で蠢く度に、俺のと絡まり擦れる度に、びくびく跳ねてしまう。

 くすりと微かに笑う気配がして、温かい手が頭や背中をゆったり撫で回し始めた。

「んっ、んぅ……あ、ふ……っ……ん……」

 どうしよう……すぐに気持ちよくなってしまう。俺だって、もっと頑張りたいのに。バアルさんに気持ちよくなって欲しいのに。

 溺れてしまう。夢中になってしまうんだ。強く俺を求めてくれる深い口付けと、甘やかしてくれる優しい手つきに。

 くちゅくちゅいやらしい音を立てながら、ないまぜになっているものが口の端からこぼれて伝っていく。

 なんだか、俺の頭の中みたいだ。ドロドロに混ざって蕩けてぼんやりする。

 じくじくと舌先から全身へと広がっていく心地よさが、何だかスゴくもどかしい。

 もっと、違う風に触って欲しいな……って気持ちが伝わったんだろうか。

 ゆっくり胸元まで下りてきた指先が、すでに立ち上がっていた先端に触れてくれたんだ。

「……っあ、んぅ……バアルさ……あぁっ……」

 まだ、直接触ってもらえていないのに、服の上からなのに。下半身まで響く甘い刺激に、腰が勝手に揺れてしまう。

 思わず幅広の肩を掴んでしまっていた俺に、柔らかい低音が尋ねた。

「……一緒が、宜しいでしょうか?」

 何を一緒になのか……なんて、すぐに分からされた。

 するりと侵入してきた指先に乳首を優しく摘まれて、大きな手のひらからズボン越しに、勃ち上がっている俺のものをそっと包み込まれて。

 もう、期待しちゃってる俺を焦らすように、触って欲しいのでしょう? と尋ねるように、触れるか触れないかの加減で撫でてくる。

 とびきり甘さを含んだ声だけでも、情けのない吐息が半開きの口から漏れてしまうのに。

 弱いところばかりを……気持ちのいいところばかりを触ってくれるもんだから、堪らない。

「あぅ……して、くださ……一緒に、気持ちよく……してください……」

 じんわり滲んだ視界に映る柔らかい眼差しに促され、お願いしていた俺の口に、笑みを深くした唇が重なる。

 何度か優しく触れ合ってから、首の辺りを優しく食まれた。背筋に走ったぞくぞくとした淡い感覚を塗りつぶすように、大きな手が俺を追い詰めていく。

「んぁっ、あ……っ……あ、あ……」

 固くなった乳首を指の腹で撫で回されるだけでも、鼻にかかった声が荒い吐息と一緒に漏れてしまう。

 ……バアルさんにじっくり教えてもらったからだ。ここは気持ちのいいところなんだと、男の俺でも気持ちよくなっていいんだと。

 頭の奥の方が痺れるような心地よさに酔ってると、首元を強く吸われた。

 そちらへ意識を向かされると同時に、熱く芯を持った俺のものを撫で擦られ、太股が勝手にガクガク震えてしまう。

 もう、出ちゃいそうだ……情けないことに。

「ひぅ……ん……はっ……あぁ……」

「……大変可愛らしいですよ、アオイ……他に、触れて欲しいところはございますか?」

 柔らかく微笑む唇が、目尻や頬に優しく触れてくれる。甘い刺激をもらいすぎて、俺はとうとうおかしくなってしまったんだろうか。

 嬉しくて、胸がきゅって高鳴っただけなのに……その感覚すらも、気持ちいいな……って思えてしまったんだ。

「あ……このまま、続けてくださ……んんっ、でも……あそこも、直接……触って欲しい……」

「……畏まりました」

 俺だけを映してくれる、宝石のように煌めく緑の瞳が細められ、触れるだけのキスを送ってくれる。

 目尻や頬をゆるりと撫でてくれたしなやかな指が、ズボンのゴムにそっとかかった。

 下着と一緒にするりと下ろされ、外気に触れる。つい彼の動向を見守っていたせいだ。

 ……見てしまった。透明な糸を引くほど塗れそぼり、今にも達しそうなくらいにぴくぴく震える自分のものを。

 ヤバい、滅茶苦茶恥ずかしい。かといって足を閉じて隠すことは出来なかった。そもそも強請ったのは俺自身なのだから。

「……アオイ」

 胸が締め付けられるような、切ない声が俺を呼ぶ。戻した視線の先で、焦がれるような眼差しとかち合った。

 白い水晶のような羽を大きく広げ、俺を一心に見つめる彼の男らしい喉が上下に動く。

 ……ああ、見たことがある……欲しいって目だ。求めてくれてるんだ、俺のことを……バアルさんが。

 嬉しくて、頬が自然と緩んでしまう。もっとくっつきたいなって、腕を伸ばしてしまっていた。

 鮮やかな緑の瞳が瞬いて、細められる。重なって、絡んだ指にお揃いの銀の輪が淡く輝いていた。スッと通った鼻先が触れ合って、なんだかちょっと擽ったい。

「あの……俺、一緒にしたいです……バアルさんと……」

「私も……同じことを考えておりました……」

 いつもより低く、とびきり甘い声に囁かれ、はしゃぎっぱなしの心臓が鷲掴みにされてしまう。

 ……どうしよう……今、とてつもなくニヤけていそうだ……俺。

「じゃ、じゃあ……後ろ、向きますね……」

 今から二人でするためだからっと自分自身に言い聞かせつつ、確実にマズいことになっていそうな顔を隠すべく動く。だが、叶わなかった。

「いえ、このままで構いませんよ」

「へ?」

「今日は、貴方様のお顔を見ながら致したいのです……駄目、でしょうか……」

 どこか気恥ずかしげにほんのり頬を染め、そわそわと透き通った羽をはためかせながら、白い髭が渋くてカッコいい口元を綻ばせる。

 そんなご様子で、おずおずと繋いだ手に力を込められてしまえば、俺の取る行動なんて一つしかない。当たり前だ。

「全っ然、問題ないです! しましょうっ、このまま!」

 速攻で俺は快諾した。好きな人からのお強請りという豪速球で、心をぶち抜かれたんだから仕方がない。

 まぁ、情けない顔なんて今まで散々見せてしまっているし、見られているんだし。

 ……それでも、どんな俺でも好きだって……可愛いって言ってもらえているんだしさ……だから、大丈夫だろう。

 という俺の考えは甘かった。

 でも、この時点の俺は気づいていないというか、自分が見られることしか頭になかったんだから……仕方がないと言えば仕方がないのだが。
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