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★ 見つめられただけで、名前を呼ばれただけで、分かってしまった
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また、嬉しくなったんだ。
見上げた先でぱちぱちと瞬く瞳が、期待にキラキラ煌めき始めて。驚いてるみたいだけど、喜んでくれてるんだなって分かったからさ。
大きく盛り上がっている膨らみを、ズボン越しに触れながら尋ねた俺に、バアルさんは言葉ではなく、噛みつくような口づけで応えてくれた。キレイな白い手が、俺の下着をズボンごと荒々しく引き下ろす。
いつだって冷静で、物腰が柔らかい彼とは違う余裕のなさに。強く求められている気がして、もっと嬉しくなってしまう。
触れるだけのキスを交わしながら、俺も彼の昂りを開放しようと手を動かす。俺だって一応それなりに慣れてきたんだから、手探りでもなんとかなるハズだ。
……というのは完全に慢心だったらしい。ベルトすら上手く外すことが出来ずに、もたもたと慌てる手元からは、ただただ金属を打ち鳴らす音が漏れるだけだ。
くすくすと小さく笑う気配がして、わたわたしていた俺の手に大きな手が重なった。
大丈夫ですよ……と言ってくれてるみたいに手の甲をゆるゆる撫でてくれてから、いつの間に寛げたのかドクドクとそそり立つ熱へと導かれた。
太い竿に指を絡め、緩く握った俺に続いて、しっかりばっちり元気になってしまっていた俺のものが、温かい手のひらに包み込まれる。
「……あ、ありがとうございます……」
「いえ」
何なんだこの状況は? お互いの急所を握り合いながらお礼を言って、返されるって。いや、俺が誘って招いたんだけどさ。
傍からは、布団に潜って向かい合っているようにしか見えないんだよな……
そう思い至ってしまい、余計に笑いが込み上げてくる。というか吹き出してしまっていた。
優しさが服を着て歩いているような彼は、突然俺がくすくす笑い出しても変な顔ひとつしない。それどころか瞳をゆるりと細め、微笑みかけてくれたんだ。
しばらく笑い合っていると、ふっと視線が絡み合う。視界いっぱいに広がる、柔らかく綻んだ彫りの深い顔に……好きだなって、ずっと大事に抱き続けている彼への気持ちが、ぽやんと浮かんだ。
想いに動かされるみたいに自然に、どちらともなく俺達の距離がなくなって、重なった。
別に示し合わせた訳じゃないのに、手も動き始めていた。お互いの唇が触れ合うのと同時に。
早くも先走りをこぼしていた俺のものが、彼の手のひらを濡らしていく。
「ん、ん……ぁ、あっ、ふ……バアルさ……あぁっ……」
「はっ……ん、アオイ様……」
どうしよう……滅茶苦茶気持ちいい。
まだ、ちょこっとしか触ってもらえていないのに……ぞくぞくして堪らない。ちゃんと我慢しないと……俺だけ先に出しちゃいそうだ。
それもこれも相乗効果がスゴいせいだ。拙い俺の触り方でも、どんどん大きくなってくれる彼のものと、一心に俺を見つめる濡れた瞳。それから、キスの合間に漏れる艷やかな声の。お陰で、触ってもらえてる時よりドキドキしてしまう。
だからといって、俺ばっかり気持ちよくなってちゃダメだ。これじゃあ、この前と同じだもんな。
今日は絶対に最後まで離さないぞと意志を固めて手を動かす。とにかく、もっと彼に気持ちよくなって欲しくて、俺はカリの部分を重点的に刺激することにした。
自分自身を慰めていた時みたいに、親指と人差し指で輪を作ってはたと気づく。
いや、改めて思い知らされることになったんだ。脈打つ彼のものと俺のものとの圧倒的な差を。同じ男としての格の違いを。
「……いかが、なさいましたか?」
「いや、やっぱり太くてカッコいいなって…………あっ」
乱れた吐息を漏らす彼からの問いかけに、気がつけば普通に答えてしまっていた。
「ふふ、お褒めに預かり大変光栄に存じます。ですが、貴方様の陰茎も大変形がよく素敵ですよ」
「あ、ありがとうございます……」
「いえ」
……だから何なんだ一体。お互いの生殖器を触り合いながら褒め合うって。
微笑む彼からいただけた温かい言葉は嬉しいけれど……気恥ずかし過ぎるやり取りに、肩の力が抜けていく。でも、つかの間だった。
「あっ、バアルさん……ふぁ……あっ、んん……」
「……ああ、やはり大変愛らしく存じます。裏筋を少し撫でるだけで斯様に震えて……」
唐突に、しなやかな指から与えられた刺激の強さに、腰どころか身体までびくびくと跳ねてしまう。頭の天辺まで駆け上がってくる心地よさに、あっという間に思考が真っ白に塗り潰されていった。
予定通りにとはいかなかったけれども、手を離さずにゆるゆると上下に動かせただけでも褒めて欲しい。
「んっ……アオイ様は、誠に感じ……やすいのですね……」
いつもより低く柔らかい声が「大変お可愛らしいですよ……」と耳元で囁く。
それだけでも俺は、大きくて熱い彼のものを握ったまま、情けのない声を上げてしまったってのに。彼は俺のものを可愛がってくれながら、甘やかすようなキスを額や頬に送ってくれた。
一回り大きな手が、壊れ物でも触ってるみたいに優しく竿を扱いてくれる。おまけに、俺がこぼしたもので、ぬるぬるになってしまっていた亀頭まで丹念に撫で回されて……もう、限界だった。
「あ、んん……バアルさ、俺……もう……」
「……達して……しまいそうですか?」
「は、はい……もう、イっちゃ……あっ……んぅ……バアル……」
「……心得ました」
言わなくても察しのいい彼は、俺の腰を抱き寄せ口づけてくれた。濡れそぼった俺達のものも……くちゅりと触れ合って。騒がしい心臓が一際大きく高鳴ってしまう。
……何だか全身で彼と求め合っているみたいだ。そっと手を掴まれ、優しく誘導される。重なり合った互いの熱を二人で一緒に握り込むように。
「ふっ……ん、んっ……ぁ……んむ……」
それからはもう、夢中だった。
口の端から伝い落ちていくのも構わず絡め合い、いやらしい音を鳴らしながら……ただひたすらに撫で擦り合った。上も、下も、ひっきりなしに気持ちがよくて……頭が変になりそうだ。
……バアルさんも、気持ちよくなってくれているのかな……
俺がへこへこ振っちゃってるのと同じように、彼の腰も俺達の手の動きに合わせて力強く揺れている。
ますます激しくなる衣擦れの音と熱さに、ぞくぞくしっぱなしの背中に汗が滲んだ時だった。
「ッ……んんっ……ふ、ん……ぅ……」
ほとんど一緒だったと思う。擦りつけ合っている下半身が、大きくガクガクと震えたのも。手の中の昂りから、熱いものが飛び散ったのも。
抱き締め合いながら額を重ね、呼吸を整えていると、ひんやりとした空気が火照った身体を撫でていった。
不思議に思って視線を動かす。バアルさんが術で動かしてくれたんだろう。俺達を包み込んでいた掛け布団がひとりでに浮き上がり、自動的に畳まれると手品のようにぽんっと消えてしまった。
どこからともなく、すぐさま代わりの布団が現れたものの、掛けられることはなかった。広いベッドの端っこに、ぽすんと不時着した。
ぼんやりとした頭で見届けていた俺の頬を、いつもより熱い手のひらが撫でる。視線を戻せば、白い水晶のように透き通った羽をぶわりと広げた彼が、縋るような表情で俺を迎えた。
「……アオイ様」
分かってしまった。だって、俺と同じだったから。
熱のこもった瞳からも、切ない響きを含んだ声からも、少し前の俺と同じ渇きを感じたから。だから自然と口を開いていたんだ。
「……お、俺……今日も頑張るんで……その……よろしく、お願いします」
せっかく彼が俺を求めてくれてるってのに……あふれる喜びを表現出来ないどころか、スマートなお誘いすら出来ない自分にうんざりする。
それでも、優しい彼は嬉しそうに瞳を細めてくれて「此方こそ、宜しくお願い致します……」と手を繋いでくれたんだ。
見上げた先でぱちぱちと瞬く瞳が、期待にキラキラ煌めき始めて。驚いてるみたいだけど、喜んでくれてるんだなって分かったからさ。
大きく盛り上がっている膨らみを、ズボン越しに触れながら尋ねた俺に、バアルさんは言葉ではなく、噛みつくような口づけで応えてくれた。キレイな白い手が、俺の下着をズボンごと荒々しく引き下ろす。
いつだって冷静で、物腰が柔らかい彼とは違う余裕のなさに。強く求められている気がして、もっと嬉しくなってしまう。
触れるだけのキスを交わしながら、俺も彼の昂りを開放しようと手を動かす。俺だって一応それなりに慣れてきたんだから、手探りでもなんとかなるハズだ。
……というのは完全に慢心だったらしい。ベルトすら上手く外すことが出来ずに、もたもたと慌てる手元からは、ただただ金属を打ち鳴らす音が漏れるだけだ。
くすくすと小さく笑う気配がして、わたわたしていた俺の手に大きな手が重なった。
大丈夫ですよ……と言ってくれてるみたいに手の甲をゆるゆる撫でてくれてから、いつの間に寛げたのかドクドクとそそり立つ熱へと導かれた。
太い竿に指を絡め、緩く握った俺に続いて、しっかりばっちり元気になってしまっていた俺のものが、温かい手のひらに包み込まれる。
「……あ、ありがとうございます……」
「いえ」
何なんだこの状況は? お互いの急所を握り合いながらお礼を言って、返されるって。いや、俺が誘って招いたんだけどさ。
傍からは、布団に潜って向かい合っているようにしか見えないんだよな……
そう思い至ってしまい、余計に笑いが込み上げてくる。というか吹き出してしまっていた。
優しさが服を着て歩いているような彼は、突然俺がくすくす笑い出しても変な顔ひとつしない。それどころか瞳をゆるりと細め、微笑みかけてくれたんだ。
しばらく笑い合っていると、ふっと視線が絡み合う。視界いっぱいに広がる、柔らかく綻んだ彫りの深い顔に……好きだなって、ずっと大事に抱き続けている彼への気持ちが、ぽやんと浮かんだ。
想いに動かされるみたいに自然に、どちらともなく俺達の距離がなくなって、重なった。
別に示し合わせた訳じゃないのに、手も動き始めていた。お互いの唇が触れ合うのと同時に。
早くも先走りをこぼしていた俺のものが、彼の手のひらを濡らしていく。
「ん、ん……ぁ、あっ、ふ……バアルさ……あぁっ……」
「はっ……ん、アオイ様……」
どうしよう……滅茶苦茶気持ちいい。
まだ、ちょこっとしか触ってもらえていないのに……ぞくぞくして堪らない。ちゃんと我慢しないと……俺だけ先に出しちゃいそうだ。
それもこれも相乗効果がスゴいせいだ。拙い俺の触り方でも、どんどん大きくなってくれる彼のものと、一心に俺を見つめる濡れた瞳。それから、キスの合間に漏れる艷やかな声の。お陰で、触ってもらえてる時よりドキドキしてしまう。
だからといって、俺ばっかり気持ちよくなってちゃダメだ。これじゃあ、この前と同じだもんな。
今日は絶対に最後まで離さないぞと意志を固めて手を動かす。とにかく、もっと彼に気持ちよくなって欲しくて、俺はカリの部分を重点的に刺激することにした。
自分自身を慰めていた時みたいに、親指と人差し指で輪を作ってはたと気づく。
いや、改めて思い知らされることになったんだ。脈打つ彼のものと俺のものとの圧倒的な差を。同じ男としての格の違いを。
「……いかが、なさいましたか?」
「いや、やっぱり太くてカッコいいなって…………あっ」
乱れた吐息を漏らす彼からの問いかけに、気がつけば普通に答えてしまっていた。
「ふふ、お褒めに預かり大変光栄に存じます。ですが、貴方様の陰茎も大変形がよく素敵ですよ」
「あ、ありがとうございます……」
「いえ」
……だから何なんだ一体。お互いの生殖器を触り合いながら褒め合うって。
微笑む彼からいただけた温かい言葉は嬉しいけれど……気恥ずかし過ぎるやり取りに、肩の力が抜けていく。でも、つかの間だった。
「あっ、バアルさん……ふぁ……あっ、んん……」
「……ああ、やはり大変愛らしく存じます。裏筋を少し撫でるだけで斯様に震えて……」
唐突に、しなやかな指から与えられた刺激の強さに、腰どころか身体までびくびくと跳ねてしまう。頭の天辺まで駆け上がってくる心地よさに、あっという間に思考が真っ白に塗り潰されていった。
予定通りにとはいかなかったけれども、手を離さずにゆるゆると上下に動かせただけでも褒めて欲しい。
「んっ……アオイ様は、誠に感じ……やすいのですね……」
いつもより低く柔らかい声が「大変お可愛らしいですよ……」と耳元で囁く。
それだけでも俺は、大きくて熱い彼のものを握ったまま、情けのない声を上げてしまったってのに。彼は俺のものを可愛がってくれながら、甘やかすようなキスを額や頬に送ってくれた。
一回り大きな手が、壊れ物でも触ってるみたいに優しく竿を扱いてくれる。おまけに、俺がこぼしたもので、ぬるぬるになってしまっていた亀頭まで丹念に撫で回されて……もう、限界だった。
「あ、んん……バアルさ、俺……もう……」
「……達して……しまいそうですか?」
「は、はい……もう、イっちゃ……あっ……んぅ……バアル……」
「……心得ました」
言わなくても察しのいい彼は、俺の腰を抱き寄せ口づけてくれた。濡れそぼった俺達のものも……くちゅりと触れ合って。騒がしい心臓が一際大きく高鳴ってしまう。
……何だか全身で彼と求め合っているみたいだ。そっと手を掴まれ、優しく誘導される。重なり合った互いの熱を二人で一緒に握り込むように。
「ふっ……ん、んっ……ぁ……んむ……」
それからはもう、夢中だった。
口の端から伝い落ちていくのも構わず絡め合い、いやらしい音を鳴らしながら……ただひたすらに撫で擦り合った。上も、下も、ひっきりなしに気持ちがよくて……頭が変になりそうだ。
……バアルさんも、気持ちよくなってくれているのかな……
俺がへこへこ振っちゃってるのと同じように、彼の腰も俺達の手の動きに合わせて力強く揺れている。
ますます激しくなる衣擦れの音と熱さに、ぞくぞくしっぱなしの背中に汗が滲んだ時だった。
「ッ……んんっ……ふ、ん……ぅ……」
ほとんど一緒だったと思う。擦りつけ合っている下半身が、大きくガクガクと震えたのも。手の中の昂りから、熱いものが飛び散ったのも。
抱き締め合いながら額を重ね、呼吸を整えていると、ひんやりとした空気が火照った身体を撫でていった。
不思議に思って視線を動かす。バアルさんが術で動かしてくれたんだろう。俺達を包み込んでいた掛け布団がひとりでに浮き上がり、自動的に畳まれると手品のようにぽんっと消えてしまった。
どこからともなく、すぐさま代わりの布団が現れたものの、掛けられることはなかった。広いベッドの端っこに、ぽすんと不時着した。
ぼんやりとした頭で見届けていた俺の頬を、いつもより熱い手のひらが撫でる。視線を戻せば、白い水晶のように透き通った羽をぶわりと広げた彼が、縋るような表情で俺を迎えた。
「……アオイ様」
分かってしまった。だって、俺と同じだったから。
熱のこもった瞳からも、切ない響きを含んだ声からも、少し前の俺と同じ渇きを感じたから。だから自然と口を開いていたんだ。
「……お、俺……今日も頑張るんで……その……よろしく、お願いします」
せっかく彼が俺を求めてくれてるってのに……あふれる喜びを表現出来ないどころか、スマートなお誘いすら出来ない自分にうんざりする。
それでも、優しい彼は嬉しそうに瞳を細めてくれて「此方こそ、宜しくお願い致します……」と手を繋いでくれたんだ。
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