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★ バアルさん……俺にドキドキしてくれてるのか? してくれてるんだよな?
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「……バアル、さん? ……あっ」
大きな手が俺の頭を持ち上げ支える。ずっと俺が枕代わりにしていた腕をゆっくり引き抜くと、細く長い指が俺の首筋に向かって伸びてきた。
産毛だけを撫でているような優しい手つきに、瞬く間に身体の疼きがぶり返してしまう。
「あ、んっ……あぁっ……」
しっとりとした指先が俺に触れてくれる度に、白いシャツの胸元には次々とシワが刻まれてしまっていた。縋りつくように、両手で俺が握り締めているせいだ。現在進行形で。
どこか上機嫌に触覚を揺らす彼が、更に笑みを深くする。情けなく上ずった声しか上げられなくなっている俺に、優しく口づけてくれてから……もう一方の指の腹で耳たぶをそっと摘んだ。
「アオイ様は……首と耳、どちらがより気持ちよく……お感じになられますか?」
襟足から首の付け根に向かって何度もゆったり撫でられながら、耳の全体を絶妙な力加減でふにふに揉まれる。
それだけの刺激でも、バアルさんに毎晩じっくりゆっくり教え込んでもらっていた俺の身体は、十分感じることが出来ているのに。熱い吐息を吹き込むように耳元で尋ねてくるもんだから……堪らない。
「んっ……あ、分かんない……です……」
「……ふむ、左様でございますか」
「どっちも、気持ちいいから……っ……あ、どっちなのか、分かんな……ひぁっ、あ……」
「……ふふ、左様でございましたか」
霞みまくった思考では、咄嗟に言葉を発する前に一旦置いて精査する余裕などある訳もなく。半開きの口からは、思い浮かんだ先からそのままポロポロと漏らしてしまっていた。
少し残念そうだった声色が、ぱぁっと嬉しそうな響きに変わる。
「因みに、こちらはいかがでしょうか?」
「え? ……ひゃうっ」
突然取り上げられた心地よさに疑問の声を上げてすぐ、雷に打たれたような衝撃が駆け抜け、脳まで響く。
発生源は胸元だった。いつの間に潜り込んでいたのか。シャツの中で蠢く指先が、これまたいつから立っていたのか、すっかり硬くなっている俺の乳首をくにくに揉みながら、指の腹で撫で擦る。
敏感な先端を彼の指が掠める度に、全身にじわじわと広がっていく甘い感覚がもどかしい。
下半身から上ってくる疼きをどうにかしたくて身を捩れば捩るほど、視界の端で俺達を包み込む布団が生き物みたいに蠢いて……ドキドキしてしまう。
なんだか、二人でいけないことをしているみたいだ。
「っあ、あ、んっ、あぁ……」
「いかがでしょうか……アオイ」
もう、分かってるハズなのに。絶対、バレてしまっているハズなのに。
なんだか嬉しそうに目を細めたバアルさんは、時々出てくる意地悪な彼は、俺の口から言わせようと尋ねてくるもんだから……困ってしまう。
ますます、ぞくぞくした感覚が、腰の辺りから首の方へ向かって走っちゃったじゃないか。こんなんじゃ、俺、まるでバアルさんの言葉でも……感じちゃってるみたいだ。
「あ……き、気持ちいい……です……」
熱を帯びていた顔がますます熱くなる。それでも、俺の口は素直に答えてしまっていた。だって、仕方がないだろう? 好きな人からのお願いには、全力で応えたいんだからさ。
「そのお言葉を聞けて、大変嬉しく存じます。では、どちらが一番お好きでしょうか?」
この中から選んでくださいね……とでも言っているかのように、順番に白い指先が撫でていく。首筋を、耳の裏を、触れるか触れないかの加減でするりとなぞっていってから、ずっと主張しっぱなしの先端をきゅっと摘んだ。
そのまま指の腹全体でくりくりと撫で回されて、上手く息が出来ない。ひたすら鼻にかかった声を漏らしてしまう。全速力で走りきった後みたいに、はっ……はっ……と短い呼吸ばかりを繰り返してしまう。
「やはり、こちらが一番お気に召して頂けましたか? 先程よりもお可愛らしい声が、いっぱい出ていらっしゃいますね……」
蕩けるような笑みを湛えた唇が、滲んだ俺の目元にそっとキスを送ってくれる。散りばめるみたいに次々と、額や頬にも触れてもらえて。高鳴りっぱなしの胸から素直な気持ちが、あふれて、こぼれてしまっていた。
「う……あ、すき……全部、は、ぁ……んっ……好きです……」
鼻先にある瞳が大きく見開く。吸い込まれてしまいそうだな……と淡い光を帯びた緑に見惚れながら思った。
「バアルさんが……触ってくれるところ、全部……気持ちいいから……わぷっ」
普段よりも濃いハーブの香りに包まれたかと思ったら、視界の上半分をくっきりと浮かんだ鎖骨が占めていた。色気が漂う綺麗なラインにときめいている暇もなく、さらなる衝撃が俺の心臓を襲う。
太ももの辺りにごりっと押しつけられた、熱くて硬い感触によってもたさられた激しい高鳴りが。
……勃ってる、よな? これ……絶対。……ってことは、バアルさん……俺にドキドキしてくれてるのか? してくれてるんだよな?
……浮かれた熱で、どうにかなってしまいそうだ。
ただでさえ、たっぷり与えてもらっていた心地よさによって、頭全体がぽやぽやしているってのに。筋肉質な腕の中に閉じ込められたまま……俺とは比べ物にならない立派な男の象徴を、ぐいぐいと当てられ続けて。
きっと、そのせいだ。嬉しすぎて、ちょっとだけ……いや大分、興奮……しちゃって……だから言えたんだと思う。
「……バアルさん……触り合いっこ、しませんか? この前みたいに……」
大きな手が俺の頭を持ち上げ支える。ずっと俺が枕代わりにしていた腕をゆっくり引き抜くと、細く長い指が俺の首筋に向かって伸びてきた。
産毛だけを撫でているような優しい手つきに、瞬く間に身体の疼きがぶり返してしまう。
「あ、んっ……あぁっ……」
しっとりとした指先が俺に触れてくれる度に、白いシャツの胸元には次々とシワが刻まれてしまっていた。縋りつくように、両手で俺が握り締めているせいだ。現在進行形で。
どこか上機嫌に触覚を揺らす彼が、更に笑みを深くする。情けなく上ずった声しか上げられなくなっている俺に、優しく口づけてくれてから……もう一方の指の腹で耳たぶをそっと摘んだ。
「アオイ様は……首と耳、どちらがより気持ちよく……お感じになられますか?」
襟足から首の付け根に向かって何度もゆったり撫でられながら、耳の全体を絶妙な力加減でふにふに揉まれる。
それだけの刺激でも、バアルさんに毎晩じっくりゆっくり教え込んでもらっていた俺の身体は、十分感じることが出来ているのに。熱い吐息を吹き込むように耳元で尋ねてくるもんだから……堪らない。
「んっ……あ、分かんない……です……」
「……ふむ、左様でございますか」
「どっちも、気持ちいいから……っ……あ、どっちなのか、分かんな……ひぁっ、あ……」
「……ふふ、左様でございましたか」
霞みまくった思考では、咄嗟に言葉を発する前に一旦置いて精査する余裕などある訳もなく。半開きの口からは、思い浮かんだ先からそのままポロポロと漏らしてしまっていた。
少し残念そうだった声色が、ぱぁっと嬉しそうな響きに変わる。
「因みに、こちらはいかがでしょうか?」
「え? ……ひゃうっ」
突然取り上げられた心地よさに疑問の声を上げてすぐ、雷に打たれたような衝撃が駆け抜け、脳まで響く。
発生源は胸元だった。いつの間に潜り込んでいたのか。シャツの中で蠢く指先が、これまたいつから立っていたのか、すっかり硬くなっている俺の乳首をくにくに揉みながら、指の腹で撫で擦る。
敏感な先端を彼の指が掠める度に、全身にじわじわと広がっていく甘い感覚がもどかしい。
下半身から上ってくる疼きをどうにかしたくて身を捩れば捩るほど、視界の端で俺達を包み込む布団が生き物みたいに蠢いて……ドキドキしてしまう。
なんだか、二人でいけないことをしているみたいだ。
「っあ、あ、んっ、あぁ……」
「いかがでしょうか……アオイ」
もう、分かってるハズなのに。絶対、バレてしまっているハズなのに。
なんだか嬉しそうに目を細めたバアルさんは、時々出てくる意地悪な彼は、俺の口から言わせようと尋ねてくるもんだから……困ってしまう。
ますます、ぞくぞくした感覚が、腰の辺りから首の方へ向かって走っちゃったじゃないか。こんなんじゃ、俺、まるでバアルさんの言葉でも……感じちゃってるみたいだ。
「あ……き、気持ちいい……です……」
熱を帯びていた顔がますます熱くなる。それでも、俺の口は素直に答えてしまっていた。だって、仕方がないだろう? 好きな人からのお願いには、全力で応えたいんだからさ。
「そのお言葉を聞けて、大変嬉しく存じます。では、どちらが一番お好きでしょうか?」
この中から選んでくださいね……とでも言っているかのように、順番に白い指先が撫でていく。首筋を、耳の裏を、触れるか触れないかの加減でするりとなぞっていってから、ずっと主張しっぱなしの先端をきゅっと摘んだ。
そのまま指の腹全体でくりくりと撫で回されて、上手く息が出来ない。ひたすら鼻にかかった声を漏らしてしまう。全速力で走りきった後みたいに、はっ……はっ……と短い呼吸ばかりを繰り返してしまう。
「やはり、こちらが一番お気に召して頂けましたか? 先程よりもお可愛らしい声が、いっぱい出ていらっしゃいますね……」
蕩けるような笑みを湛えた唇が、滲んだ俺の目元にそっとキスを送ってくれる。散りばめるみたいに次々と、額や頬にも触れてもらえて。高鳴りっぱなしの胸から素直な気持ちが、あふれて、こぼれてしまっていた。
「う……あ、すき……全部、は、ぁ……んっ……好きです……」
鼻先にある瞳が大きく見開く。吸い込まれてしまいそうだな……と淡い光を帯びた緑に見惚れながら思った。
「バアルさんが……触ってくれるところ、全部……気持ちいいから……わぷっ」
普段よりも濃いハーブの香りに包まれたかと思ったら、視界の上半分をくっきりと浮かんだ鎖骨が占めていた。色気が漂う綺麗なラインにときめいている暇もなく、さらなる衝撃が俺の心臓を襲う。
太ももの辺りにごりっと押しつけられた、熱くて硬い感触によってもたさられた激しい高鳴りが。
……勃ってる、よな? これ……絶対。……ってことは、バアルさん……俺にドキドキしてくれてるのか? してくれてるんだよな?
……浮かれた熱で、どうにかなってしまいそうだ。
ただでさえ、たっぷり与えてもらっていた心地よさによって、頭全体がぽやぽやしているってのに。筋肉質な腕の中に閉じ込められたまま……俺とは比べ物にならない立派な男の象徴を、ぐいぐいと当てられ続けて。
きっと、そのせいだ。嬉しすぎて、ちょっとだけ……いや大分、興奮……しちゃって……だから言えたんだと思う。
「……バアルさん……触り合いっこ、しませんか? この前みたいに……」
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