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★ 私は、いついかなる時も……貴方様から求めて頂けるのを……心待ちにしているのですから
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「……お休みになられてしまうのでしょうか?」
「ひょわっ!?」
反射的に短く叫ぶのと同時に顔を離していた。
いつの間に灯されていたのか。シャンデリアの明かりがぼんやりと室内を照らす中、見上げた先でしっかり開いている寂しそうな瞳とかち合う。
思わずひっくり返った悲鳴で返してしまっていた俺に、追い打ちをかけるかのように彼が言葉を重ねていく。どこか甘い響きを含んだ低音で。
「てっきり私めは、貴方様から愛らしい口づけを賜われるのだと……年甲斐もなく期待に心を躍らせておりましたが……」
細く長い指から顎を持ち上げられ、白い頬をほんのり染めた彼との距離が余計に近くなる。額がちょこんと重なり、スッと通った高い鼻が、甘えてくれているみたいに俺の鼻先にすり寄ってきた。
「あ……いや、その……もし、まだ起きてたら…………キス、してくれませんかって……お願いしようとは、思っていたんですけど……」
気がつけば、素直に洗いざらい自供してしまっていた。喉だけでなく、身体も震わせてしまっている俺を映し続けている、若葉のように鮮やかな緑の瞳が細められる。
「左様でございましたか、ご配慮頂きありがとうございます。ですが……」
一瞬の内に、目どころか心まで釘付けにされてしまっていた。いくつもの六角形のレンズで構成された煌めく瞳に、燃えるような妖しい光が灯ったせいだ。
「私めと致しましては……貴方様のお望みのままに、私を愛して頂けると……大変嬉しく存じます」
「ふぇ……」
「私は、いついかなる時も……貴方様から求めて頂けるのを……心待ちにしているのですから」
「あ、ぅ……」
……ドキドキとはしゃぎっぱなしの心臓が破裂してしまいそうだ。柔らかい低音が紡ぐ嬉しすぎるお言葉に、間近に感じる熱い吐息に。
もう俺は、全くもって言葉としての意味を成していない、潰れたような音の羅列しか発せらなくなっていた。
震える俺の手に、温かい手が重なる。指を絡めて強く握られた瞬間、心まで掴まれたような錯覚を覚えた。
「アオイ様……今一度お聞き致します……このまま、お休みになられてしまうのでしょうか?」
言葉で答えるよりも、先に身体が応えてしまっていた。強請るような、求めてくれているような。切ない響きの声色と熱のこもった眼差しに突き動かされて。
気がつけば、薄く開いたままの形のいい唇に、自分の口を重ねてしまっていたんだ。
「……ん、ふ……ぅん……ぁ、む……」
頭の片隅でギリギリ息をしている冷静な部分が、随分と思い切ったことをしたな……と至極客観的な感想を漏らす。現に彼も驚いたように、長い睫毛をぱちぱち瞬かせているしさ。
なんせ、俺の方から彼の口内へと舌を忍ばせているんだからな。いつもバアルさんから優しくエスコートされっぱなしのヘタれな俺が。
こういった経験値がカンスト済みの彼には、全く及ばないけれど。いつもしてもらっている感覚を思い出しながら、整った歯列を舌先でなぞっていく。
ツルツルとした表面の舐め心地が良いからだろうか? なんだか背筋がぞくぞくしてしまう。
……俺の方が、気持ちよくなってしまいそうだ。ほんの少しでもバアルさんに、気持ちがいいって思って欲しいのに……
「んぅっ……ん、ん……」
不意に走った甘い痺れが、俺の思考を一気に蕩けさせていく。あっという間だった。触れ合った部分からくつくつと、喉の奥で笑う声を感じてからは。
熱く湿った彼の温度に絡め取られ、擦り合わされて。ただでさえ、身体の奥底からじわりと滲んできていた心地のいい感覚を、強引に引きずり出されてしまった。
「ふっ……んん……ぁ……んっ……」
それからはもう、ただただいつも通りの展開だ。
よしよしと大きな手に背中を撫で回されながら、彼に与えてもらえる気持ちのいい感覚に身を委ねるだけ。
というか、それが精一杯なんだ。俺だって、もっとバアルさんに喜んでもらえるように頑張りたいんだけどさ。
「んむぅっ……ん……ふ……」
いきなり強く舌先を吸われ、俺の意志に関係なく腰がびくびく跳ねた。じくじくと何とも言えない感覚が全身に広がっていって……なんだかスゴくもどかしい。
落ち着きなく身体をもじもじ揺らしている内に、彼が離れていってしまった。
「は、ふぁ……」
湿った音を立て続けていた証が、少し距離が空いてしまった俺達の間で透明な糸を引く。
もうちょっとだけ……して欲しかったな……
ぼんやり考えるだけの余裕は、瞬く間に消されてしまうことになる。真っ赤な舌で唇を舐め、どこか楽しげに口の端を持ち上げた彼の手によって。
「ひょわっ!?」
反射的に短く叫ぶのと同時に顔を離していた。
いつの間に灯されていたのか。シャンデリアの明かりがぼんやりと室内を照らす中、見上げた先でしっかり開いている寂しそうな瞳とかち合う。
思わずひっくり返った悲鳴で返してしまっていた俺に、追い打ちをかけるかのように彼が言葉を重ねていく。どこか甘い響きを含んだ低音で。
「てっきり私めは、貴方様から愛らしい口づけを賜われるのだと……年甲斐もなく期待に心を躍らせておりましたが……」
細く長い指から顎を持ち上げられ、白い頬をほんのり染めた彼との距離が余計に近くなる。額がちょこんと重なり、スッと通った高い鼻が、甘えてくれているみたいに俺の鼻先にすり寄ってきた。
「あ……いや、その……もし、まだ起きてたら…………キス、してくれませんかって……お願いしようとは、思っていたんですけど……」
気がつけば、素直に洗いざらい自供してしまっていた。喉だけでなく、身体も震わせてしまっている俺を映し続けている、若葉のように鮮やかな緑の瞳が細められる。
「左様でございましたか、ご配慮頂きありがとうございます。ですが……」
一瞬の内に、目どころか心まで釘付けにされてしまっていた。いくつもの六角形のレンズで構成された煌めく瞳に、燃えるような妖しい光が灯ったせいだ。
「私めと致しましては……貴方様のお望みのままに、私を愛して頂けると……大変嬉しく存じます」
「ふぇ……」
「私は、いついかなる時も……貴方様から求めて頂けるのを……心待ちにしているのですから」
「あ、ぅ……」
……ドキドキとはしゃぎっぱなしの心臓が破裂してしまいそうだ。柔らかい低音が紡ぐ嬉しすぎるお言葉に、間近に感じる熱い吐息に。
もう俺は、全くもって言葉としての意味を成していない、潰れたような音の羅列しか発せらなくなっていた。
震える俺の手に、温かい手が重なる。指を絡めて強く握られた瞬間、心まで掴まれたような錯覚を覚えた。
「アオイ様……今一度お聞き致します……このまま、お休みになられてしまうのでしょうか?」
言葉で答えるよりも、先に身体が応えてしまっていた。強請るような、求めてくれているような。切ない響きの声色と熱のこもった眼差しに突き動かされて。
気がつけば、薄く開いたままの形のいい唇に、自分の口を重ねてしまっていたんだ。
「……ん、ふ……ぅん……ぁ、む……」
頭の片隅でギリギリ息をしている冷静な部分が、随分と思い切ったことをしたな……と至極客観的な感想を漏らす。現に彼も驚いたように、長い睫毛をぱちぱち瞬かせているしさ。
なんせ、俺の方から彼の口内へと舌を忍ばせているんだからな。いつもバアルさんから優しくエスコートされっぱなしのヘタれな俺が。
こういった経験値がカンスト済みの彼には、全く及ばないけれど。いつもしてもらっている感覚を思い出しながら、整った歯列を舌先でなぞっていく。
ツルツルとした表面の舐め心地が良いからだろうか? なんだか背筋がぞくぞくしてしまう。
……俺の方が、気持ちよくなってしまいそうだ。ほんの少しでもバアルさんに、気持ちがいいって思って欲しいのに……
「んぅっ……ん、ん……」
不意に走った甘い痺れが、俺の思考を一気に蕩けさせていく。あっという間だった。触れ合った部分からくつくつと、喉の奥で笑う声を感じてからは。
熱く湿った彼の温度に絡め取られ、擦り合わされて。ただでさえ、身体の奥底からじわりと滲んできていた心地のいい感覚を、強引に引きずり出されてしまった。
「ふっ……んん……ぁ……んっ……」
それからはもう、ただただいつも通りの展開だ。
よしよしと大きな手に背中を撫で回されながら、彼に与えてもらえる気持ちのいい感覚に身を委ねるだけ。
というか、それが精一杯なんだ。俺だって、もっとバアルさんに喜んでもらえるように頑張りたいんだけどさ。
「んむぅっ……ん……ふ……」
いきなり強く舌先を吸われ、俺の意志に関係なく腰がびくびく跳ねた。じくじくと何とも言えない感覚が全身に広がっていって……なんだかスゴくもどかしい。
落ち着きなく身体をもじもじ揺らしている内に、彼が離れていってしまった。
「は、ふぁ……」
湿った音を立て続けていた証が、少し距離が空いてしまった俺達の間で透明な糸を引く。
もうちょっとだけ……して欲しかったな……
ぼんやり考えるだけの余裕は、瞬く間に消されてしまうことになる。真っ赤な舌で唇を舐め、どこか楽しげに口の端を持ち上げた彼の手によって。
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