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★ そう言えば……よく首にキスしてくれるけど
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……もしかして、これは……甘えてもらえているんだろうか。
真新しいシーツの上でだらんと四肢を投げ出している俺を、抱きまくらよろしく筋肉質な腕がぎゅうぎゅう包み込んでくれている。
頬が触れ合う形で俺の首元にくっついてくれているから、柔らかい笑顔が見られないのが少し寂しい。
でも時々、頬や額に穏やかに綻んだ唇を寄せてもらえているんだから、プラマイゼロどころか大幅なプラスなんだけどさ。
……バアルさんから見た、普段の俺の行動ってこんな感じなんだな。まぁ俺の場合は、逞しいお胸に顔を埋めさせていただいているんだが。
いつもながらバアルさんの腕の中は快適だ。落ち着くっていうか、癒やされるというか、満たされるというか……とにかくスゴい。マイナスイオンとか出てるって絶対。
程よい弾力がある温もりと優しいハーブの匂いも相まって、今度は深い方の眠りに誘われていた時だった。
「んっ……ぁ……」
ほんの少しだけ首の辺りに触れた柔らかい感触に、鎮まっていた淡い感覚を呼び起こされてしまった。
軽く眠ってしまっていたとはいえ、いたしてもらったばかりだからな。敏感になっちゃってたのかもしれない。
「申し訳ございません……つい触れたくなってしまいました」
そっと顔を離した彼が、形のいい眉を下げる。とはいえ、悪びれた様子はなさそうだ。
ちょこんと額をくっつけ、触れるだけのキスをくれる唇はどこか悪戯っぽく微笑んでいる。
「ん……だ、大丈夫ですよ。そう言えば、バアルさんって……え、えっちの時にも俺の首に、キス……してくれますよね?」
「ええ、お嫌でしたか?」
ふと頭に浮かんだ疑問を何の気なしに口にすると、若葉を思わせる緑の瞳が寂しそうに細められる。
「いえ、全然っ……むしろ気持ちいいっていうか、余計に感じちゃ……ってそうじゃなくて、その……何か、あるのかなって……」
そんな訳は一切無いんだと、バアルさんにしてもらえることで嫌なことなんか何一つ無いんだと、伝えようとしたからだ。
思わず、言わなくていいことまでぶっちゃけてしまっていた。まぁ、嬉しそうな笑顔が見れたから全然構わないんだけどさ。
目尻を下げ、柔らかい笑みを浮かべている彼の大きな手が、俺の背中をゆったり撫でてくれる。
今度は俺が衝撃を受けることになる。彼が平然と言った答えによって。
「端的に申しますと……良い匂いがするから、でございますね」
「ふぇ?」
「貴方様の魔力から発する甘い香りに、大変心惹かれてつい………特に、気持ちよくなって頂けている時は、香りが増しておりますので……」
口をぱくぱくさせているだけの俺に対して、彼はつらつらと歌うように言葉を紡いでいく。
普段の俺だったらこの時点でノックアウトされてしまっているだろう。嬉しいやら恥かしいやらで。
ただ、今の俺は疑問の方が口をついて出ていたんだ。まぁ、ついさっきまで、もっと嬉しいことをいたしてもらっていたからな。一時的に免疫? みたいなのがついたんだろう。多分。
「魔力って、匂い……あるんですか?」
「はい」
「じゃあ、もしかして……バアルさんからするハーブみたいな優しい香りも、魔力の匂いなんですか?」
続けて尋ねた俺を、優しく見つめていた瞳が大きく開く。何で、驚いているんだろう?
まだまだ魔術が未熟な人間の俺でもするんだったら、時を自在に操るほど素晴らしい使い手の彼ならしない訳がないだろうに。
むしろ魔力が強いから、あんなに優しくていい匂いがするんじゃないのか?
「……アオイも、私の魔力を感じ取られていらっしゃったのでしょうか?」
「へ? あ、はい。初めて会った時から、ずっとしてましたけど……んっ」
噛みつくような口付けに半開きの口を塞がれる。頭の中に浮かんでいた疑問は、あっという間に咲き乱れたお花達によって押し退けられ、消えていった。
すっかり夢中になっていたんだ。求め合うみたいに何度も優しく食んでくれる、彼との甘い触れ合いに。
「……ん……は、ぁ……バアル、さん……」
「……失礼致しました。あまりの喜びに、年甲斐もなく心が躍ってしまいまして……」
深く絡め合っていないのに、呼吸も鼓動も乱しまくっている俺に対して彼は余裕綽々だ。
これが経験値の差ってやつか……
ぽつりと浮かんだ不満も、あっさり溶けていってしまう。大きな手のひらによしよしと頭を撫でてもらいながら、喜びにあふれた唇で頬や目尻にも触れてもらえて。
そんでもって、思考能力も何もかも、全部一気に吹き飛ばされることになったんだ。
「匂いとして……互いの魔力を感じ取れるということは、私とアオイ様との相性が抜群に良い、ということですので……」
「ひぇ……」
蕩けるような微笑みを浮かべた彼からの言葉が嬉しくて、心だけじゃなくて身体も震えてしまう。一時的な免疫だとか、俺の気のせいだったらしい。
今度こそ無事俺はノックアウトされてしまっていた。引き締まった腕に抱き締められながら、くたりと逞しいお胸に顔を埋めることになったんだ。
真新しいシーツの上でだらんと四肢を投げ出している俺を、抱きまくらよろしく筋肉質な腕がぎゅうぎゅう包み込んでくれている。
頬が触れ合う形で俺の首元にくっついてくれているから、柔らかい笑顔が見られないのが少し寂しい。
でも時々、頬や額に穏やかに綻んだ唇を寄せてもらえているんだから、プラマイゼロどころか大幅なプラスなんだけどさ。
……バアルさんから見た、普段の俺の行動ってこんな感じなんだな。まぁ俺の場合は、逞しいお胸に顔を埋めさせていただいているんだが。
いつもながらバアルさんの腕の中は快適だ。落ち着くっていうか、癒やされるというか、満たされるというか……とにかくスゴい。マイナスイオンとか出てるって絶対。
程よい弾力がある温もりと優しいハーブの匂いも相まって、今度は深い方の眠りに誘われていた時だった。
「んっ……ぁ……」
ほんの少しだけ首の辺りに触れた柔らかい感触に、鎮まっていた淡い感覚を呼び起こされてしまった。
軽く眠ってしまっていたとはいえ、いたしてもらったばかりだからな。敏感になっちゃってたのかもしれない。
「申し訳ございません……つい触れたくなってしまいました」
そっと顔を離した彼が、形のいい眉を下げる。とはいえ、悪びれた様子はなさそうだ。
ちょこんと額をくっつけ、触れるだけのキスをくれる唇はどこか悪戯っぽく微笑んでいる。
「ん……だ、大丈夫ですよ。そう言えば、バアルさんって……え、えっちの時にも俺の首に、キス……してくれますよね?」
「ええ、お嫌でしたか?」
ふと頭に浮かんだ疑問を何の気なしに口にすると、若葉を思わせる緑の瞳が寂しそうに細められる。
「いえ、全然っ……むしろ気持ちいいっていうか、余計に感じちゃ……ってそうじゃなくて、その……何か、あるのかなって……」
そんな訳は一切無いんだと、バアルさんにしてもらえることで嫌なことなんか何一つ無いんだと、伝えようとしたからだ。
思わず、言わなくていいことまでぶっちゃけてしまっていた。まぁ、嬉しそうな笑顔が見れたから全然構わないんだけどさ。
目尻を下げ、柔らかい笑みを浮かべている彼の大きな手が、俺の背中をゆったり撫でてくれる。
今度は俺が衝撃を受けることになる。彼が平然と言った答えによって。
「端的に申しますと……良い匂いがするから、でございますね」
「ふぇ?」
「貴方様の魔力から発する甘い香りに、大変心惹かれてつい………特に、気持ちよくなって頂けている時は、香りが増しておりますので……」
口をぱくぱくさせているだけの俺に対して、彼はつらつらと歌うように言葉を紡いでいく。
普段の俺だったらこの時点でノックアウトされてしまっているだろう。嬉しいやら恥かしいやらで。
ただ、今の俺は疑問の方が口をついて出ていたんだ。まぁ、ついさっきまで、もっと嬉しいことをいたしてもらっていたからな。一時的に免疫? みたいなのがついたんだろう。多分。
「魔力って、匂い……あるんですか?」
「はい」
「じゃあ、もしかして……バアルさんからするハーブみたいな優しい香りも、魔力の匂いなんですか?」
続けて尋ねた俺を、優しく見つめていた瞳が大きく開く。何で、驚いているんだろう?
まだまだ魔術が未熟な人間の俺でもするんだったら、時を自在に操るほど素晴らしい使い手の彼ならしない訳がないだろうに。
むしろ魔力が強いから、あんなに優しくていい匂いがするんじゃないのか?
「……アオイも、私の魔力を感じ取られていらっしゃったのでしょうか?」
「へ? あ、はい。初めて会った時から、ずっとしてましたけど……んっ」
噛みつくような口付けに半開きの口を塞がれる。頭の中に浮かんでいた疑問は、あっという間に咲き乱れたお花達によって押し退けられ、消えていった。
すっかり夢中になっていたんだ。求め合うみたいに何度も優しく食んでくれる、彼との甘い触れ合いに。
「……ん……は、ぁ……バアル、さん……」
「……失礼致しました。あまりの喜びに、年甲斐もなく心が躍ってしまいまして……」
深く絡め合っていないのに、呼吸も鼓動も乱しまくっている俺に対して彼は余裕綽々だ。
これが経験値の差ってやつか……
ぽつりと浮かんだ不満も、あっさり溶けていってしまう。大きな手のひらによしよしと頭を撫でてもらいながら、喜びにあふれた唇で頬や目尻にも触れてもらえて。
そんでもって、思考能力も何もかも、全部一気に吹き飛ばされることになったんだ。
「匂いとして……互いの魔力を感じ取れるということは、私とアオイ様との相性が抜群に良い、ということですので……」
「ひぇ……」
蕩けるような微笑みを浮かべた彼からの言葉が嬉しくて、心だけじゃなくて身体も震えてしまう。一時的な免疫だとか、俺の気のせいだったらしい。
今度こそ無事俺はノックアウトされてしまっていた。引き締まった腕に抱き締められながら、くたりと逞しいお胸に顔を埋めることになったんだ。
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