間違って地獄に落とされましたが、俺は幸せです。

白井のわ

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★ 今からアオイ様を、擬似的に抱かせて頂きます

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「ひぁっ……ば、バアルさん……これって……」

 ……なんだか、とってもえっちだ。ドキドキする。

 斜めに反り上がり、血管が浮き出てぬらぬら光る彼のものが、俺の股から伸びている。

 おまけに、ちょうど当たってしまっているもんだから……堪らない。半分勃ってる俺の裏筋と先端を擦るみたいに、彼の太い竿が。

「このように……太股の間に陰茎を挟み、抜き差しする行為を素股といいます」

「へ? 抜き差しって……それじゃあ……」

 ちょっ、ちょっと待ってくれ……入れたり、出したりするってことは、バアルさんが……俺に……こ、腰を振ってくれるってことで……

 そんなの、実質……アレじゃないか。挿れてないだけで……もう、セッ……というか……シちゃう、みたいなもんじゃないか。

「……はい。今からアオイ様を、擬似的に抱かせて頂きます」

 言葉の先を汲み取った彼が肯定し、宣言する。

「……ひぇ……」

 思いがけない事態に、嬉し過ぎてどうにかなってしまいそうだ。

「貴方様に問題がなければ、ではございますが……」

 浮かれまくって、言葉が引っ込んでしまったせいだ。彼を不安にさせてしまった。離れかかっていた手のひらを、しっかり繋ぎ直す。

「……して、ください……して欲しい、です……俺、バアルさんに抱いて欲しい……」

「……アオイ……」

 顔だけで振り向くと、少し滲んだ緑の瞳とかち合った。スッと通った鼻先が触れ、互いの熱い吐息が混じっていく。

「ゆっくり、優しく致します……ですので、何か有ればすぐに仰って下さいね……?」

「……はい」

 求め合うようなキスの後に、彼が囁く。とびきり優しい口づけを頬へ送ってくれてから、熱く太いものがゆったりと俺の内股を擦り始めた。

 ぱんっ……ぱんっ……と皮膚と皮膚とが打ち合う音と共に、ベッドがぎしぎしと悲鳴を上げる。

「ん……ぁ、あっ、あ……」

 あっ……ヤバい、マズい……ホントに俺、えっちしてる……バアルさんに、抱いてもらってるんだ……

 いや、今までも……たっぷり、じっくり致してもらっていたけどさ……

 なんか、全然違う……今、俺……滅茶苦茶……興奮、しちゃってるみたいだ……

「はっ、は……アオイ……大丈夫、ですか?」

「んんっ…………は、はい……大丈夫……っあ、気持ち……いいですよ……」

 熱を帯びた声と、荒い吐息が鼓膜を揺らす。危なかった……少し、イきそうになってしまった。

 ……感じちゃったんだと思う。いつもと違って余裕のない彼の声が嬉しくて、お腹の下辺りが……きゅんってしたんだ。

「バアルさんは……んっ……気持ちいい、ですか?」

「はい、とても……貴方様と……斯様に触れ合える喜びの余り、すぐに……達してしまいそうです……」

 ……もう、ダメだった。堪えられなかったんだ。

 電気が流れているみたいに、勝手に腰がびくびく震え出す。ピンっと伸ばした足が、シーツに大きなシワを描いていく。

「ッ……んぅ…………ぁ、あぁ……」

 一気にジンと熱くなった俺のものからぴゅるっと漏らしてしまったものが、触れ合う彼のものをますますとろりと濡らしていく。耳にかかっていた吐息に微かな喜びが混じった。

「少し……達してしまいましたか?」

「あ……ごめんなさい……俺、一緒が……良かったのに、我慢……出来なくて……」

「ふふ、大丈夫ですよ……いっぱい気持ちよくなられて下さい……その方が、私は大変嬉しく存じます」

 振り向けば、甘やかすような口づけをたっぷり送ってもらえた。

 薄く口を開き、彼の体温を受け入れる。お互いに夢中で絡め合っていると、徐々に彼の動きが激しくなっていった。

「ふっ……ぅん……ん、ん、ぁっ……んむ……」

 絶えず俺達がぶつかり合う音が、薄暗い室内に響く。ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ……ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ……といやらしい音を鳴らし続けている。

 また、限界が訪れようとしていた。熱い体温を全身で感じながら、気持ちのいい感覚だけを上からも下からも与えてもらって。

「あ……イくっ……バアルさ……あっ、あっ……お願い……一緒に……あぁっ……」

「……畏まりました」

 俺の手をぎゅっと握ってくれた彼が、力強く腰を打ちつける。濡れそぼった俺達のものが激しく擦れ合って……気がつけば俺も、彼の動きに合わせて必死に腰を揺らしていた。

「……アオイ、アオイ……」

 ベッドの上で一つの生き物になったみたいに蠢き、ひたすら心地のいい感覚に溺れていく。

 筋肉質な腕の中に閉じ込められ、名前を呼ばれながら何度も、何度も……

「あっ、あっ、気持ち……バアル……っあ……あ、んっ……ひぁ……」

 全身に広がっていた甘い痺れが脳の奥まで届いて、ちかちかと目の前で星が舞う。

 俺が声にならない悲鳴を上げながら全身を震わせたのと同時に、熱いものが放たれてシーツを濡らした。



 ……クセになってしまいそうだ。気持ちよかったてのも勿論ある。あるんだけれど、バアルさんに抱いてもらってるって強く感じるから余計に。

「……お加減はいかがでしょうか?」

 ゆったりと俺の背中を撫でながらバアルさんが尋ねる。いつも通り、俺が気づいた時には、頭の天辺から爪先までキレイにしてもらえていた。当然、彼自身も。

「……大丈夫、です……むしろ、スゴく……気持ちよかったから……その……」

「左様でございますか……大変嬉しく存じます。私も気持ちよかったですよ……」

 俺を映す、煌めく緑の瞳が嬉しそうに細められる。温かい彼の腕の中、優しく額や頬に触れる唇の感触が心地よくて、だんだん瞼が重くなってしまう。

 襲いくる眠気から必死に抗っていると、くすくすと笑われてしまった。

「ふふ、大丈夫ですよ……ゆっくりお休みになって下さい。本日は、たくさん私のお願いを聞いて下さり、誠にありがとうございました」

「そんな、俺の方こそ……ありがとう、ございます……スゴく、嬉しかったです……」

 何とかお礼を言いきって、安心してしまったんだろう。意識がずぷずぷと夢の世界へと飲み込まれていってしまう。

 ほとんど閉じかけていた視界に、とても嬉しそうに微笑むバアルさんが映っていた。
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