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気まずい再会は、突然に

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 相手の感情っていうか、気持ちってさ。なんでだか分からないけど……うつっちゃう時ってあるよな?

 例えばその人が嬉しそうに笑ってたら、こっちもなんだか楽しくなってきちゃうし。緊張してるなぁっていうのが伝わってくると、こっちまでドキドキしちゃったりとかさ。

 ということは、だ。逆に、俺が相手にうつすっていうか、伝えることも出来るはずだよな? 出来ると、思ってたんだけどなぁ……



 俺達の向かいのソファーで、ぷるぷると小動物のように震えている少年の、小さな口が開きかけてはまたすぐに閉じる。

 よっぽど緊張してしまっているのだろう。もともと白い彼の頬は、余計に青白く血の気が引いてしまっている。見ているだけで胸の奥が締めつけられ、痛んだ。

 寄り添うように隣で腰掛ける青年の手が、か細い背中を宥めるように、励ますように、そっと撫で続けている。

 その応援に応えようとしたんだろう。意を決したように少年の丸い薄紫色の瞳が前を向き、俺とかち合ったものの、すぐまたしょんぼりと下を向いてしまった。

 隣に居てくれる彼、バアルさんは、俺と手を繋いでくれたまま、静かに少年を見守っている。宝石のような、いくつもの六角形のレンズで構成された瞳を、心配そうに細めて。

 席の位置で言うと上座……だっけ? 長方形の縦の位置にどっしりと、丸太のように太い足を大股に広げて座るサタン様も、黙って見守るだけ。そわそわと大柄な身体を揺らしながら、しきりに立派な顎髭を触っているだけだ。

 自己紹介もそこそこにサタン様から「黙っていて申し訳ない」と「しかし、まずは彼の話を聞いてあげて欲しいのじゃ」とスライディング土下座をされてから、もうどれくらい……このやり取りを繰り返したんだろう?

 俺の胃はすでに、無理矢理彼らを呼び出してしまった申し訳なさで、キリキリと悲鳴を上げっぱなしだ。
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