気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

文字の大きさ
上 下
458 / 518
細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)

★ 最初の一歩

しおりを挟む
 蕩けるような甘い声に誘われて即座に頷けば、ソレイユも微笑み返してくれた。

「そのまま、楽にしていてね……」

「はい……」

 意識して力を抜こうとすると逆に緊張しそうな気がしたので、言われた通りにこのままを維持しようとした。指の先すら動かさないようにしていた。

 でも、顔にはしっかりと出てしまっていたんだろう。

「大丈夫、大丈夫だよ……」

 語りかけてくるソレイユの声は優しく、自然と笑顔になれるような安心出来るものだった。

 微笑む眼差しは、柔らかな光を湛えたオレンジの瞳は俺の心を掴んで離さない。すっかり見惚れてしまっていると、不意に尻の辺りに重たい感覚を覚えた。

「あっ、ぅ……」

 少しだけ、ぐっと穴の周囲の皮膚が突っ張るような感覚はしたものの、それはぬるりと俺の中へと入ってきた。今よりも更に奥へと侵入してきた。尻の中に明らかな存在感を、長い指の温度を感じる。

 ホントに……ソレイユの指が、俺の中に入ってきて……

 込み上げてきたのは喜びだけではない。不思議なことに俺は感動を覚えていた。多分、これがソレイユを受け入れられる為の最初の一歩になったんだと実感したからだろう。

 このまま一つ一つ確実にステップを重ねていけば、いずれソレイユに。そんな気の早いことまで考えてしまうほどに俺は舞い上がってしまっていたのだ。

「大丈夫、シュン?」

「はい、大丈夫です。痛くも何ともありません……ところで指は、その……入ったんですよね、ちゃんと」

「うん、入ってるよ……よく頑張ったね、シュン」

 ソレイユは優しく微笑みかけてくれたものの、またすぐに表情を曇らせてしまった。

「ところで、ホントに大丈夫? 痛くはなくても何か違和感とか……気持ち悪かったりとかはしない?」

 よっぽど心配してくれているんだろう。ちゃんと安心してもらえる為にも、ありのままの自分の状態を伝えなければ。

「違和感とかも、何もないです……それよりもどちらかといえば嬉しさの方が勝っているっていうか……」

「嬉しさ……」

 俺の言葉を繰り返したソレイユはピンときてはいないようだった。でも、すぐに言いたいことを理解してくれたのか、その中性的な整った顔が一気に赤く色づいていく。

「ちょ、ちょっと待って……それって、つまり……」

 嬉しそうな照れくさそうなソレイユのリアクションに、すっかり俺は気を良くしてしまっていた。

 調子づいて、普段ならば勇気をかき集めなければ言えないことも簡単に伝えることが出来ていた。

「はい……このまま上手く行けば、ソレイユに抱いてもらえる日も近いかなって考えちゃってて……だから、変な感じは何も」

「っ……」

 ますますソレイユの顔が赤くなる。見たことがないくらいに照れているソレイユについ笑みがこぼれてしまっていた。

「ふふ、ソレイユ、可愛い……」

「か、可愛いのはシュンの方でしょ……」

 拗ねたように尖らせた唇でそう呟いてから、ソレイユは深呼吸をするように大きく息を吸って吐いてを繰り返し始めた。数回終えた頃には、少し頬の赤さも落ち着きを取り戻していた。

「じゃあ、まだこのまま……続けても大丈夫なんだね?」

「うんっ」

 続きをしてもらえる。その嬉しさばかりに気を取られて、俺は喜び勇んで頷いていた。とはいえ、すぐにはたと気づく。

 続きって、何をしてもらえるんだろう?

「ねぇ、ソレイユ……」

 ちょっとだけ不安を覚えてしまった俺が尋ねる間もなく、ソレイユは柔らかく微笑んでくれた。ちゃんとこれからすることを教えてくれた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

ド平凡な俺が全員美形な四兄弟からなぜか愛され…執着されているらしい

パイ生地製作委員会
BL
それぞれ別ベクトルの執着攻め4人×平凡受け ★一言でも感想・質問嬉しいです:https://marshmallow-qa.com/8wk9xo87onpix02?t=dlOeZc&utm_medium=url_text&utm_source=promotion 更新報告用のX(Twitter)をフォローすると作品更新に早く気づけて便利です X(旧Twitter): https://twitter.com/piedough_bl

平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます

ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜 名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。 愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に… 「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」 美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。 🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶 応援していただいたみなさまのおかげです。 本当にありがとうございました!

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

転生したら同性から性的な目で見られている俺の冒険紀行

BL
ある日突然トラックに跳ねられ死んだと思ったら知らない森の中にいた神崎満(かんざきみちる)。異世界への暮らしに心踊らされるも同性から言い寄られるばかりで・・・ 主人公チートの総受けストリーです。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

処理中です...