気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

文字の大きさ
上 下
400 / 500
細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)

なんというか、むず痒い、いい意味で

しおりを挟む
 今だかつて、こんなに緊張した正座はあっただろうか?

 いや、ない。ほんの僅かな身動きですら躊躇してしまうような。でも、ずっとこのままでいたいような。そんなひと時なんて。

 先輩の安全運転にて、モールから俺の部屋と戻ってきた俺達は、早速お部屋デートを。ベッドにて、俺の膝を先輩に提供している。

 必死に背筋を伸ばしながら自分の膝の上へと目線を落とせば、すぐに微笑むオレンジの瞳とかち合った。俺の大して逞しくもなく、かといって柔らかくもない太ももに先輩が頭を預けてくれている。形の良い唇をご機嫌そうに綻ばせて、俺をじっと見上げている。

 なんというか、むず痒い。いい意味で。

 とはいえ、このままただ見つめ合っているのは。ちょっと、いや、結構照れ臭いな。

「……どう、ですか? 大丈夫ですか? 居心地悪くありません? 硬い、とか」

「全っ然! むしろすっごい快適っ、最高っ! あ、でも」

 食い気味で返っきた嬉しい言葉の数々に、力が入りまくっていた肩がほっと緩んだのもつかの間。最後にくっついてきた後ろ向きな言葉が引っかかってしまう。

「……でも、なんです?」

 聞きたくはないが、聞くよりほかは。だって、気になって仕方がない。それに、その「でも」を俺が改善することが出来れば、より先輩に快適な膝枕を提供することが。
 
「このままシュンちゃんに撫で撫でしてもらえたら、もっと幸せなんだけどなぁ……」

「ぅ、え……っ」

 思わずびくりと動揺していた俺の手を取り、そのしなやかな指で撫でてくる。俺をじっと見つめてくる眼差しが楽しげに微笑んでいる。

 すでに舞い上がり始めている俺の気持ちを知ってか知らずか、先輩はさらに魅力的なことを囁いてきた。

「オレの番が来た時に、シュンちゃんにもっとサービスしちゃうんだけどなぁ……」

「なっ……なな……っ」

 俺の手のひらに頬を擦り寄せてくれるどころか、悪戯っぽく微笑む唇を指先に寄せてくる。

「……成る、ほど……頑張ります、頑張らせていただきますっ」

「うん、よろしくね」

 満足そうに笑みを深めてから、先輩は俺の手を解放した。しなくてもいいのにと、後ろ髪を引かれかけたが仕方がない。俺からを求められているのだから、そうすることで先輩に喜んでもらえるのだから。

 逞しい胸板に添えた手を、どこかそわそわと動かしながら待ってくれている先輩。期待に満ちた眼差しで見つめてくる彼の頭に、そっと手を添えた。

「ん、フフ……」

 まだ動かしてもいないのに。緩やかな笑みを浮かべた唇から、ご機嫌そうな笑みがこぼれた。

 緩やかにウェーブのかかっている髪はふわふわとしていながらも、表面はツルツルとしていて撫で心地がいい。ずっと撫でていたくなってしまう。先輩からの百点満点なリアクションと感想も相まって。

「あー……やっぱりオレ、シュンちゃんに撫でてもらえるの好きだなぁ……」

「そ、う……ですか……」

「うん……単純にシュンちゃんのこと好きだから嬉しいってのもあるんだけどさ。なんかさ、めっちゃ安心するんだよねぇ……」

 つい手を止めてしまっていたようだ。噛み締めるように言いながらも先輩は、もっと撫でて欲しいと言わんばかりにその頭を手のひらに擦り寄せてくる。

 慌ててその柔らかな髪を撫でれば、また満足そうに目尻を下げた。

 しばらくは、ゆったりまったりと。俺の心音は相変わらずはしゃいでしまっていたが、穏やかな時間が流れていた。

「シュンちゃん……」

 また、事態が賑やかなことになり始めたのは、先輩の呼びかけから。その声色は、どこか甘えているような。

「はい。どうかしました? ソレイユ先輩」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

その捕虜は牢屋から離れたくない

さいはて旅行社
BL
敵国の牢獄看守や軍人たちが大好きなのは、鍛え上げられた筋肉だった。 というわけで、剣や体術の訓練なんか大嫌いな魔導士で細身の主人公は、同僚の脳筋騎士たちとは違い、敵国の捕虜となっても平穏無事な牢屋生活を満喫するのであった。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

可愛い遥ちゃんは女の子じゃない。

歌美流
BL
⚠️注意⚠️ BL(ボーイズラブ)の小説です。激しい内容は今のところ出さない予定でいます。苦手な方は回れ右でお願い致します🙇‍♀️ ~内容~ 三上 遥(みかみ はるか)は可愛らしい容姿とそれでいてその容姿に無自覚でお人好しで人たらしな男の子である。そう。可愛らしい容姿と女の子にも取られる名前で初対面の人には毎回女の子と間違われるのだ。そんな可愛くて無自覚天然な男の子が男子校に通うお話。 ~挨拶~ はじめまして歌美流(かみる)と申します。初作品初BLなので誤字脱字や読みにくい拙い文章になってしまうと思いますがもし誤字脱字などありましたら優しく教えてくれたりするととても嬉しいです!この作品を見つけてくださってありがとうございます!

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

悪い兄は弟の命令通りに身をくねらせる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

ファミリア・ラプソディア エバーアフター

Tsubaki aquo
BL
「5人で恋人同士」なカップルの日常話+リクエスト頂いたお話をこちらでまとめています。 ●ファミリア・ラプソディア本編完結済み● 本編→https://www.alphapolis.co.jp/novel/807616543/930403429 本編では悲喜交々ありましたが、こちらの日常回では大きな事件は起こらない(たぶん)です。 前書きに、お話の雰囲気のタグを記載しています。 イチャイチャ、まったり、コメディ、アダルトシーン多めの予定。 不定期更新です。 もしもリクエストなどございましたら、 マシュマロ(https://marshmallow-qa.com/aumizakuro) または、 twitter(https://twitter.com/aumizakuro) にて、お気軽にドウゾ!

ド平凡な俺が全員美形な四兄弟からなぜか愛され…執着されているらしい

パイ生地製作委員会
BL
それぞれ別ベクトルの執着攻め4人×平凡受け ★一言でも感想・質問嬉しいです:https://marshmallow-qa.com/8wk9xo87onpix02?t=dlOeZc&utm_medium=url_text&utm_source=promotion 更新報告用のX(Twitter)をフォローすると作品更新に早く気づけて便利です X(旧Twitter): https://twitter.com/piedough_bl

処理中です...