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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
気が早いけれども、憧れの
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お揃いのもの。先輩とのペアグッズ。そんなの俺だって欲しい。いかにも恋人って感じだし。それに。
……先輩とのお揃いってだけで、それを眺めているだけでも元気が出そうだな。
だったら、実用的な物の方がいいよな。身につけられる物とかだったら、よりいいかも。
「お揃いにするんだったら……やっぱり、普段使えるような物の方がいい、ですよね?」
「だね。ふとした時に取り出して見て、シュンちゃんとお揃いだなぁって眺めて、こっそりニヤニヤしたいなぁ」
「な……っ」
まさか、そんな堂々と宣言されるとは。いや、俺も、おんなじようなことを思ってはいたけれどさ。
先輩のことだ、絶対に分かっているハズだ。俺が、ただ単に照れてしまっているだけだって。
だというのに、彼の細い眉はしょんもりと下がっていく。俺の手を取り、じっと見つめてきた瞳は微かに潤んで見えた。
「えぇ……シュンちゃんは、ニヤニヤしてくれないの?」
あざとい。でも、可愛い。寂しそうな顔も、声も。
流石の俺も学習してきた。この感じはホンキのヤツじゃないって。ただ、俺の本心を聞き出したくてしょんぼりしてるだけだって。
「……しない訳、ないでしょう……」
分かってはいる。けれども、俺の口は先輩の思い通りに動いてしまっていた。隠そうとしていた本心を、そのまま伝えてしまっていた。
「先輩とのお揃いなんですから……何回でも眺めたくなっちゃうだろうし、見てるだけで嬉しくなるに決まってるじゃないですか……」
「……だよね! じゃあ、普段から持っていられるような、小物系にしようか?」
案の定、先輩はコロリと満面の笑顔を咲かせた。ご機嫌そうに目尻を下げながら、長い腕を俺の腰に回してくる。ぴったりと密着してしまうくらいに抱き寄せてくる。
隠す気が全くないあからさまな変わりように、やっぱりなぁと思いつつも、可愛いなぁの方が勝ってしまっていた。
「そうですね……ハンカチとか、アクセサリーとか……っ」
お揃いのアクセサリーは、どうなんだろうか。
いや、もう、イヤリングはもらっているんだけれど。でも、それは片割れだし。ちゃんとした? ペアなものではないし?
無難そうなところでいうと、ネックレスとか、かな? ペアリングとか憧れちゃうけど、流石に気が早……いやいや、別にそういう意味じゃないしっ!
……いや、まぁ、そういう意味でも俺的には構わないっていうか。先輩となら、やぶさかではないっていうか。
自分から言い出しておいて、すっかり俺は思考の渦にハマってしまっていた。先輩を放ってしまっていた。
熱を持った頭の中だけでなく、目の前までぐるぐるしかけていた頃、耳元で尋ねられた。
「……そうだねー、さっきシュンちゃんにブレスレット選んでもらったし。シュンちゃんには、その色違いをつけてもらってもいいかも?」
「っあ、そ、そうですよねっ! ブレスレット、試しにつけてもらいましたもんね……」
そうだよな……あの黒いチェーンの、先輩にスゴく似合ってたし。やっぱり、ブレスレット辺りが無難だよな。
「うん……まぁ、他にもネックレスとか……」
話しを続けてくれている先輩の声が、どこか遠くに聞こえる。変わらずに俺のことを抱き寄せてくれているのに、ぼんやりとしか聞こえてこない。
……ああ、そうか。俺、がっかりしちゃってるんだ。だから、頭ん中もぼんやりして。
……なんで、がっかりしてしまっているんだろう。先輩とのお揃いをつけられるってのに。
自問自答しかけていると、聞こえてきた先輩からの提案。妙に大きく聞こえた明るい声が、瞬く間に吹き飛ばしていった。胸の中を覆いかけていた、モヤモヤしたものを。
「いっそのこと、ペアリングを選んじゃうっていう手もあるけどね」
……先輩とのお揃いってだけで、それを眺めているだけでも元気が出そうだな。
だったら、実用的な物の方がいいよな。身につけられる物とかだったら、よりいいかも。
「お揃いにするんだったら……やっぱり、普段使えるような物の方がいい、ですよね?」
「だね。ふとした時に取り出して見て、シュンちゃんとお揃いだなぁって眺めて、こっそりニヤニヤしたいなぁ」
「な……っ」
まさか、そんな堂々と宣言されるとは。いや、俺も、おんなじようなことを思ってはいたけれどさ。
先輩のことだ、絶対に分かっているハズだ。俺が、ただ単に照れてしまっているだけだって。
だというのに、彼の細い眉はしょんもりと下がっていく。俺の手を取り、じっと見つめてきた瞳は微かに潤んで見えた。
「えぇ……シュンちゃんは、ニヤニヤしてくれないの?」
あざとい。でも、可愛い。寂しそうな顔も、声も。
流石の俺も学習してきた。この感じはホンキのヤツじゃないって。ただ、俺の本心を聞き出したくてしょんぼりしてるだけだって。
「……しない訳、ないでしょう……」
分かってはいる。けれども、俺の口は先輩の思い通りに動いてしまっていた。隠そうとしていた本心を、そのまま伝えてしまっていた。
「先輩とのお揃いなんですから……何回でも眺めたくなっちゃうだろうし、見てるだけで嬉しくなるに決まってるじゃないですか……」
「……だよね! じゃあ、普段から持っていられるような、小物系にしようか?」
案の定、先輩はコロリと満面の笑顔を咲かせた。ご機嫌そうに目尻を下げながら、長い腕を俺の腰に回してくる。ぴったりと密着してしまうくらいに抱き寄せてくる。
隠す気が全くないあからさまな変わりように、やっぱりなぁと思いつつも、可愛いなぁの方が勝ってしまっていた。
「そうですね……ハンカチとか、アクセサリーとか……っ」
お揃いのアクセサリーは、どうなんだろうか。
いや、もう、イヤリングはもらっているんだけれど。でも、それは片割れだし。ちゃんとした? ペアなものではないし?
無難そうなところでいうと、ネックレスとか、かな? ペアリングとか憧れちゃうけど、流石に気が早……いやいや、別にそういう意味じゃないしっ!
……いや、まぁ、そういう意味でも俺的には構わないっていうか。先輩となら、やぶさかではないっていうか。
自分から言い出しておいて、すっかり俺は思考の渦にハマってしまっていた。先輩を放ってしまっていた。
熱を持った頭の中だけでなく、目の前までぐるぐるしかけていた頃、耳元で尋ねられた。
「……そうだねー、さっきシュンちゃんにブレスレット選んでもらったし。シュンちゃんには、その色違いをつけてもらってもいいかも?」
「っあ、そ、そうですよねっ! ブレスレット、試しにつけてもらいましたもんね……」
そうだよな……あの黒いチェーンの、先輩にスゴく似合ってたし。やっぱり、ブレスレット辺りが無難だよな。
「うん……まぁ、他にもネックレスとか……」
話しを続けてくれている先輩の声が、どこか遠くに聞こえる。変わらずに俺のことを抱き寄せてくれているのに、ぼんやりとしか聞こえてこない。
……ああ、そうか。俺、がっかりしちゃってるんだ。だから、頭ん中もぼんやりして。
……なんで、がっかりしてしまっているんだろう。先輩とのお揃いをつけられるってのに。
自問自答しかけていると、聞こえてきた先輩からの提案。妙に大きく聞こえた明るい声が、瞬く間に吹き飛ばしていった。胸の中を覆いかけていた、モヤモヤしたものを。
「いっそのこと、ペアリングを選んじゃうっていう手もあるけどね」
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