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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
似合うか、似合わないかってのも
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色は決まった。とはいえ、黒なんてメジャー過ぎる色は、軽く見渡しただけでもアチラコチラにある。とてもじゃないが、全然絞りきれてはいない。
それでも、まぁ、大事な一歩ではあるよな。良さそうなものを見つけられた時に、色では迷わなくて良くなったんだし。
前向きに考えながら、改めて俺は先輩への贈り物探しを始めた。とりあえずはと、このまま入口に近い棚から順番に見て回っていくことに。
先輩的には、やっぱり俺が主導で選んで欲しいのだろう。さっきのように、気になる商品を手に取って見せてくるようなことはしない。ただ俺の腰を抱き寄せてくれながら、ぴたりと身を寄せて俺の顔と商品とを交互に眺めている。
それにしても、品揃えが豊富だな。
小さなサボテンや、プラスチックのケースに入った花などの可愛らしいインテリア。箸置きだろうか、ニンジンやキュウリにナスなど野菜の形をした陶器製の小物、着物の柄でありそうな和風な柄をあしらったお皿やコップ。
ゆで卵がレンジで簡単に!? などと購買意欲がそそられる謳い文句のポップとともに並んでいる、料理関係の便利グッズ。大きな鍋にフライパン。
ちょっと俺には使用用途が分からないけれども、部屋に飾っているだけでも見た目が楽しい、インコやオウムなどのカラフルで可愛らしい鳥達で彩られた品。
他にも、腕時計にヘアピンやネックレスなどのアクセサリー。ハンカチにタオル、靴下、帽子などなど。少し歩き回っただけなのに目移りしてしまう。やっぱり絞りきれる気がしない。
早くも途方に暮れてしまっていると、ずっと黙っていた先輩が嬉しそうな声で尋ねてきた。
「フフ、絶賛お悩み中って感じだね?」
「はい……見れば見るほど選択肢が増えていっちゃうっていうか……」
「どれもオレに似合っちゃいそう?」
「そう、ですね……どれも先輩に……って、それですよ、それ!」
そうだった。贈り物をするんだったら、当然先輩の好みは大事だ。でも、俺が先輩に服を選んでもらった時と同じで、似合うか似合わないかってのも大事な要素なんじゃ?
早速、俺は試してみることにした。丁度良く、近くの棚には先輩に似合いそうなブレスレットが並んでいた。その中でも、最初に目に止まった黒を、小さな黒いチェーンでのみ作られたシンプルなブレスレットを手に取った。
「先輩っ、これっ、試しにつけてもらってもいいですか?」
「うんっ、イイよー。カッコいいブレスレットだね」
タレ目の瞳を細めながら先輩が俺の手から受け取ってくれる。手慣れたようにするりと回しつけた黒のチェーンは、白い手首によく映えた。
「か……」
「どう?」
「か、カッコいいです……スゴく似合ってます……」
「フフ、そっか、嬉しいな」
どうしよう。思いつきで試しただけなのに、バッチリ似合ってしまったぞ? いくらファーストインプレッションが大事とはいえ、ちょっと行き当たりばったり過ぎなんじゃ。
焦って見渡した俺の目を、はたと止めたのは真後ろの棚。そこには、カラフルな髪留めが並んでいた。シンプルなものから、花やら水晶やら飾りが盛り盛りなものまで揃っている。
明らかに女の人用ではあるけれども。ヘアピンくらいなら男でも付けている人、居たよな? というか、先輩なら似合っちゃうんじゃ。
「あの、先輩……今度は、これをつけてみてもらってもいいですか?」
俺が手にしたのは比較的飾りっ気のないヘアピン。黒地に夜空に煌めく星々のようなラメを散りばめたものだ。
「うんっ、イイよー。丁度、前髪を留められるピンが欲しいと思ってたんだよね」
またしても好印象なことを言ってくれながら、先輩は前髪にピンを留めた。夕焼けのようにキレイなオレンジの髪の毛には、黒いピンがよく映える。
それから、普通にオシャレな感じだし、先輩の可愛さがマシマシになって。
くっそ、何なんだこのカッコ可愛い人は!? 何でも似合っちゃうじゃないか!
それでも、まぁ、大事な一歩ではあるよな。良さそうなものを見つけられた時に、色では迷わなくて良くなったんだし。
前向きに考えながら、改めて俺は先輩への贈り物探しを始めた。とりあえずはと、このまま入口に近い棚から順番に見て回っていくことに。
先輩的には、やっぱり俺が主導で選んで欲しいのだろう。さっきのように、気になる商品を手に取って見せてくるようなことはしない。ただ俺の腰を抱き寄せてくれながら、ぴたりと身を寄せて俺の顔と商品とを交互に眺めている。
それにしても、品揃えが豊富だな。
小さなサボテンや、プラスチックのケースに入った花などの可愛らしいインテリア。箸置きだろうか、ニンジンやキュウリにナスなど野菜の形をした陶器製の小物、着物の柄でありそうな和風な柄をあしらったお皿やコップ。
ゆで卵がレンジで簡単に!? などと購買意欲がそそられる謳い文句のポップとともに並んでいる、料理関係の便利グッズ。大きな鍋にフライパン。
ちょっと俺には使用用途が分からないけれども、部屋に飾っているだけでも見た目が楽しい、インコやオウムなどのカラフルで可愛らしい鳥達で彩られた品。
他にも、腕時計にヘアピンやネックレスなどのアクセサリー。ハンカチにタオル、靴下、帽子などなど。少し歩き回っただけなのに目移りしてしまう。やっぱり絞りきれる気がしない。
早くも途方に暮れてしまっていると、ずっと黙っていた先輩が嬉しそうな声で尋ねてきた。
「フフ、絶賛お悩み中って感じだね?」
「はい……見れば見るほど選択肢が増えていっちゃうっていうか……」
「どれもオレに似合っちゃいそう?」
「そう、ですね……どれも先輩に……って、それですよ、それ!」
そうだった。贈り物をするんだったら、当然先輩の好みは大事だ。でも、俺が先輩に服を選んでもらった時と同じで、似合うか似合わないかってのも大事な要素なんじゃ?
早速、俺は試してみることにした。丁度良く、近くの棚には先輩に似合いそうなブレスレットが並んでいた。その中でも、最初に目に止まった黒を、小さな黒いチェーンでのみ作られたシンプルなブレスレットを手に取った。
「先輩っ、これっ、試しにつけてもらってもいいですか?」
「うんっ、イイよー。カッコいいブレスレットだね」
タレ目の瞳を細めながら先輩が俺の手から受け取ってくれる。手慣れたようにするりと回しつけた黒のチェーンは、白い手首によく映えた。
「か……」
「どう?」
「か、カッコいいです……スゴく似合ってます……」
「フフ、そっか、嬉しいな」
どうしよう。思いつきで試しただけなのに、バッチリ似合ってしまったぞ? いくらファーストインプレッションが大事とはいえ、ちょっと行き当たりばったり過ぎなんじゃ。
焦って見渡した俺の目を、はたと止めたのは真後ろの棚。そこには、カラフルな髪留めが並んでいた。シンプルなものから、花やら水晶やら飾りが盛り盛りなものまで揃っている。
明らかに女の人用ではあるけれども。ヘアピンくらいなら男でも付けている人、居たよな? というか、先輩なら似合っちゃうんじゃ。
「あの、先輩……今度は、これをつけてみてもらってもいいですか?」
俺が手にしたのは比較的飾りっ気のないヘアピン。黒地に夜空に煌めく星々のようなラメを散りばめたものだ。
「うんっ、イイよー。丁度、前髪を留められるピンが欲しいと思ってたんだよね」
またしても好印象なことを言ってくれながら、先輩は前髪にピンを留めた。夕焼けのようにキレイなオレンジの髪の毛には、黒いピンがよく映える。
それから、普通にオシャレな感じだし、先輩の可愛さがマシマシになって。
くっそ、何なんだこのカッコ可愛い人は!? 何でも似合っちゃうじゃないか!
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