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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
お返しに、俺からも先輩の為に
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また、先輩が俺の為に。
自分のことのように楽しそうにしながら、時には真剣な眼差しで悩みながら。俺の為だけに、俺のことだけを考えてくれていた。そんな嬉しいひと時を、またくれるなんて。
喜びに浸ってしまっていた俺は、咄嗟に頷くことも出来なかった。足を止めて、ただぼんやりと先輩の顔を見つめてしまっていた。
そのせいだろう。先輩が焦ったように言葉を重ね始めたのは。
「あ、いや、さっき言ったみたいにエッチな意味で贈りたいんじゃなくて……いや、そりゃあ、全く下心が無いって言ったらウソになっちゃ……と、とにかくっ、純粋に見てみたいだけだから!」
ウェーブのかかったご自身の髪を、そのスタイルが乱れてしまうほどにかき混ぜながら、腰に回してくれていた手も離す。
その大きな手を添えるように俺の肩に置いてから、真剣な眼差しを向けてきた。先輩の頬は真っ赤っ赤。なんなら、耳まで赤く染まってしまっている。
「シュンちゃんなら、どんなコーディネートでも絶対に似合うし、可愛いからさ……だから、色んな服を着てるところを見てみたいって、ホンっトにオレ、それだけで」
「ふふ……」
「シュン、ちゃん?」
「ありがとうございます。嬉しいですよ、ぜひよろしくお願いします」
「ほ、ホントに?」
「はい、先輩が俺の為に選んでくれる服、俺も着たいです。俺じゃあ選ばないような服着るの、楽しいですし……先輩の好みが知れるのも、嬉しいです……それに先輩、センス良いから……」
安心したように、嬉しそうに、先輩はふにゃりと口元を綻ばせた。俺も何だか嬉しくなった。
「あ、でも、俺ばっかりってのは、ちょっと……代わりに……俺も何かプレゼント、先輩の為に選びたいです。先輩に比べたら全然センスないですけど」
「そんなっ……そんなことない! 嬉しいよ! シュンちゃんがオレの為に考えてくれるってだけで……」
「ソレイユ先輩……」
大きな手のひらがそっと頭に添えられた。しなやかな指先が髪を梳くように撫でてくれる。
優しい手つきが心地よくて、俺はされるがままになっていた。つい、目を閉じてしまいそうになっていた。
ゆったりと、丁寧に全体を手櫛で梳いてくれてから、先輩は何やら満足気に口端を持ち上げた。最後にぽん、ぽんっと頭を撫でてくれてから、再び腰に腕を回してくる。
「……じゃあさ、今から色々なお店、回ってみない? その中からさ、オレの為に選んで欲しいな」
「はいっ、頑張ります」
俺を抱き寄せてくれながら、先輩は人が行き交うモールの通りをぐるりと見渡した。はたと長い睫毛が瞬いて、明るい笑顔を俺に向けてくれる。
「じゃあ、先ずはあそこの雑貨屋さんなんてどうかな?」
指差す先には、俺達から見て斜め左側には、棚いっぱいに可愛らしい小物を並べて出迎えているお店があった。
遠目で見ても色合いが豊かで、なんだかおしゃれ。シンプルな色の小物が並ぶような雑貨屋さんとは違って、俺一人じゃあ入るのにちょっと勇気がいりそうなところだ。実際に俺達から見える範囲でも、お客さんは女の人が多めだし。
「結構広くて品揃えが良さそうだからさ、仮にピンとくるものがなくても、どんな物にしようかっていう方向性は決まりそうじゃない?」
先輩は、やっぱりああいう雰囲気のお店にも行き慣れているんだろうか。慣れてそうだよな。オシャレだし。
先輩の耳に鮮やかに煌めくオレンジ色。お守りにともらったその片割れを、俺の耳でも煌めいているであろう雫型の結晶に、つい手を伸ばしていた。指先に触れた石は硬くて、冷たい。
「大体の方向性が決まったら、専門店とかに行ってみてもいいしさ、どう?」
小首を傾げながら尋ねられて、慌てて俺は自分の耳から手を離した。別に悪いことをしていた訳でもないのに、心臓が駆け足になってしまう。
「は、はい、行きましょう、行ってみたいです」
「ん、じゃあ、決定ね」
先輩は気づかなかったんだろうか。それとも、気にしないでいてくれているんだろうか。柔らかく微笑んでくれてから、ファンシーな店構えの雑貨屋さんへと俺をエスコートしてくれた。
自分のことのように楽しそうにしながら、時には真剣な眼差しで悩みながら。俺の為だけに、俺のことだけを考えてくれていた。そんな嬉しいひと時を、またくれるなんて。
喜びに浸ってしまっていた俺は、咄嗟に頷くことも出来なかった。足を止めて、ただぼんやりと先輩の顔を見つめてしまっていた。
そのせいだろう。先輩が焦ったように言葉を重ね始めたのは。
「あ、いや、さっき言ったみたいにエッチな意味で贈りたいんじゃなくて……いや、そりゃあ、全く下心が無いって言ったらウソになっちゃ……と、とにかくっ、純粋に見てみたいだけだから!」
ウェーブのかかったご自身の髪を、そのスタイルが乱れてしまうほどにかき混ぜながら、腰に回してくれていた手も離す。
その大きな手を添えるように俺の肩に置いてから、真剣な眼差しを向けてきた。先輩の頬は真っ赤っ赤。なんなら、耳まで赤く染まってしまっている。
「シュンちゃんなら、どんなコーディネートでも絶対に似合うし、可愛いからさ……だから、色んな服を着てるところを見てみたいって、ホンっトにオレ、それだけで」
「ふふ……」
「シュン、ちゃん?」
「ありがとうございます。嬉しいですよ、ぜひよろしくお願いします」
「ほ、ホントに?」
「はい、先輩が俺の為に選んでくれる服、俺も着たいです。俺じゃあ選ばないような服着るの、楽しいですし……先輩の好みが知れるのも、嬉しいです……それに先輩、センス良いから……」
安心したように、嬉しそうに、先輩はふにゃりと口元を綻ばせた。俺も何だか嬉しくなった。
「あ、でも、俺ばっかりってのは、ちょっと……代わりに……俺も何かプレゼント、先輩の為に選びたいです。先輩に比べたら全然センスないですけど」
「そんなっ……そんなことない! 嬉しいよ! シュンちゃんがオレの為に考えてくれるってだけで……」
「ソレイユ先輩……」
大きな手のひらがそっと頭に添えられた。しなやかな指先が髪を梳くように撫でてくれる。
優しい手つきが心地よくて、俺はされるがままになっていた。つい、目を閉じてしまいそうになっていた。
ゆったりと、丁寧に全体を手櫛で梳いてくれてから、先輩は何やら満足気に口端を持ち上げた。最後にぽん、ぽんっと頭を撫でてくれてから、再び腰に腕を回してくる。
「……じゃあさ、今から色々なお店、回ってみない? その中からさ、オレの為に選んで欲しいな」
「はいっ、頑張ります」
俺を抱き寄せてくれながら、先輩は人が行き交うモールの通りをぐるりと見渡した。はたと長い睫毛が瞬いて、明るい笑顔を俺に向けてくれる。
「じゃあ、先ずはあそこの雑貨屋さんなんてどうかな?」
指差す先には、俺達から見て斜め左側には、棚いっぱいに可愛らしい小物を並べて出迎えているお店があった。
遠目で見ても色合いが豊かで、なんだかおしゃれ。シンプルな色の小物が並ぶような雑貨屋さんとは違って、俺一人じゃあ入るのにちょっと勇気がいりそうなところだ。実際に俺達から見える範囲でも、お客さんは女の人が多めだし。
「結構広くて品揃えが良さそうだからさ、仮にピンとくるものがなくても、どんな物にしようかっていう方向性は決まりそうじゃない?」
先輩は、やっぱりああいう雰囲気のお店にも行き慣れているんだろうか。慣れてそうだよな。オシャレだし。
先輩の耳に鮮やかに煌めくオレンジ色。お守りにともらったその片割れを、俺の耳でも煌めいているであろう雫型の結晶に、つい手を伸ばしていた。指先に触れた石は硬くて、冷たい。
「大体の方向性が決まったら、専門店とかに行ってみてもいいしさ、どう?」
小首を傾げながら尋ねられて、慌てて俺は自分の耳から手を離した。別に悪いことをしていた訳でもないのに、心臓が駆け足になってしまう。
「は、はい、行きましょう、行ってみたいです」
「ん、じゃあ、決定ね」
先輩は気づかなかったんだろうか。それとも、気にしないでいてくれているんだろうか。柔らかく微笑んでくれてから、ファンシーな店構えの雑貨屋さんへと俺をエスコートしてくれた。
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