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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
……お互い様? 一体、いつの話だろう
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返ってくるとは思わなかった声は楽しげで、かち合った瞳は悪戯っぽく微笑んでいた。
「あ……っ」
高まっていた熱が一気に引いていく。背筋はひやりと冷たくなっていくのに、滲み始めた汗は止まらない。
いつの間に起きて……いつから? いつから見られちゃって……
「ち、ちが……ごめんなさ……俺、こんな……ごめんなさい……っ、嫌いに、ならなっ、んむ」
頭が追いつかなかった。
唇に柔らかな温もりが触れているのは分かっている。でも、なんでなのかは。
なんで、キスしてもらえているのかは分からなかった。
「ん、ん、ふ……んん、ふっ、ん……ぅ……」
分からないのに流されていってしまう。優しい優しい口づけに夢中にされてしまう。
繰り返し交わしてくれる唇に俺からも寄せてしまっていると、頭を撫でられてから離れていってしまった。
「は、ふは……ぁ……ソレ、イユ……?」
「大丈夫……大好きだよ、シュンちゃん」
「っ……ほ、ホントに? 俺、眠っているソレイユに……酷いこ」
また、俺は途中で言葉を遮られた。擦り寄るように触れてくれて、上唇を甘く食んでから離れていく。わざとらしく軽やかなリップ音を鳴らしながら。
思わず俺は自分の唇に触れていた。大好きな温もりを確かめるように。ソレイユ先輩が擽ったそうな笑みをこぼす。
「全然。嬉しかったよ、オレは」
そもそもは自業自得だってのに、よっぽど俺は不安そうな顔をしてしまっていたんだろう。先輩は優しい声のまま、フォローを続けてくれる。
「それに言ったでしょ? 好きな時に触ってって。その方が嬉しいってさ」
「……うん」
それは、そうなんだけど……ただ触るっていうには、一線を越えちゃってたというか。いや、俺が全面的に悪いんだけれども。
今更ながら罪悪感が戻ってきたようだ。胸の中がチクチクモヤモヤしてしまう。怒る権利のある先輩にフォローまでさせてしまっているのに。やらかした俺が落ち込むのはおかしいのに。
また暗い深みにハマりかけていると、ぽんっと優しく肩を叩かれた。見上げた先にある微笑みの優しさに、目の奥が熱くなってしまう。
「だーかーらー気にしないで? なんなら、もっと積極的になってくれてもイイんだからね?」
長い腕で俺を包みこんでくれながら、頬をむにっとくっつけ擦り寄せてくれる。
握った俺の手を自分の胸板に引き寄せながら「ほらほら、揉んでもイイんだよ? 好きなんでしょ? 元気出る?」だなんて、明るい調子で励まそうとしてくれる。
「……先輩、ふふ」
気がつけば俺は笑えていた。チクチクもモヤモヤもなくなっていた。
「……良かった、笑ってくれて」
「ごめんなさい……ありがとうございます……」
「どういたしまして! ってまぁ、そもそもお互い様みたいなもんだしね。オレだって、シュンちゃんにちょっかい出しちゃってるからさ」
「……お互い様? ちょっかい?」
いつの話だろう。昨日のこと、だろうか?
抱き締めてもらえたり、キスしてもらえたことはあれどちょっかいだなんて。そんなことされたっけか? と思い出そうとしていた時だった。
「うん。シュンちゃんが頬を撫でてくれた時にはオレ、起きてたからさ」
いきなり思いがけない真実を、あっけらかんと告げてきたのは。
「あ……っ」
高まっていた熱が一気に引いていく。背筋はひやりと冷たくなっていくのに、滲み始めた汗は止まらない。
いつの間に起きて……いつから? いつから見られちゃって……
「ち、ちが……ごめんなさ……俺、こんな……ごめんなさい……っ、嫌いに、ならなっ、んむ」
頭が追いつかなかった。
唇に柔らかな温もりが触れているのは分かっている。でも、なんでなのかは。
なんで、キスしてもらえているのかは分からなかった。
「ん、ん、ふ……んん、ふっ、ん……ぅ……」
分からないのに流されていってしまう。優しい優しい口づけに夢中にされてしまう。
繰り返し交わしてくれる唇に俺からも寄せてしまっていると、頭を撫でられてから離れていってしまった。
「は、ふは……ぁ……ソレ、イユ……?」
「大丈夫……大好きだよ、シュンちゃん」
「っ……ほ、ホントに? 俺、眠っているソレイユに……酷いこ」
また、俺は途中で言葉を遮られた。擦り寄るように触れてくれて、上唇を甘く食んでから離れていく。わざとらしく軽やかなリップ音を鳴らしながら。
思わず俺は自分の唇に触れていた。大好きな温もりを確かめるように。ソレイユ先輩が擽ったそうな笑みをこぼす。
「全然。嬉しかったよ、オレは」
そもそもは自業自得だってのに、よっぽど俺は不安そうな顔をしてしまっていたんだろう。先輩は優しい声のまま、フォローを続けてくれる。
「それに言ったでしょ? 好きな時に触ってって。その方が嬉しいってさ」
「……うん」
それは、そうなんだけど……ただ触るっていうには、一線を越えちゃってたというか。いや、俺が全面的に悪いんだけれども。
今更ながら罪悪感が戻ってきたようだ。胸の中がチクチクモヤモヤしてしまう。怒る権利のある先輩にフォローまでさせてしまっているのに。やらかした俺が落ち込むのはおかしいのに。
また暗い深みにハマりかけていると、ぽんっと優しく肩を叩かれた。見上げた先にある微笑みの優しさに、目の奥が熱くなってしまう。
「だーかーらー気にしないで? なんなら、もっと積極的になってくれてもイイんだからね?」
長い腕で俺を包みこんでくれながら、頬をむにっとくっつけ擦り寄せてくれる。
握った俺の手を自分の胸板に引き寄せながら「ほらほら、揉んでもイイんだよ? 好きなんでしょ? 元気出る?」だなんて、明るい調子で励まそうとしてくれる。
「……先輩、ふふ」
気がつけば俺は笑えていた。チクチクもモヤモヤもなくなっていた。
「……良かった、笑ってくれて」
「ごめんなさい……ありがとうございます……」
「どういたしまして! ってまぁ、そもそもお互い様みたいなもんだしね。オレだって、シュンちゃんにちょっかい出しちゃってるからさ」
「……お互い様? ちょっかい?」
いつの話だろう。昨日のこと、だろうか?
抱き締めてもらえたり、キスしてもらえたことはあれどちょっかいだなんて。そんなことされたっけか? と思い出そうとしていた時だった。
「うん。シュンちゃんが頬を撫でてくれた時にはオレ、起きてたからさ」
いきなり思いがけない真実を、あっけらかんと告げてきたのは。
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