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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
ちょっとだけで、止められる訳がなくて
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なにも触らせてもらうのは初めてじゃない。何ならお背中だって流させてもらえたくらいだ。これっぽっちも覚えちゃいないのを、カウントしてもいいのかは一先ず置いておいて。なのに。
……なんか、目茶苦茶緊張するな。それに、悪いことをしちゃっているような。
ほのかな罪悪感が湧いてくるものの、手のひらから伝わってくる温もりに、柔らかさに、ただでさえ崩れかけていた理性が壊れていってしまう。
ぴとりと触れてしまっているにも関わらず、先輩はいまだに夢の中。安心したような顔をして、小さな寝息を立てている。
あと、ちょっとだけ……ちょっとだけ撫でさせてもらったら、終わりにするから。
心の中で言い訳を並べても意味はない。ただの独りよがりだ。伝えないといけない肝心の相手は眠っているのだから。でも、この時の俺は、それでよしとしてしまっていた。離さなければならない指先を動かしてしまっていた。
「ん……」
初めての反応だった。
手のひらは頬に添えたまま人差し指の指先で軽く撫でた時、桜色の唇から微かに漏れた声。少し気怠げで掠れた声が聞こえた瞬間、俺は即座に手を引っ込めようとした。
「っ……」
でも、出来なかった。大きな白い手に阻まれたのだ。
先輩の手が、俺の手を包み込むように掴んでいる。頬から離れてしまわないよう、確かな力で引き寄せてきて。
「ご、ごめんなさっ、い……?」
あんまりにもしっかりと掴まれたものだから、てっきり起こしてしまったのかと。しかし、先輩はさっきと変わらない穏やかな寝顔のまま。
「……先輩? ……ソレイユ先輩……?」
「……すー……すー……」
試しに声をかけてみても、返ってくるのは規則正しい寝息だけ。だというのに、俺の手を掴んでいる手の力は緩みやしない。完全に捕まってしまったようだ。
「……どうしよう」
困ったところで自業自得。先輩が眠っているのをいいことに、撫でようとした俺が悪いのだから、先輩が目を覚ますまでこのまま待つより他はない。
待っていれば、それで済むハズだった。先輩が起きたら事情を説明してごめんなさいをしたら、多分だけど先輩は笑って許してくれたハズなのだ。だというのに俺は。
「……先輩」
小さな寝息をこぼしている唇に、どうしようもなく惹かれてしまっていた。見つめれば見つめるだけ、いけない衝動がこみ上げてきそうになってしまう。
かといって、目を逸らそうとしても逸らせない。まだか微かに残っていた理性が、引き留めようとすればするだけ抗いたくなってしまう。食い入るように見つめてしまう。
触れてしまっている温もりも相まって、高鳴る鼓動がますます煩くなってしまう。ドキドキなんてそわな可愛らしいもんじゃない。ドッドッドッと大太鼓を鳴らしているかのように全身に響いて。
「ん……」
気がついた時には、もう。
無意識の内に顔を寄せてしまっていた。いまだに寝息を漏らしている唇に口を押しつけてしまっていた。
唇に触れた柔らかな感触と温もりに、騒がしい胸がジンと熱くなっていく。軽く触れさせてもらっただけなのに、言葉に出来ない喜びがこみ上げてきて。
「は、ん……先輩……」
止められなくなっていた。擦り寄るように押しつけては離して、また押しつけてと、口づけるのを止められない。
……なんか、目茶苦茶緊張するな。それに、悪いことをしちゃっているような。
ほのかな罪悪感が湧いてくるものの、手のひらから伝わってくる温もりに、柔らかさに、ただでさえ崩れかけていた理性が壊れていってしまう。
ぴとりと触れてしまっているにも関わらず、先輩はいまだに夢の中。安心したような顔をして、小さな寝息を立てている。
あと、ちょっとだけ……ちょっとだけ撫でさせてもらったら、終わりにするから。
心の中で言い訳を並べても意味はない。ただの独りよがりだ。伝えないといけない肝心の相手は眠っているのだから。でも、この時の俺は、それでよしとしてしまっていた。離さなければならない指先を動かしてしまっていた。
「ん……」
初めての反応だった。
手のひらは頬に添えたまま人差し指の指先で軽く撫でた時、桜色の唇から微かに漏れた声。少し気怠げで掠れた声が聞こえた瞬間、俺は即座に手を引っ込めようとした。
「っ……」
でも、出来なかった。大きな白い手に阻まれたのだ。
先輩の手が、俺の手を包み込むように掴んでいる。頬から離れてしまわないよう、確かな力で引き寄せてきて。
「ご、ごめんなさっ、い……?」
あんまりにもしっかりと掴まれたものだから、てっきり起こしてしまったのかと。しかし、先輩はさっきと変わらない穏やかな寝顔のまま。
「……先輩? ……ソレイユ先輩……?」
「……すー……すー……」
試しに声をかけてみても、返ってくるのは規則正しい寝息だけ。だというのに、俺の手を掴んでいる手の力は緩みやしない。完全に捕まってしまったようだ。
「……どうしよう」
困ったところで自業自得。先輩が眠っているのをいいことに、撫でようとした俺が悪いのだから、先輩が目を覚ますまでこのまま待つより他はない。
待っていれば、それで済むハズだった。先輩が起きたら事情を説明してごめんなさいをしたら、多分だけど先輩は笑って許してくれたハズなのだ。だというのに俺は。
「……先輩」
小さな寝息をこぼしている唇に、どうしようもなく惹かれてしまっていた。見つめれば見つめるだけ、いけない衝動がこみ上げてきそうになってしまう。
かといって、目を逸らそうとしても逸らせない。まだか微かに残っていた理性が、引き留めようとすればするだけ抗いたくなってしまう。食い入るように見つめてしまう。
触れてしまっている温もりも相まって、高鳴る鼓動がますます煩くなってしまう。ドキドキなんてそわな可愛らしいもんじゃない。ドッドッドッと大太鼓を鳴らしているかのように全身に響いて。
「ん……」
気がついた時には、もう。
無意識の内に顔を寄せてしまっていた。いまだに寝息を漏らしている唇に口を押しつけてしまっていた。
唇に触れた柔らかな感触と温もりに、騒がしい胸がジンと熱くなっていく。軽く触れさせてもらっただけなのに、言葉に出来ない喜びがこみ上げてきて。
「は、ん……先輩……」
止められなくなっていた。擦り寄るように押しつけては離して、また押しつけてと、口づけるのを止められない。
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