気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)

天国だけれども、生殺しな彼の腕の中

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「あ……ちょ……」

 ホントにどういうつもりなんだろうか。表情はちょっとぼーっとしているというか、上の空のように見えるし。平然と話しを続けている感じから、俺の反応も聞こえてはいなさそう。

 なのに、さっきの触れ合いを、淡い感覚を思い出させるようなことばかりしてくる。柔らかな唇が、小さく漏れている熱い吐息が、微かに乳輪に触れて。

「ん……は、ぁ……せんぱ」

 手の方も相変わらず好き勝手。お尻と腰の境の辺りでうろうろしている。なんか、もう、いっそのこと触ってくれればいいのに。んな擽るような感じじゃなくて、しっかりと触ってもらえた方がまだマシな。

「そもそも、シュンちゃんは受け入れてもらう側だから……どう頑張っても負担はかけちゃうことになっちゃ……ってシュンちゃん、聞いてる?」

「はっ、はいっ、聞いてます、けど……」

 話に集中したくても集中出来ないんでしょうがっ! 先輩が、いちいちちょっかいかけてくるからっ!

 声を大にして、そう言いたかった。けれども、先輩は不思議そうな顔をして俺を見つめるばかり。いつもだったら、ワザとなんだったら、悪戯っぽい小悪魔な笑みの一つや二つ浮かべるだろうに。

 ……もしかして、ホントに無意識で? でも、まぁ、それなら説明はつくっていうか。

「……シュンちゃん?」

「あ、いや……それで、俺は……先輩の為に、どう頑張ったらいいんですかね?」

 どうやら、ホントに単に俺に抱きついていたくらいの感覚しかないらしい。すでに手も止まっちゃってるし。腕を腰に回すだけになってるし。

 よっぽどポヤポヤしているんだろうか。彼にしては察しが悪い。あからさまな俺の誤魔化しにも気がついていないみたい。普通に答えてくれたんだ。

「シュンちゃんは……力を抜いてもらうのを頑張ってほしいかな。オレに任せて、オレを信じて欲しい」

「はいっ、お任せします! 信じてます!」

「フフ、ありがとう。後、一番大事なことなんだけどさ」

「なんですか?」

 微笑む先輩の口調は優しかった。けれども、有無を言わせないような圧力を感じたんだ。

「絶対に、我慢と無理はしないこと。ちょっとだけ痛くても自分が我慢すれば、とか思っちゃいけないからね。約束してくれる?」

「……はい」

 しちゃいそうだな、我慢。俺がちょっと頑張ってい堪えていれば万事解決するんだったら。

 頭の片隅に過った考えだったのに、今回はズバリ見抜かれたらしかった。

「しゅーんーちゃーん」

「ご、ごめんなさい」

 じとりと細められた目に見つめられて、気がつけば謝ってしまっていた。これじゃあ、認めたみたいなもんだろう。

 小さな溜め息を吐いてから先輩が俺の頬に手のひらを添えた。もう片方からは、そっと指先だけを持ち上げるように握られる。見つめてくる眼差しは、真剣な光を湛えていた。

「……オレ、シュンにはほんの少しでも痛い思いをさせたくない。シュンのことを傷つけたくないんだ」

「……ソレイユ、先輩」

「だから、ね、ちゃんと言って欲しい。駄目な時は無理せずにオレに言って欲しいんだ。焦らずにゆっくりやっていこう? ちゃんと、二人で一緒に気持ちよくなれるように」

 ちゃんと、二人で一緒に。

 そうだ。仮に俺が我慢しても、先輩は気づいてしまうだろう。傷ついてしまう。俺に無理をさせてしまったって。

 そんなの、意味がないじゃないか。先輩に喜んでもらえないじゃないか。

「……分かりました。俺、約束します、我慢も無理もしません。隠さないで、ちゃんと先輩に伝えますから」

「ありがとう……」

 柔らかく微笑んでから先輩はキスを送ってくれた。俺からも返そうとして気づいた。見えてしまった。

「じゃあ、明日からいっぱい開発していこうね? シュンちゃんのここ……」

 優しい微笑みが、艶のある小悪魔な笑みに変わる瞬間を。

「あっ……ん、ぁ……先輩……」

 気づいた時には、頬に触れてくれていたハズの手が俺の後ろへと回っていた。しなやかで長い指先が、先輩のキレイな指が俺でも直には触れないところに触れてしまっている。

 だというのに、俺は淡い感覚を覚えてしまっていた。尻の穴の縁を撫でられてしまっているのに。

 もう、期待しちゃっているから、かな? いずれは、ここに先輩のを挿れてもらうんだって。近い内に先輩に抱いてもらえるんだって期待しちゃっているから。

「オレのものくらい……簡単に、自分から悦んで咥え込めちゃうように……挿れちゃうだけで気持ちよくなれちゃうようになれるまで……一緒に頑張ろうね?」

「……はぃ……んっ、頑張り、ます……」

 耳元で、吐息を吹き込むように囁かれて、ますます背筋が甘く震えてしまう。何度も頷く俺を見て、先輩は満足したらしかった。

 すぐにいつもの先輩に、飄々と明るい先輩に戻ったかと思えば、俺を抱き枕代わりに抱き締めてきた。

「それじゃあ、今日はもう寝よっか。お休み、シュンちゃん」

「へ? お、お休みなさい……」

 寝つきがいいタイプなんだろうか。額に口づけてくれてから目を閉じた彼の口から、早くも規則正しい寝息が漏れ始める。

 じゃあ、俺も。だなんて、そんなあっさり眠れる訳がなかった。とはいえ、あんなに散々致してもらっているのに、わざわざ起こして続きを強請るような度胸がある訳もない。

 俺に残された選択肢は、心を無にして目を閉じるだけ。包みこんでくれている温もりを、程よく弾力があり柔らかい感触を、意識しないように堪えるだけ。下腹部に燻るような淡い感覚を抱えながら、早く眠りに落ちるのを待つだけだった。
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