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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
だから、言いたくなかったのに
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「え……? あ、いや、その……」
先輩の変わりように、俺は困惑するばかり。ただ引き金になった言葉だけは分かっていた。ライと練習したってのがいけなかったんだろう。何でかは、やっぱり分からないけれども。
「練習って……ライ君と? どんな練習をしたの?」
予想は当たっていたようだ。先輩は案の定その部分を追求してきた。
声色からも分かっていたことだけれども、やはり俺は先輩の機嫌を損ねてしまったらしい。彼の眉間には深いシワが刻まれており、オレンジの瞳からも俺を求めてくれていた熱は冷めてしまっていた。
ここまで損ねてしまっては、素直に言ったところで機嫌を直してくれるかは分からない。だが、言わなければもっと悪くなってしまうだろう。
分かってはいた。いたのだが、俺は中々口に出せずにいた。見たことのない先輩の気迫に飲み込まれてしまっていたのかもしれない。
「そ、それは……」
「シュン……言えないの?」
言い淀んだ瞬間、苛立ち以外の感情が先輩の顔に薄っすらと滲んだ。苦痛に歪んだ寂しそうな顔。今にも泣き出してしまいそうな顔を見て俺は。
「オレには言えないこ」
「あ、アイスでっ!」
「はい?」
叫んだ勢いのまま、俺は一気に言い切ろうとした。
「ライに棒アイス持っててもらって……それに見立てて、俺が……その……」
けれども続かなかった。すぐに失速してしまっていた。今更になって気恥ずかしさが勝ってしまったのだ。たかだかアイスを舐めたくらいで、バッチリ練習をこなせた気になっていた自分自身に対しての。
それから、申し訳無さも湧いてきていた。俺の不安を拭う為だけに付き合わせてしまったライに対しての。
「棒、アイス……」
きょとんと目を丸くしたまま、呆然とした声で先輩が繰り返す。
「ぷっ、フフ、くく……っ、ふ……」
堪えきれないといった感じだった。一度笑い出してしまえば、急な坂道を転がるように。キレイに割れた腹筋を押さえ、目に涙を滲ませながらケラケラと笑い続けている。
「あーっ、やっぱり笑った! だから言いたくなかったのにっ!」
「ふはっ、ゴメン、ゴメン……」
ひとしきり笑った先輩の表情が、またガラリと変わっていく。でも、さっきみたいに不機嫌になった訳じゃなさそう。どちらかと言えば、落ち込んでいるような。
「ホントにゴメンね……絶対に有り得ない、変なこと……考えちゃって……勝手に嫉妬して、ごめんなさい……」
嫉妬……? ライにってこと、かな? 俺が時々サルファー先輩に嫉妬しちゃうようなのと同じ、だったんだろうか? だったら仕方がないよな。
「よく分からないですけど……誤解が解けたみたいで良かったです。だから、気にしないで下さい。ちゃんと最初っから詳しく説明しなかった俺が悪いんですから」
「いや、シュンちゃんは悪くないよ。オレ、が……」
まだ謝ろうとする口を塞いでやった。柔い唇を食んで、言葉を喉の奥へと押しやってやった。
先輩は僅かに目を見開いたものの受け入れてくれた。頭を撫でてくれながら、先輩からも擦り寄せてくれた。何度か触れ合えた後に口を離すと、先輩が名残惜しそうに俺を呼んだ。
「シュンちゃん……」
「続き、してもいいですか? 俺、もっと先輩に喜んで欲しい……俺が、どれだけ先輩のことを好きなのか伝えたいんです……駄目、ですか?」
「…………るい」
「ソレイユ先輩?」
何やら蚊の鳴くような声で呟いた彼の口は拗ねたように尖っている。頬を赤く染め、恨めしげな目で俺を見つめながら高い鼻先をくっつけてきた。
「ズルいよ……そんな可愛いこと言われちゃったら、断れる訳が無いでしょ……」
「じゃあ……」
「でも、ムリしちゃイヤだからね? こういうのは、お互いに気持ちよくなれないと意味がないんだからさ」
「はいっ、頑張りますね!」
「……ホントに分かってるのかな」
困ったように眉を下げながら先輩が笑う。俺の頭を撫でてくれる手つきは甘やかすように優しかった。
先輩の変わりように、俺は困惑するばかり。ただ引き金になった言葉だけは分かっていた。ライと練習したってのがいけなかったんだろう。何でかは、やっぱり分からないけれども。
「練習って……ライ君と? どんな練習をしたの?」
予想は当たっていたようだ。先輩は案の定その部分を追求してきた。
声色からも分かっていたことだけれども、やはり俺は先輩の機嫌を損ねてしまったらしい。彼の眉間には深いシワが刻まれており、オレンジの瞳からも俺を求めてくれていた熱は冷めてしまっていた。
ここまで損ねてしまっては、素直に言ったところで機嫌を直してくれるかは分からない。だが、言わなければもっと悪くなってしまうだろう。
分かってはいた。いたのだが、俺は中々口に出せずにいた。見たことのない先輩の気迫に飲み込まれてしまっていたのかもしれない。
「そ、それは……」
「シュン……言えないの?」
言い淀んだ瞬間、苛立ち以外の感情が先輩の顔に薄っすらと滲んだ。苦痛に歪んだ寂しそうな顔。今にも泣き出してしまいそうな顔を見て俺は。
「オレには言えないこ」
「あ、アイスでっ!」
「はい?」
叫んだ勢いのまま、俺は一気に言い切ろうとした。
「ライに棒アイス持っててもらって……それに見立てて、俺が……その……」
けれども続かなかった。すぐに失速してしまっていた。今更になって気恥ずかしさが勝ってしまったのだ。たかだかアイスを舐めたくらいで、バッチリ練習をこなせた気になっていた自分自身に対しての。
それから、申し訳無さも湧いてきていた。俺の不安を拭う為だけに付き合わせてしまったライに対しての。
「棒、アイス……」
きょとんと目を丸くしたまま、呆然とした声で先輩が繰り返す。
「ぷっ、フフ、くく……っ、ふ……」
堪えきれないといった感じだった。一度笑い出してしまえば、急な坂道を転がるように。キレイに割れた腹筋を押さえ、目に涙を滲ませながらケラケラと笑い続けている。
「あーっ、やっぱり笑った! だから言いたくなかったのにっ!」
「ふはっ、ゴメン、ゴメン……」
ひとしきり笑った先輩の表情が、またガラリと変わっていく。でも、さっきみたいに不機嫌になった訳じゃなさそう。どちらかと言えば、落ち込んでいるような。
「ホントにゴメンね……絶対に有り得ない、変なこと……考えちゃって……勝手に嫉妬して、ごめんなさい……」
嫉妬……? ライにってこと、かな? 俺が時々サルファー先輩に嫉妬しちゃうようなのと同じ、だったんだろうか? だったら仕方がないよな。
「よく分からないですけど……誤解が解けたみたいで良かったです。だから、気にしないで下さい。ちゃんと最初っから詳しく説明しなかった俺が悪いんですから」
「いや、シュンちゃんは悪くないよ。オレ、が……」
まだ謝ろうとする口を塞いでやった。柔い唇を食んで、言葉を喉の奥へと押しやってやった。
先輩は僅かに目を見開いたものの受け入れてくれた。頭を撫でてくれながら、先輩からも擦り寄せてくれた。何度か触れ合えた後に口を離すと、先輩が名残惜しそうに俺を呼んだ。
「シュンちゃん……」
「続き、してもいいですか? 俺、もっと先輩に喜んで欲しい……俺が、どれだけ先輩のことを好きなのか伝えたいんです……駄目、ですか?」
「…………るい」
「ソレイユ先輩?」
何やら蚊の鳴くような声で呟いた彼の口は拗ねたように尖っている。頬を赤く染め、恨めしげな目で俺を見つめながら高い鼻先をくっつけてきた。
「ズルいよ……そんな可愛いこと言われちゃったら、断れる訳が無いでしょ……」
「じゃあ……」
「でも、ムリしちゃイヤだからね? こういうのは、お互いに気持ちよくなれないと意味がないんだからさ」
「はいっ、頑張りますね!」
「……ホントに分かってるのかな」
困ったように眉を下げながら先輩が笑う。俺の頭を撫でてくれる手つきは甘やかすように優しかった。
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