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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
★ 普段はからっきしのくせに、こういう時ばかり
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今じゃないと返せないと思ったんだ。期待している先をしてもらえたら、きっとすぐに溺れてしまうから。先輩に夢中になってしまうから。
咄嗟にそう思ったから伝えたのだけれども、先輩はピンともきていないよう。タレ目の瞳を見開いたまま、ぽかんと俺を見つめている。
こうなったら、もっと直接的な言葉で伝えるしか。大きく息を吸い込んでから、吐き出した息と一緒に勢い任せに声を振り絞った。
「だ、だからっ、その……俺が、先に舐めたいんですっ…………先輩のを……」
度胸が足りずに最後の方は失速してしまった。けれども、これだけ言えたのだ。伝わってくれ、伝わって下さい。
祈るような気持ちで閉じてしまっていた目を開ければ、顔を真っ赤にした先輩と目が合った。薄く口を開いたまま、食い入るように俺を見つめている。
見開かれたその瞳に宿っていた確かな欲に、期待に、俺は胸を撫で下ろした。と同時に失念していた。伝わったからといって、許可がもらえるとは限らないということに。
「ちょ、ちょっと待って、マジで? マジで言ってるの?」
俺を抱き起こした腕は震えていた。忙しなく目を泳がせている先輩は訳が分からないと言いたげ。俺の肩を掴んで、高い鼻先が当たってしまうくらいにその端正な顔を近づけてくる。
「ホントに? シュンちゃんが? オレに? ……フェラしたいって言ってくれたの?」
「はい……言いました、したいって……」
「…………そ、っか」
まるで電池が切れたみたいだった。それだけ言って先輩は力なくスラリと伸びた背筋を丸めた。俺の胸板に額を押し付けてきた。
……なんだろう。ちょっと雲行きが怪しいような。
普段はからっきしのくせに、こういう時ばかり。なんでイヤなタイミングの時に限って、俺の予感は当たってしまうのだろうか。
「ゴメンね、シュンちゃん……」
返ってきたのは案の定、申し訳無さそうな声。そうして、やんわりと俺の提案を断ろうとしてくる。
「オレ、やっと昨日のシュンちゃんの気持ち分かったよ……確かに大好きだからダメだし、こんなことしてもらっちゃうの目茶苦茶罪悪感湧いてきちゃう……シュンちゃんのこと、オレが汚しちゃうみたいで……」
「……分かってくれたんですね?」
「……うん」
「……俺と同じ気持ちなんですよね?」
「……うん」
だからといってこんな土壇場で、素直に引き下がってやるつもりはないけれど。
「……だったら、もう一つ有るんじゃないですか? 俺に言わないといけないこと」
「え……?」
ようやく顔を上げてくれた先輩は、困惑しているようだった。けれども俺は見逃さなかった。
「申し訳ないって気持ちだけですか? ホントに?」
「っ……」
息を呑んだ先輩の瞳に、少しだけ丸くなった瞳に微かに宿ったままの熱のこもった欲を。
「……大丈夫ですよ」
ゆっくり、静かに手を伸ばす。指先で、先輩の柔らかなウェーブのかかった髪に触れる。先輩は少しだけ頼もしい肩を震わせた。けれども、表面を優しく撫でている内に、その表情は少しずつ綻んでいった。
眉間に寄っていたシワが消え、目尻が下がり、柔らかな微笑みが戻った頃、自分から俺の手に頭を寄せてきてくれた。
「大丈夫……俺も同じ気持ちでしたから……だから、先輩も教えて下さい……先輩の素直な気持ちを……」
後もうひと押しと言葉を重ねれば、先輩は俺を一度見てから睫毛を伏せた。微かに動き始めた唇は拗ねたように尖っていた。
「……て……い」
尋ね返すことはせず、静かに言葉の続きを待つ。指通りのいい髪を撫でた際、掠めてしまった頬が熱かった。
「して欲しい……シュンちゃんに……」
「ちゃんと言えて偉いですね……じゃあ、ご褒美あげないとですね」
咄嗟にそう思ったから伝えたのだけれども、先輩はピンともきていないよう。タレ目の瞳を見開いたまま、ぽかんと俺を見つめている。
こうなったら、もっと直接的な言葉で伝えるしか。大きく息を吸い込んでから、吐き出した息と一緒に勢い任せに声を振り絞った。
「だ、だからっ、その……俺が、先に舐めたいんですっ…………先輩のを……」
度胸が足りずに最後の方は失速してしまった。けれども、これだけ言えたのだ。伝わってくれ、伝わって下さい。
祈るような気持ちで閉じてしまっていた目を開ければ、顔を真っ赤にした先輩と目が合った。薄く口を開いたまま、食い入るように俺を見つめている。
見開かれたその瞳に宿っていた確かな欲に、期待に、俺は胸を撫で下ろした。と同時に失念していた。伝わったからといって、許可がもらえるとは限らないということに。
「ちょ、ちょっと待って、マジで? マジで言ってるの?」
俺を抱き起こした腕は震えていた。忙しなく目を泳がせている先輩は訳が分からないと言いたげ。俺の肩を掴んで、高い鼻先が当たってしまうくらいにその端正な顔を近づけてくる。
「ホントに? シュンちゃんが? オレに? ……フェラしたいって言ってくれたの?」
「はい……言いました、したいって……」
「…………そ、っか」
まるで電池が切れたみたいだった。それだけ言って先輩は力なくスラリと伸びた背筋を丸めた。俺の胸板に額を押し付けてきた。
……なんだろう。ちょっと雲行きが怪しいような。
普段はからっきしのくせに、こういう時ばかり。なんでイヤなタイミングの時に限って、俺の予感は当たってしまうのだろうか。
「ゴメンね、シュンちゃん……」
返ってきたのは案の定、申し訳無さそうな声。そうして、やんわりと俺の提案を断ろうとしてくる。
「オレ、やっと昨日のシュンちゃんの気持ち分かったよ……確かに大好きだからダメだし、こんなことしてもらっちゃうの目茶苦茶罪悪感湧いてきちゃう……シュンちゃんのこと、オレが汚しちゃうみたいで……」
「……分かってくれたんですね?」
「……うん」
「……俺と同じ気持ちなんですよね?」
「……うん」
だからといってこんな土壇場で、素直に引き下がってやるつもりはないけれど。
「……だったら、もう一つ有るんじゃないですか? 俺に言わないといけないこと」
「え……?」
ようやく顔を上げてくれた先輩は、困惑しているようだった。けれども俺は見逃さなかった。
「申し訳ないって気持ちだけですか? ホントに?」
「っ……」
息を呑んだ先輩の瞳に、少しだけ丸くなった瞳に微かに宿ったままの熱のこもった欲を。
「……大丈夫ですよ」
ゆっくり、静かに手を伸ばす。指先で、先輩の柔らかなウェーブのかかった髪に触れる。先輩は少しだけ頼もしい肩を震わせた。けれども、表面を優しく撫でている内に、その表情は少しずつ綻んでいった。
眉間に寄っていたシワが消え、目尻が下がり、柔らかな微笑みが戻った頃、自分から俺の手に頭を寄せてきてくれた。
「大丈夫……俺も同じ気持ちでしたから……だから、先輩も教えて下さい……先輩の素直な気持ちを……」
後もうひと押しと言葉を重ねれば、先輩は俺を一度見てから睫毛を伏せた。微かに動き始めた唇は拗ねたように尖っていた。
「……て……い」
尋ね返すことはせず、静かに言葉の続きを待つ。指通りのいい髪を撫でた際、掠めてしまった頬が熱かった。
「して欲しい……シュンちゃんに……」
「ちゃんと言えて偉いですね……じゃあ、ご褒美あげないとですね」
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