気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)

先輩のサービス精神はとどまるところを知らない

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 手のひらにじゃれるように擦り寄ってくれていた頬の動きが止まる。俺を見つめてくる眼差しが妖しい熱を帯びてくる。

 不意に肌に感じたのは熱い吐息。手のひらに形の良い唇が寄せられていた。

「……で、シュンちゃんは、オレのどこを触りたいの?」

 わざとらしいリップ音を鳴らしながら、尋ねてきた声が艶っぽい。手のひらに感じる柔らかな感触と相まって、ますます鼓動が煩く高鳴ってしまう。

 俺だけを見つめてくれる眼差しの前では、とてもじゃないが隠し事は出来そうにない。だって、きっと、すぐに見抜かれてしまう。今までも、ずっとそうだったから。

 深く息を吸って、吐いて。覚悟を決めた俺は、胸の内に抱いている欲望を誤魔化すことなく伝えることにした。

「その……よろしかったら……雄っぱいを触らせていただけたら嬉しいなと……」

 途切れ途切れになったどころか、妙にかしこまった言い方をしてしまっていた。ただでさえ熱かった頬が、ますます熱を持ってしまう。

 ピンときていないのか、よっぽど意外だったのか、先輩は目を丸くしたまま俺を見つめるばかり。でも、再起動は早かった。

「ああっ、イイよ、イイよ!」

 そんでもって、思い切りが良過ぎた。

 俺の肩を掴んでから少し距離を離したかと思えば、先ずはと言わんばかりに羽織っていたスタイリッシュな紺のジャケットを脱ぎ捨てた。ブランドものっぽい生地は、いかにも質が良さそう。だというのに、シワが寄るのも構わずに、カーペットの上へと無造作に置かれてしまう。

 この時点で俺からしたら準備万端だった。Vネックの白いシャツ越しでも逞しさが分かる雄っぱいが、すぐ側にあったのだから。

 しかし、先輩のサービス精神はとどまるところを知らない。

「よっこいせっ、と」

「え、ちょっ、先ぱっ!?」

 細く長い指が服の裾にかかったかと思えば瞬く間に。先輩はなんの躊躇もなく肌着ごと七分丈のシャツをたくし上げたのだ。

 括れた腰のラインが、キレイに六つに割れて隆起した腹筋が、そして程よく盛り上がった大胸筋があらわになってしまう。白い肌に濃い陰影をつけるほどに浮き出た筋肉のラインは、先輩の日頃の努力を物語っていた。

 目の前に惜しげもなく晒されている肉体美。見てはいけないものを見ているような罪悪感が芽生えるものの、目を逸らすことが出来ない。

 だって、憧れの人の……大好きな人の裸なんだぞ? それも肝心な相手の意思は、大歓迎ムードなんだからさ。見ない方が逆に失礼だろ! 失礼だよな?

 自分自身に謎な言い訳をしている内に、先輩はまたしても手にしている服をぽいっと放った。軽くあぐらをかいてから、両腕を広げて俺を招いてくる。

「はい、どうぞっ」

 弾むように明るい声は、笑顔は、カッコよくて艶やかな姿とは打って変わって無邪気で眩しい。そのギャップのせいだろう。更に増した罪悪感と背徳感に目の前がくらくらした。

「……ちょっと、大サービス過ぎやしませんか?」

「ん?」

 こてんと小首を傾げた先輩にとっては、上半身を晒すくらいなんてことはないらしい。余裕たっぷりなその反応が、ちょっぴり悔しくて寂しかった。絶対に先輩にその気はないだろうけど、見せつけられたような気がしたんだ。俺の知らない、そういうことへの経験の差を。

 だが、そんな考えすら甘ちゃんだったのだと俺はすぐに思い知らされることになる。とんでもない宣言を満面の笑みのまま突きつけられたことによって。

「だって、今の内にシュンちゃんが満足出来るまで触っておいてもらわないと」

 不思議に思う間もなくに手を取られた。優しく引かれて前のめりにバランスを崩しかけたところで、腰に腕が回される。流れるように彼の腕の中へと抱き寄せられてしまっていた。

 頭の上から優しい声が振ってくる。囁くように密やかな声だったのに、妙に耳に残った。

「オレの番になったらさ……シュンちゃん、ずっとオレの腕の中で、可愛い声で鳴くだけになっちゃうでしょ?」

「っっ……」

 細められた眼差しは蕩けるように甘くて優しい。だというのに宿した光は強くギラついていて、俺の心を酷く揺さぶった。
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