気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)

滑り出しは好調

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 ライと練習した手順は、忘れないように何度も頭の中でシミュレーションした。

 これ以上にないくらいに片付いている室内は、もう何度もチェック済み。それでも心配で、また掃除機をかけてみたり……ベッドもシワ一つないように整えてみたりもした。

 気が早いのは分かっているけど、一応シャワーも浴びておいた。まぁ、仮に、入っておいでって言われたとしても、もう一回洗えるチャンスが出来たと思えば。あわよくば、先輩とご一緒させてもらえたら嬉しいんだけどな。

 ……ソレイユ先輩とお風呂か。定番だけど、背中を流し合いっことかしたりして。浴槽は狭いから、二人で入るのは難しいかな? でも、先輩だったら俺を後ろから抱き抱えてくれそう。そしたら、肌と肌とが触れ合っちゃったりして。

 高まる期待で浮ついていた俺の視界に窓が、四角に切り取られたオレンジ色に染まった景色が映る。いつの間に、こんなに日が落ちて。呑気に妄想している場合じゃない!

 緩みきった気持ちも顔も引き締めて、再度部屋をぐるりと見渡す。やっぱりキレイだと思う。カーペットの上も、台所のシンクも。テーブルを挟むように置いた二つのクッションにもズレはない。

 準備は万端のハズ。後は先輩が来るのを待つばかり。普段は気にも止めてはいない時計の音が、妙に大きく聞こえてくる。秒針が刻んでいる音に呼応しているみたい。俺の心臓もバクバクと騒がしい。このままじゃ破裂してしまいそ……

「おわっ」

 うっかり心臓が飛び出すかと。突如鳴ったチャイムの音に、全身が大げさなくらいにビクッと跳ねてしまっていた。

 だからといって待たせてしまう訳には。とにかく玄関へと急ぐ。慌てた勢いそのままに、扉を開けてしまっていた。

 大きな音を立ててしまった俺を、丸くなったオレンジの瞳が見つめている。ボストンバッグを肩にかけ、ビニール袋を手にしている先輩が長い睫毛をしばたたかせた。

「ご、ごめんなさい……嬉しくて、つい……その、びっくりさせちゃいましたよね?」

 早々にやってしまった……変に思われただろうか? 思われただろうな……

 一気に熱くなった顔から、サッと熱が引いていく。背中を嫌な汗が滲んでくる。

 俯いたまま何も言えずにいると、息を飲むような音が聞こえた。釣られて顔を上げた時には背中に腕が回されていて、目の前には逞しい雄っぱいが迫っていて。先輩に抱き締めてもらえていた。

「……メッチャ可愛い……今すぐ抱きたい……」

 小さな声で呟かれたせいで、あまりよく聞き取れなかった。だからだろう。俺にとって目茶苦茶都合の良いことが聞こえた気がする。

 抱きたい……とかさ。まさかね……そんな、夢みたいなこと、言ってもらえる訳が。

「……ソレイユ先輩?」

「あー……全っ然、気にしてないから大丈夫だよっ。オレも会えて嬉しいよ、今日はよろしくね」

「こ、こちらこそよろしくお願いしますっ」

 先輩の優しさが身に沁みる。花が咲くように微笑んでくれただけじゃない。頭まで撫でてもらえるなんて。最悪かと思った幸先は良さそうだ。
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