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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
懸命に思い出そうにも
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マズった……よな? いくらライには割とオープンに話しているとはいえ、友達に聞くような内容じゃ……
早くも後悔しているとライが突然立ち上がった。かといって俺の元へと来るのではなく、何故か一目散に台所へと駆けていく。
ガタゴトと何かを探しているような賑やかな物音の後に、またぱたぱたと彼の足音。すぐに戻ってきたライは、俺の隣へとぺたんと座り込んだ。
「取り敢えず、これで練習してみる?」
小さな手が差し出してきたのは、ビニール袋に入っている白い棒アイスだった。多分バニラだろう。スーパーとかで箱で売っている小さめのものだ。なんだか懐かしいな。最近は食べていなかったっけ。
「僕も、やり方を教えられるほど詳しくはないけど……感覚は掴めるかもよ? 要は舐めればいいんだし」
「あー! 成る程、確かに。流石ライだな!」
ようやく意図が飲み込めた俺を見て、ライが安心したように微笑んだ。ついつい頭を撫でてしまっていると、丸い茶色の瞳が照れくさそうに細められた。
「えへへ……僕が持っててあげるから、早速やってみよう?」
「うん、ありがとう、ライ」
ふにゃりと緩んだ頬を引き締めて、ライが俺の口元でアイスを構えた。
今は一分一秒でも惜しいからな。少しでも先輩に喜んでもらえるように、いっぱい練習しないと。
「……でも、まず、どうしたらいいんだ?」
意気込んだものの、初っ端から躓いてしまった。突き出されているアイスをしげしげと眺めていると、ライも「うーん……」と困ったような声を漏らしながら首を傾げた。
……先輩は、どういう風に舐めてくれていたんだっけ?
記憶の引き出しから引っ張り出そうとしても、脳裏に浮かぶのは顔が熱をもつことだけしか。艶っぽく微笑む唇から覗いている真っ赤な舌、見上げてくる少し潤んだオレンジの瞳、乱れた吐息。それから。
ダメだ……ソレイユ先輩がエッチだったことと、目茶苦茶気持ちよかったことしか思い出せない。
何もかもが初めてな俺にとっては、至極鮮烈で刺激があり過ぎた体験。だというのに、肝心な手順に関してはサッパリだ。ああ、また色気漂う濡れた唇が思い出す邪魔をして。
「……昨日、シュンが先輩にやってもらったみたいにすればいいんじゃない?」
「あ、ああ……俺も今思い出そうとしていたんだけど、全然思い出せなくて…………って、あれ? 先輩にしてもらったって、俺、ライに言ったっけ?」
丁度思い出そうとしていた時に聞かれたもんだから、つい言っちゃってたんだけど。
「ううん、言ってないけど……だから練習しようって思ったんじゃないの? 先輩にお返ししたくて」
「っ……」
そもそもの理由までをもあっさりと言い当てられてしまい、俺は言葉を詰まらせた。ますます熱くなった顔からは、湯気でも出ていそう。
片やライは冷静なまま。微笑みながら「シュンは頑張り屋さんだね」と俺の頭を撫でてくれた。
早くも後悔しているとライが突然立ち上がった。かといって俺の元へと来るのではなく、何故か一目散に台所へと駆けていく。
ガタゴトと何かを探しているような賑やかな物音の後に、またぱたぱたと彼の足音。すぐに戻ってきたライは、俺の隣へとぺたんと座り込んだ。
「取り敢えず、これで練習してみる?」
小さな手が差し出してきたのは、ビニール袋に入っている白い棒アイスだった。多分バニラだろう。スーパーとかで箱で売っている小さめのものだ。なんだか懐かしいな。最近は食べていなかったっけ。
「僕も、やり方を教えられるほど詳しくはないけど……感覚は掴めるかもよ? 要は舐めればいいんだし」
「あー! 成る程、確かに。流石ライだな!」
ようやく意図が飲み込めた俺を見て、ライが安心したように微笑んだ。ついつい頭を撫でてしまっていると、丸い茶色の瞳が照れくさそうに細められた。
「えへへ……僕が持っててあげるから、早速やってみよう?」
「うん、ありがとう、ライ」
ふにゃりと緩んだ頬を引き締めて、ライが俺の口元でアイスを構えた。
今は一分一秒でも惜しいからな。少しでも先輩に喜んでもらえるように、いっぱい練習しないと。
「……でも、まず、どうしたらいいんだ?」
意気込んだものの、初っ端から躓いてしまった。突き出されているアイスをしげしげと眺めていると、ライも「うーん……」と困ったような声を漏らしながら首を傾げた。
……先輩は、どういう風に舐めてくれていたんだっけ?
記憶の引き出しから引っ張り出そうとしても、脳裏に浮かぶのは顔が熱をもつことだけしか。艶っぽく微笑む唇から覗いている真っ赤な舌、見上げてくる少し潤んだオレンジの瞳、乱れた吐息。それから。
ダメだ……ソレイユ先輩がエッチだったことと、目茶苦茶気持ちよかったことしか思い出せない。
何もかもが初めてな俺にとっては、至極鮮烈で刺激があり過ぎた体験。だというのに、肝心な手順に関してはサッパリだ。ああ、また色気漂う濡れた唇が思い出す邪魔をして。
「……昨日、シュンが先輩にやってもらったみたいにすればいいんじゃない?」
「あ、ああ……俺も今思い出そうとしていたんだけど、全然思い出せなくて…………って、あれ? 先輩にしてもらったって、俺、ライに言ったっけ?」
丁度思い出そうとしていた時に聞かれたもんだから、つい言っちゃってたんだけど。
「ううん、言ってないけど……だから練習しようって思ったんじゃないの? 先輩にお返ししたくて」
「っ……」
そもそもの理由までをもあっさりと言い当てられてしまい、俺は言葉を詰まらせた。ますます熱くなった顔からは、湯気でも出ていそう。
片やライは冷静なまま。微笑みながら「シュンは頑張り屋さんだね」と俺の頭を撫でてくれた。
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