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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
要は、お互いに
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覆い被さっていた均整のとれた身体が、ゆっくりと離れていってしまう。先輩は、膝立ちで俺の身体を跨いだまま、手で顔を覆ったまま、肩を落とした。
俺は言葉を待っていた。いや、待つことしか出来なかった。何で先輩が落ち込んじゃっているのか、分からなかったから。
少ししてから、先輩はぽつりぽつりと話してくれた。それでも、目元から手は退いていたけれども、なかなか目を合わせはてくれない。
「あー……先に言っておくけどさ、間違ってたらゴメンね」
「はい。気にしませんから、どうぞ」
「ありがと」
ようやく目が合った。微笑んでくれた。でも、すぐにまた逸らされてしまう。すでに彼の白い頬は赤く染まっていた。引き締まったラインが美しい首までもが、じわじわと色づき始めている。
「えーっと、さ……」
知りたい気持ちが勝っている俺の気持ちは前のめりだったが、胸の内を話す側の先輩としては言い辛いのだろう。いつになく言い淀んでいる。
長い指で頭をわしゃわしゃかき混ぜながら口を開いては閉じるという、何度目かの逡巡の後。気合を入れるかのように深呼吸をし「よしっ」と声を上げた。
「あの時オレが断って、帰っちゃったから……だよね? だから、そんな勘違いさせちゃったんでしょ? シュンちゃんは、勇気を出して誘ってくれたのにさ……」
「はい……先輩は繊細だから、そういうことはしたくないのかなって……だから引かれちゃったかなって思ってました……俺の下心が見抜かれちゃったんだって」
「繊細……オレが……?」
よっぽど意外だったんだろうか。細い顎に指を当て、不思議そうにしている彼の眉間には深いシワが刻まれてしまっている。
先輩が考える人になりかけていたのもつかの間、弾かれたように顔を上げた。カーペットに投げ出されていた俺の手を取り握り締めた。
「って、ちょっと待って! し、下心って……じゃあさ、やっぱりあの時に、もう覚悟してくれてたの? 思ってくれてたの? オレと……そういうこと、したいって」
「は、はい……一緒にご飯を食べて、そのまま泊まっていってくれないかなって……その時に、その……そういう雰囲気にならないかなって……期待し、て」
顔の中心へと熱が集まっていくにつれ、声がどんどん萎んでいってしまう。言い終わるまで先輩の顔を見つめ続けることは出来なかった。
顔ごと背けてしまっていると、顎を掴まれた。長い指先に促されて前を向けば、もう鼻先に柔らかい微笑みが。
「あっ、先輩……ん、ふ……」
期待が滲んでいた俺の声がくぐもっていく。何度か重ねてもらえてから、触れ合っている唇がそっと離れていった。
「……ゴメンね、我慢してたんだ……シュンちゃんに嫌われたくなかったから……」
「へ? 何で俺が先輩のことを…………あー……」
今度は俺が自己完結する番だった。要するに俺達は似た者同士だったって訳で。
「俺とおんなじようなこと、考えてたんですね……引かれちゃわないかって……」
「はい、考えてました……」
先輩がスッと上体を起こしてから、姿勢を正して小さく頭を下げる。一気に笑いが込み上げてきてしまった。
何だか無性におかしくて仕方がなかったのだ。たった今判明した、勝手に空回っていただけという事実に、彼の畏まったような言動が相まって。
「ははっ」
「フフっ」
俺が吹き出したのに釣られたように先輩が笑い出す。軽くのしかかられて、抱き締められて、ますます笑いが加速していく。じゃれ合うように俺達はカーペットの上で笑い転げていた。
俺は言葉を待っていた。いや、待つことしか出来なかった。何で先輩が落ち込んじゃっているのか、分からなかったから。
少ししてから、先輩はぽつりぽつりと話してくれた。それでも、目元から手は退いていたけれども、なかなか目を合わせはてくれない。
「あー……先に言っておくけどさ、間違ってたらゴメンね」
「はい。気にしませんから、どうぞ」
「ありがと」
ようやく目が合った。微笑んでくれた。でも、すぐにまた逸らされてしまう。すでに彼の白い頬は赤く染まっていた。引き締まったラインが美しい首までもが、じわじわと色づき始めている。
「えーっと、さ……」
知りたい気持ちが勝っている俺の気持ちは前のめりだったが、胸の内を話す側の先輩としては言い辛いのだろう。いつになく言い淀んでいる。
長い指で頭をわしゃわしゃかき混ぜながら口を開いては閉じるという、何度目かの逡巡の後。気合を入れるかのように深呼吸をし「よしっ」と声を上げた。
「あの時オレが断って、帰っちゃったから……だよね? だから、そんな勘違いさせちゃったんでしょ? シュンちゃんは、勇気を出して誘ってくれたのにさ……」
「はい……先輩は繊細だから、そういうことはしたくないのかなって……だから引かれちゃったかなって思ってました……俺の下心が見抜かれちゃったんだって」
「繊細……オレが……?」
よっぽど意外だったんだろうか。細い顎に指を当て、不思議そうにしている彼の眉間には深いシワが刻まれてしまっている。
先輩が考える人になりかけていたのもつかの間、弾かれたように顔を上げた。カーペットに投げ出されていた俺の手を取り握り締めた。
「って、ちょっと待って! し、下心って……じゃあさ、やっぱりあの時に、もう覚悟してくれてたの? 思ってくれてたの? オレと……そういうこと、したいって」
「は、はい……一緒にご飯を食べて、そのまま泊まっていってくれないかなって……その時に、その……そういう雰囲気にならないかなって……期待し、て」
顔の中心へと熱が集まっていくにつれ、声がどんどん萎んでいってしまう。言い終わるまで先輩の顔を見つめ続けることは出来なかった。
顔ごと背けてしまっていると、顎を掴まれた。長い指先に促されて前を向けば、もう鼻先に柔らかい微笑みが。
「あっ、先輩……ん、ふ……」
期待が滲んでいた俺の声がくぐもっていく。何度か重ねてもらえてから、触れ合っている唇がそっと離れていった。
「……ゴメンね、我慢してたんだ……シュンちゃんに嫌われたくなかったから……」
「へ? 何で俺が先輩のことを…………あー……」
今度は俺が自己完結する番だった。要するに俺達は似た者同士だったって訳で。
「俺とおんなじようなこと、考えてたんですね……引かれちゃわないかって……」
「はい、考えてました……」
先輩がスッと上体を起こしてから、姿勢を正して小さく頭を下げる。一気に笑いが込み上げてきてしまった。
何だか無性におかしくて仕方がなかったのだ。たった今判明した、勝手に空回っていただけという事実に、彼の畏まったような言動が相まって。
「ははっ」
「フフっ」
俺が吹き出したのに釣られたように先輩が笑い出す。軽くのしかかられて、抱き締められて、ますます笑いが加速していく。じゃれ合うように俺達はカーペットの上で笑い転げていた。
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