気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件～恋人ルート～

細マッチョな先輩と恋人同士になった件（ソレイユルート）

★ そりゃあ、気持ちよかったけれども

　絡みついていた温度が離れていってしまう。深く深く交わしていたキスが終わってしまう。無意識の内に俺は続きを求めてしまっていたんだろう。いまだに身体を震わせながらも、必死に舌先を伸ばしていたんだ。

　でも、先輩はしてくれなかった。真っ赤な舌はことは済んだと言わんばかりに離れていって、俺達を繋ぐように間で引いていた透明な糸は、あっさり切れてしまった。

「んっ……は、ぁ……ソレ、イユ……先ぱ……」

　手を伸ばしたいけれども上手く力が入らない。せめて先輩にくっつきたいのに。少しでも近くに居たいのに。

　流石、ソレイユ先輩だ。見つめることしか出来なかったのに察してくれた。俺の望みを叶えてくれた。上体を起こすことすら難しい俺を軽々と抱き上げて、またお膝の上へと乗せてくれた。今度は後ろから抱き締めてくれた。

　包みこんでくれる温もりに、香ってくるほんのり甘い香りに、たちまち気持ちが晴れやかになっていく。大きな手のひらが、ヘソの辺りに添えるように優しく置かれた。

　先輩は何も言わない。けれども、反対の手で頭を撫でてくれている手つきは優しい。それだけで、十分だった。

　さっきまでの、思い出すだけで頭がふわふわ熱を持ってしまう出来事は、全部俺にとって都合の良い夢だったんだろうか？　そう錯覚してしまいそうなくらいに、ゆったりとした穏やかな時間が流れていく。

　しかし、すぐに現実だったんだと、イヤな形で突きつけられてしまった。

　少しは落ち着いてきたんだろう。とある部分の違和感に気がついてしまった。台無しだ。せっかく幸せで、夢見心地な気分だったのに。俯いた視線は自然と件の部分へと、いまだに興奮の名残を残している股の間へと向いていた。

　ウソだとは思いたい。けれども、一旦目を瞑ってから開いてみても何も変わらない。見えている現実も、見えていない不快感も。いまだに俺のものは、ちゃっかり硬さをたもったまま、ズボンの中心に膨らみを作ってしまっているし、パンツの中ははしたなく濡れてしまっている。

　……イっちゃってたんだ……俺……先輩にキスしてもらっただけで……

　意識すればするほど、顔が熱をもってしまう。余計に感じてしまう。パンツの中をしっとりと濡らしてしまっている、ヌメつく感覚を。

　そりゃあ、気持ちよかったけれども。それに、初めてだったけどさ。あんな深いキス。

　でも、でも、ちょっと堪え性が無さ過ぎるんじゃ？　ていうか……バレちゃっているのかな？　もし、バレちゃってたら……

「ねぇ、シュンちゃん……もしかして、ちょっと出ちゃった？」

　無情な宣告に、火照っていた身体が血の気でも引くように冷たくなっていく。目の前までもが真っ暗になっていくような気がした。

　囁くように尋ねてきた声は、俺にとっては場違いなくらいに明るくて、嬉しそうだった。