気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件～恋人ルート～

マッチョな先輩と恋人同士になった件（サルファールート）

★ お互いに承知の上で

　少し硬い指先が、申し訳程度についている大胸筋の感触を確かめるように肌を撫でていく。

　頭をよしよし褒めてくれる時とは違う手つき。触れてくれているんだけど、しっかりとは触れてくれていないような。撫でられた部分に淡い余韻が残り続けているような。

　絶妙な力加減で行われているそれは、一応高めてはくれている。いまだに内側から与え続けられている心地よさを、身体の奥まで彼の雄で満たしてくれている悦びを。

　でも、肝心なところには触れてくれない。俺が一番期待していたところには掠りもしない。

　……もっと気持ちよくしてくれるって、言ってたのに。

　つい不満そうな目で見つめてしまっても、楽しそうに俺の様子を伺っているサルファーにはどこ吹く風。乳輪にすら触れてくれることはなく、ただ胸筋全体を優しく揉んでいる。ひたすらにゆっくりとした腰の動きで、俺の奥へと大きな亀頭を押し当てている。

「は、ふぅ……ん、サルファー……」

　つい物欲しそうに呼んでしまってもだ。

「ん？　どうしたんだ？　何かあったのならば、俺に分かるように教えてくれ……」

　色っぽくて悪戯っぽい笑みを浮かべながら、頬に口づけてくれるだけだった。

　絶対に分かってるくせに。俺が求めていることなんて、とっくにお見通しのくせに。

　分かってはいるんだ。それも込みで焦らしているんだって。俺の口から求めて欲しいから、すぐにはくれないんだって。

　……分かってはいるけどさ。

　気恥ずかしさによって、構築されていた最後の壁。特別頑固なそれも、彼からのお誘いの前では脆いものだった。

「なぁ、シュン……どうされたいんだ？」

　少し掠れた低音に、耳元で吐息を吹き込むように囁かれて。

「俺に……どうして欲しいんだ？」

　掠めるように軽く、突起の先端を指先で撫でられてしまえば。ずっと欲しかった刺激を、ちょっぴり与えられてしまえば。

「っ……お願い、サルファー……触って……乳首、触って欲しい……俺のこと、いっぱい甘やかして……」

　言い終わるよりも早く摘まれていた。

　すでにぷくりと勃ち上がり、硬くなっている乳首が、人差し指指と親指との間に挟まれ、転がすように撫でられる。

　こっちの方も、あっという間だった。少し甘やかしてもらえただけ、それだけで俺は腰を震わせてしまっていた。頼もしい彼の肩を強く掴みながら、目が眩むような快感に飲まれてしまっていたんだ。

「ひ、んぅ……あっ、あ……ッ………」

　とても自分の口から出たとは思えない、高く上擦った声。喜びに濡れた声を追いかけるように、サルファーが微かに呻く。

「……く、ぅ……」

　締めつけちゃったんだろう。でも、今回は一緒にはイけなかったみたい。内壁が疼くような、お腹の中に染み渡っていくような熱は感じない。ただ、俺の奥まで届いている彼のものが、大きさを増しただけだった。