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マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)
★ 俺だけじゃなかった
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……くらくらする。
視界は最悪。不良どころの騒ぎじゃない。ただでさえ滲んでいたってのに、まだ白くボヤけてチカチカしていて、何がなんやら。
その上、色んなところが熱くて、痺れていて。さっきまで繋いでくれていた手のひらの感触すら、おぼろげで。
分からない。大好きな彼が居てくれているのか。俺の側に、俺の中に留まってくれているのか。
……寂しい。
「うぁ……は、ひ……さるふぁ……サルファー……」
自分でも驚くくらいに悲惨な声だった。今にも泣いてしまいそうな、親を求めて彷徨う迷子のような。
正直、ホントに泣きそうだった。でも、すぐに応えてくれた。耳心地のいい声が、安心する声が。
「よしよし……俺はここにいるぞ……ちゃんと居るからな……」
頬を撫でてくれている手のひらの温もりが、暗く沈むような寂しさを拭ってくれる。
……ああ、この手だ。いつも俺を褒めてくれて、励ましてくれる頼もしい手。大好きで、憧れで、かけがえのない大切な彼の手。
「サルファー……」
もっと、もっと彼を感じていたくて、夢中で頬を擦り寄せていた。分厚い手のひらは、少しだけ驚いたように動きを止めたけれども、すぐにまた俺を甘やかしてくれる。
「はは、甘えただな……可愛いよ、シュン……」
擽ったそうな笑い混じりの声が、申し訳無さそうに切り出してきた。
「済まなかったな……君が男冥利に尽きることばかり言ってくれるものだから、我慢が出来なかった……」
我慢が出来なかった。
いまだに頭の中は、霧がかかったようにぼんやりとしている。それでも、その言葉だけは妙に響いて。
「ん……大丈夫……嬉しい……我慢して欲しくないから嬉しい……サルファーの……好きにしてくれて……」
「そ、そうか…………俺も、嬉しいよ……シュンが俺を受け入れてくれて……気持ちよくなってくれて……」
「え……?」
「ん? ……気がついていないのか?」
尋ねられてからだった。
曖昧だった感覚が、一気に蘇ったみたい。ようやくピントが合ったように少し照れた彼の顔が見えて、俺の中に奥まで収まっている熱を感じて、そして。
「……もしかして、俺……挿れて、もらっただけで? まだ、ほとんど動いてもらってなかったのに?」
「……あ、ああ……勢いよくしてしまった自覚はあったんだが、そんなに感じてくれるとは思わなくてな……」
瞳を逸らし、ますます頬を赤くしながらも「様子を見ながら、最後までするつもりではあったんだが……」と言葉を濁しながらも、先輩は続けた。
とんでもないことを、告白してくれた。
「君が俺で気持ちよくなってくれた嬉しさと、その時の締めつけで……その、うっかり俺まで出してしまいそうに……」
俺だけじゃなかった。先輩もだった。先輩も、俺で気持ちよくなってくれて。
「ん、くっ……しゅ、シュン……だから、あまり、締めつけられると……俺も……あっ……」
俺に覆い被さっている、彫刻のように盛り上がった体躯が震えている。切なそうに眉をひそめながら、先輩は堪えているようだった。
視界は最悪。不良どころの騒ぎじゃない。ただでさえ滲んでいたってのに、まだ白くボヤけてチカチカしていて、何がなんやら。
その上、色んなところが熱くて、痺れていて。さっきまで繋いでくれていた手のひらの感触すら、おぼろげで。
分からない。大好きな彼が居てくれているのか。俺の側に、俺の中に留まってくれているのか。
……寂しい。
「うぁ……は、ひ……さるふぁ……サルファー……」
自分でも驚くくらいに悲惨な声だった。今にも泣いてしまいそうな、親を求めて彷徨う迷子のような。
正直、ホントに泣きそうだった。でも、すぐに応えてくれた。耳心地のいい声が、安心する声が。
「よしよし……俺はここにいるぞ……ちゃんと居るからな……」
頬を撫でてくれている手のひらの温もりが、暗く沈むような寂しさを拭ってくれる。
……ああ、この手だ。いつも俺を褒めてくれて、励ましてくれる頼もしい手。大好きで、憧れで、かけがえのない大切な彼の手。
「サルファー……」
もっと、もっと彼を感じていたくて、夢中で頬を擦り寄せていた。分厚い手のひらは、少しだけ驚いたように動きを止めたけれども、すぐにまた俺を甘やかしてくれる。
「はは、甘えただな……可愛いよ、シュン……」
擽ったそうな笑い混じりの声が、申し訳無さそうに切り出してきた。
「済まなかったな……君が男冥利に尽きることばかり言ってくれるものだから、我慢が出来なかった……」
我慢が出来なかった。
いまだに頭の中は、霧がかかったようにぼんやりとしている。それでも、その言葉だけは妙に響いて。
「ん……大丈夫……嬉しい……我慢して欲しくないから嬉しい……サルファーの……好きにしてくれて……」
「そ、そうか…………俺も、嬉しいよ……シュンが俺を受け入れてくれて……気持ちよくなってくれて……」
「え……?」
「ん? ……気がついていないのか?」
尋ねられてからだった。
曖昧だった感覚が、一気に蘇ったみたい。ようやくピントが合ったように少し照れた彼の顔が見えて、俺の中に奥まで収まっている熱を感じて、そして。
「……もしかして、俺……挿れて、もらっただけで? まだ、ほとんど動いてもらってなかったのに?」
「……あ、ああ……勢いよくしてしまった自覚はあったんだが、そんなに感じてくれるとは思わなくてな……」
瞳を逸らし、ますます頬を赤くしながらも「様子を見ながら、最後までするつもりではあったんだが……」と言葉を濁しながらも、先輩は続けた。
とんでもないことを、告白してくれた。
「君が俺で気持ちよくなってくれた嬉しさと、その時の締めつけで……その、うっかり俺まで出してしまいそうに……」
俺だけじゃなかった。先輩もだった。先輩も、俺で気持ちよくなってくれて。
「ん、くっ……しゅ、シュン……だから、あまり、締めつけられると……俺も……あっ……」
俺に覆い被さっている、彫刻のように盛り上がった体躯が震えている。切なそうに眉をひそめながら、先輩は堪えているようだった。
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