254 / 460
マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)
★ 出来ているから、煽ったんだろう?
しおりを挟む
ほんの少しの間だった。重たい感覚を感じたのは。すぐに塗り替えられてたんだ。それよりも強い感覚に。指の腹で内壁を擦られる悦びに。
「ん、ひっ……あ、あんっ、は、ぁっ……あっ……」
薄暗い室内に響いているのは、鼻にかかった俺の声。尻の穴から漏れ聞こえ続けている、はしたなく濡れた音。それに混じって、俺を見下ろしている先輩の余裕のなさそうな、唸り声に近い吐息が聞こえている。
大丈夫だと言ったのだ。来て欲しいと誘ったのだ。だから俺は覚悟を、先輩にだったら強引に身体を暴かれても構わないと思っていたのだけれど。先輩は冷静そのものだった。
三本の太い指が俺の中を広げている。単純に指と指とを開いて閉じてを繰り返したり。ローションを隅々まで馴染ませるように、中をゆったりかき混ぜり。
それらは、練習を兼ねていつも行っていた準備。俺が痛い思いをしないようにと、俺を傷つけないようにと、欠かさずにやってくれていた工程。
なんだ……ちゃんと、とびきり優しくしてくれているじゃないか。なのに、出来ていないだなんてさ。律儀っていうか、自分に厳しいにも程があるっていうか。
ああ、でも、剣の鍛錬の時もか。一番、自分のことを追い込んでいて。
過ったのは、真剣な眼差し。いつもは、柔らかく微笑んでいる瞳が、屈託のない輝きを宿した瞳が、研ぎ澄まされた剣先のような鋭さを帯びる瞬間。
あの輝きを見つめていられるのなら、あの輝きに捉えられるのなら、一太刀浴びせられてしまっても構わないなんて思ってしまう、俺の憧れ。
「シュン……?」
「あ……」
不思議そうな声に名前を呼ばれて気がついた。自分が軽く上体を起こしていたことに、先輩の目元に触れていたことに。
一体いつから、どのくらいの間、撫でてしまっていたんだろうか。俺の中を解していた途中の指は引き抜かれていて、代わりに中途半端に起き上がっていた俺の腰を抱き支えてくれている。
「えっと……こ、これは、ですね……」
なんと言ったらいいのか。行動に出た俺ですら理由が分からないのだ。説明出来る訳が無い。
強いて言うんだったら、触れたかった……とか?
「ごっ、ごめんなさ」
気がつけば謝っていて、退けようとしていた手を握られていた。釣られて俯いていた視線を上げれば、かち合ったのは蜂蜜色。優しく微笑んでいるけれども、確かな熱を宿した真っ直ぐな眼差し。
ああ、やっぱりカッコいいな。
見惚れている内に、口づけられた。でも、唇同士が軽く触れ合えただけ。すぐに離れていってしまう。繋いでいた手も離されてしまう。
「サルファー先ぱ……」
「覚悟は出来ているんだろう?」
「へ?」
頬に添えられた手が熱い。甘やかすように撫で始めたその手つきは、いつもと変わらない。でも、真っ直ぐに俺を見つめてくる先輩は、見たことがない顔をしていた。
優しく微笑んでくれているハズなのに、目の奥が笑っていないというか。でも、怒っているんじゃなくて、もっと別の。
……ああ、そうだ。似ているんだ。俺を求めてくれている時の感じと。
「出来ているから、煽ったんだろう?」
「ん、ひっ……あ、あんっ、は、ぁっ……あっ……」
薄暗い室内に響いているのは、鼻にかかった俺の声。尻の穴から漏れ聞こえ続けている、はしたなく濡れた音。それに混じって、俺を見下ろしている先輩の余裕のなさそうな、唸り声に近い吐息が聞こえている。
大丈夫だと言ったのだ。来て欲しいと誘ったのだ。だから俺は覚悟を、先輩にだったら強引に身体を暴かれても構わないと思っていたのだけれど。先輩は冷静そのものだった。
三本の太い指が俺の中を広げている。単純に指と指とを開いて閉じてを繰り返したり。ローションを隅々まで馴染ませるように、中をゆったりかき混ぜり。
それらは、練習を兼ねていつも行っていた準備。俺が痛い思いをしないようにと、俺を傷つけないようにと、欠かさずにやってくれていた工程。
なんだ……ちゃんと、とびきり優しくしてくれているじゃないか。なのに、出来ていないだなんてさ。律儀っていうか、自分に厳しいにも程があるっていうか。
ああ、でも、剣の鍛錬の時もか。一番、自分のことを追い込んでいて。
過ったのは、真剣な眼差し。いつもは、柔らかく微笑んでいる瞳が、屈託のない輝きを宿した瞳が、研ぎ澄まされた剣先のような鋭さを帯びる瞬間。
あの輝きを見つめていられるのなら、あの輝きに捉えられるのなら、一太刀浴びせられてしまっても構わないなんて思ってしまう、俺の憧れ。
「シュン……?」
「あ……」
不思議そうな声に名前を呼ばれて気がついた。自分が軽く上体を起こしていたことに、先輩の目元に触れていたことに。
一体いつから、どのくらいの間、撫でてしまっていたんだろうか。俺の中を解していた途中の指は引き抜かれていて、代わりに中途半端に起き上がっていた俺の腰を抱き支えてくれている。
「えっと……こ、これは、ですね……」
なんと言ったらいいのか。行動に出た俺ですら理由が分からないのだ。説明出来る訳が無い。
強いて言うんだったら、触れたかった……とか?
「ごっ、ごめんなさ」
気がつけば謝っていて、退けようとしていた手を握られていた。釣られて俯いていた視線を上げれば、かち合ったのは蜂蜜色。優しく微笑んでいるけれども、確かな熱を宿した真っ直ぐな眼差し。
ああ、やっぱりカッコいいな。
見惚れている内に、口づけられた。でも、唇同士が軽く触れ合えただけ。すぐに離れていってしまう。繋いでいた手も離されてしまう。
「サルファー先ぱ……」
「覚悟は出来ているんだろう?」
「へ?」
頬に添えられた手が熱い。甘やかすように撫で始めたその手つきは、いつもと変わらない。でも、真っ直ぐに俺を見つめてくる先輩は、見たことがない顔をしていた。
優しく微笑んでくれているハズなのに、目の奥が笑っていないというか。でも、怒っているんじゃなくて、もっと別の。
……ああ、そうだ。似ているんだ。俺を求めてくれている時の感じと。
「出来ているから、煽ったんだろう?」
0
お気に入りに追加
132
あなたにおすすめの小説
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる