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マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)
貴方ばかりを見てしまうから、君しか見えていないから
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呼び出しボタンを押してから、すぐにやって来たのは先程の店員さん。
「お待たせ致しましたっ、ご注文はお決まりでしょうか?」
声も笑顔も明るい彼女に先輩は臆することなく堂々と注文していく。
「はい。カツカレーを二つと、ハッピーハートパンケーキを一つ。それから、このカップル限定フロートをお願いします」
可愛らしい単語やら、照れくさい単語やら。それらを快活な声で流暢に言ってのけただけでも、俺からしたら大尊敬なのに。
店員さんと目を合わせたまま爽やかな笑顔を崩すことなく、さり気なく俺の肩を抱き寄せてくるのだ。ここでもアピール出来るなんて、なんてハートが強いんだ。
察したのか店員さんの眼差しが何やら温かいものに。口元に手を当てながら、満足気な先輩と俺とを見つめる表情は、あらあらまぁまぁと言わんばかり。思わず俯いてしまった俺は、優しい腕から逃れて先輩の背中に隠れるように身を寄せてしまっていた。
「……では、ご注文の確認をさせて頂きますね」
注文を復唱する声もさっきより柔かい。けれども先輩は気にすることなく普通に受け答えをしていた。それどころか、店員さんが去っていった後には。
「どうしたんだ、シュン? もっとくっつきたかったのか?」
俺にとっては都合の良い勘違いまで。くっつきたいっていう気持ち自体は間違いではないのだけれど、どう言ったものか。
迷って黙っていた俺の反応を、先輩は肯定と取ったらしかった。
「そうか……嬉しいよ。今はこれで我慢して欲しい……帰ったら、いっぱい抱き締めてあげるからな」
頬を染めた先輩が再び俺の肩へと腕を回す。抱き寄せられて、逞しい雄っぱいに頬を寄せる形で寄りかかってしまった。
幸せな時間はあっという間と良く言うからか、待ち時間はさほど。先程の店員さんの手によって、配膳ワゴンから俺達の前へとカツカレー二つにパンケーキ、フロートが並べられていく。
「ごゆっくりお過ごし下さい」
会釈をしてからワゴンを押しながら別のテーブルへと向かっていく店員さん。彼女の後ろ姿を何となく見送っていると先輩が俺の肩をぽん、ぽんっと叩いてきた。
「スゴいぞ、シュン。ほら、スプーンの柄尻もハート型だ」
フロートについてきた長いスプーンを俺に見せつけながら、無邪気に笑う。
「ホントですね」
「ああ、凝ってるよな。溶ける前に少し飲まないか?」
「はい……」
ハートの形を描きながら交差している二人用のストロー。その一方をおずおずと咥えれば、至近距離に先輩の笑顔が。いつもはちゃんと見れていない睫毛の一本一本まで見えてしまう距離感に、逆に吹きそうになってしまう。
慌てて目を閉じて吸うとイチゴだろうか。甘酸っぱさが口いっぱいに広がっていった。
「丁度いい甘さで美味しいな。ん、どうしたんだ? シュン」
「あ、いや、先輩の顔が近くて……その」
「キスする時はもっと近いだろう?」
それはそうなんだけどさ。
「先輩って堂々としてますよね……恥ずかしくないんですか?」
あんまりにも平然と言われたもんだから、つい素っ気ないことを。
すぐさま過った後悔に対して、謝罪する間もなかった。軽く首を傾げた先輩から再びサラリと言われてしまったのだ。
「そもそも二人でいる時は、君しか見えていないからな……恥ずかしいとか考えている余裕はないな」
予想の斜め上をいく、嬉し過ぎる回答を。ますます熱くなった顔からは、火でも出ていそう。
それから俺達はカレーにパンケーキにフロートと全て綺麗に平らげた。が、俺は嬉しいやら恥ずかしいやらで、味わう余裕など全くなかった。
「お待たせ致しましたっ、ご注文はお決まりでしょうか?」
声も笑顔も明るい彼女に先輩は臆することなく堂々と注文していく。
「はい。カツカレーを二つと、ハッピーハートパンケーキを一つ。それから、このカップル限定フロートをお願いします」
可愛らしい単語やら、照れくさい単語やら。それらを快活な声で流暢に言ってのけただけでも、俺からしたら大尊敬なのに。
店員さんと目を合わせたまま爽やかな笑顔を崩すことなく、さり気なく俺の肩を抱き寄せてくるのだ。ここでもアピール出来るなんて、なんてハートが強いんだ。
察したのか店員さんの眼差しが何やら温かいものに。口元に手を当てながら、満足気な先輩と俺とを見つめる表情は、あらあらまぁまぁと言わんばかり。思わず俯いてしまった俺は、優しい腕から逃れて先輩の背中に隠れるように身を寄せてしまっていた。
「……では、ご注文の確認をさせて頂きますね」
注文を復唱する声もさっきより柔かい。けれども先輩は気にすることなく普通に受け答えをしていた。それどころか、店員さんが去っていった後には。
「どうしたんだ、シュン? もっとくっつきたかったのか?」
俺にとっては都合の良い勘違いまで。くっつきたいっていう気持ち自体は間違いではないのだけれど、どう言ったものか。
迷って黙っていた俺の反応を、先輩は肯定と取ったらしかった。
「そうか……嬉しいよ。今はこれで我慢して欲しい……帰ったら、いっぱい抱き締めてあげるからな」
頬を染めた先輩が再び俺の肩へと腕を回す。抱き寄せられて、逞しい雄っぱいに頬を寄せる形で寄りかかってしまった。
幸せな時間はあっという間と良く言うからか、待ち時間はさほど。先程の店員さんの手によって、配膳ワゴンから俺達の前へとカツカレー二つにパンケーキ、フロートが並べられていく。
「ごゆっくりお過ごし下さい」
会釈をしてからワゴンを押しながら別のテーブルへと向かっていく店員さん。彼女の後ろ姿を何となく見送っていると先輩が俺の肩をぽん、ぽんっと叩いてきた。
「スゴいぞ、シュン。ほら、スプーンの柄尻もハート型だ」
フロートについてきた長いスプーンを俺に見せつけながら、無邪気に笑う。
「ホントですね」
「ああ、凝ってるよな。溶ける前に少し飲まないか?」
「はい……」
ハートの形を描きながら交差している二人用のストロー。その一方をおずおずと咥えれば、至近距離に先輩の笑顔が。いつもはちゃんと見れていない睫毛の一本一本まで見えてしまう距離感に、逆に吹きそうになってしまう。
慌てて目を閉じて吸うとイチゴだろうか。甘酸っぱさが口いっぱいに広がっていった。
「丁度いい甘さで美味しいな。ん、どうしたんだ? シュン」
「あ、いや、先輩の顔が近くて……その」
「キスする時はもっと近いだろう?」
それはそうなんだけどさ。
「先輩って堂々としてますよね……恥ずかしくないんですか?」
あんまりにも平然と言われたもんだから、つい素っ気ないことを。
すぐさま過った後悔に対して、謝罪する間もなかった。軽く首を傾げた先輩から再びサラリと言われてしまったのだ。
「そもそも二人でいる時は、君しか見えていないからな……恥ずかしいとか考えている余裕はないな」
予想の斜め上をいく、嬉し過ぎる回答を。ますます熱くなった顔からは、火でも出ていそう。
それから俺達はカレーにパンケーキにフロートと全て綺麗に平らげた。が、俺は嬉しいやら恥ずかしいやらで、味わう余裕など全くなかった。
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