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マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)
先輩の手には癒やしのパワーが宿っているのかもしれない
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別に俺は高い所が苦手ではない。絶叫マシンの類も多少の怖さを感じたことはあれど、楽しめるタイプだった。ハズだった。
「シュン……大丈夫か?」
頼もしい胸板へとぐったり寄りかかってしまっている俺を、心配そうな眼差しが見つめている。
先輩は、腰に回してくれている太くて筋肉質な腕で抱き支えてくれながら、反対の手が壊れ物にでも触るように恐る恐る頬を撫でてくれた。
「すみません……絶叫系は大丈夫なハズなんですけど……思っていたより怖くて、びっくりしちゃって……」
ホントに見た目より怖かった。並ぶ前に遠目から全体を見ていた時に、結構な高さはあるなとは思っていたけれども。
しかも目茶苦茶速かったし。なんか、縦にも横にもグルングルン回されたし。ぶっちゃけ途中で重力に潰されるかと。
途中、腰が完全に座席から浮いちゃってたよな。そんなことはないとは思うけど、先輩が手を繋いでくれてなかったら、俺、回転と一緒にぶっ飛ばされていたんじゃないか?
安全バーとベルトでしっかり固定されているのに、そんな不安を覚えてしまうほど。結果、終始俺は無邪気に笑う先輩の横で、ひたすら情けのない悲鳴を上げ続けていたんだ。
「……どこか……ああ、ベンチとか、座れるところへ行こうか?」
「いえ、大丈夫ですよ。大分落ち着いてきましたから」
ジェットコースターの駆動音と乗客達の甲高い悲鳴をBGMに、アトラクションを囲っている柵の近くで休んでいる内にマシにはなっていた。
地に足がついていないようなふわふわ感、腹の中身がひっくり返されたようなぐにゃぐにゃ感。俺を襲っていた感覚達が、温かい手のひらに撫でられる度に和らいでいく。
サルファー先輩の手にはリラックス効果以外にも、癒やしのパワーが宿っているのかもしれないな。
かこつけている訳ではない。が、しっかりと堪能してしまっていた。優しい手つきと、頬に触れている雄っぱいの弾力を。
「先輩が撫でてくれているお陰です。ほら、この通り、全然元気ですよっ」
まだ少し不安そうにしていた先輩から名残惜しいが離れ、その場でくるくると回って見せる。
止まってから手を握れば、下がっていた眉毛が緩やかなアーチへと戻っていった。
「そうか……君の役に立てて良かったよ」
はにかむような笑顔が可愛い。ずっと見ていられる。見ていたいのに、大きく高鳴った心音につい反射的に目を逸らしてしまっていた。
そんな折、ふと目に止まった。とある定番アトラクションが。もう少し先輩とまったり過ごしたい俺にとっては、ピッタリなヤツが。
「せ、先輩……今度はあれに乗りませんか?」
「ああ、確かにコーヒーカップならゆっくり楽しめそうだな」
ジェットコースターの少し先。マスコットである二匹の兎が描かれた可愛らしいデザインのカップの周囲には、和やかな笑い声であふれている。アトラクションの特性上、親子連れが多めに見えた。ジェットコースターの人気のせいか行列は短め。今なら待たずに乗れそうだ。
あれなら先輩にずっと抱きついていられる。仮に、ちょっとくらい多めに回したとしても、さっきのジェットコースターに比べたらスピードも出ない。まさに良いことづくめだな。
そう思っていた俺の甘い考えは、数分後にあっけなくぶち壊されることになる。
「シュン……大丈夫か?」
頼もしい胸板へとぐったり寄りかかってしまっている俺を、心配そうな眼差しが見つめている。
先輩は、腰に回してくれている太くて筋肉質な腕で抱き支えてくれながら、反対の手が壊れ物にでも触るように恐る恐る頬を撫でてくれた。
「すみません……絶叫系は大丈夫なハズなんですけど……思っていたより怖くて、びっくりしちゃって……」
ホントに見た目より怖かった。並ぶ前に遠目から全体を見ていた時に、結構な高さはあるなとは思っていたけれども。
しかも目茶苦茶速かったし。なんか、縦にも横にもグルングルン回されたし。ぶっちゃけ途中で重力に潰されるかと。
途中、腰が完全に座席から浮いちゃってたよな。そんなことはないとは思うけど、先輩が手を繋いでくれてなかったら、俺、回転と一緒にぶっ飛ばされていたんじゃないか?
安全バーとベルトでしっかり固定されているのに、そんな不安を覚えてしまうほど。結果、終始俺は無邪気に笑う先輩の横で、ひたすら情けのない悲鳴を上げ続けていたんだ。
「……どこか……ああ、ベンチとか、座れるところへ行こうか?」
「いえ、大丈夫ですよ。大分落ち着いてきましたから」
ジェットコースターの駆動音と乗客達の甲高い悲鳴をBGMに、アトラクションを囲っている柵の近くで休んでいる内にマシにはなっていた。
地に足がついていないようなふわふわ感、腹の中身がひっくり返されたようなぐにゃぐにゃ感。俺を襲っていた感覚達が、温かい手のひらに撫でられる度に和らいでいく。
サルファー先輩の手にはリラックス効果以外にも、癒やしのパワーが宿っているのかもしれないな。
かこつけている訳ではない。が、しっかりと堪能してしまっていた。優しい手つきと、頬に触れている雄っぱいの弾力を。
「先輩が撫でてくれているお陰です。ほら、この通り、全然元気ですよっ」
まだ少し不安そうにしていた先輩から名残惜しいが離れ、その場でくるくると回って見せる。
止まってから手を握れば、下がっていた眉毛が緩やかなアーチへと戻っていった。
「そうか……君の役に立てて良かったよ」
はにかむような笑顔が可愛い。ずっと見ていられる。見ていたいのに、大きく高鳴った心音につい反射的に目を逸らしてしまっていた。
そんな折、ふと目に止まった。とある定番アトラクションが。もう少し先輩とまったり過ごしたい俺にとっては、ピッタリなヤツが。
「せ、先輩……今度はあれに乗りませんか?」
「ああ、確かにコーヒーカップならゆっくり楽しめそうだな」
ジェットコースターの少し先。マスコットである二匹の兎が描かれた可愛らしいデザインのカップの周囲には、和やかな笑い声であふれている。アトラクションの特性上、親子連れが多めに見えた。ジェットコースターの人気のせいか行列は短め。今なら待たずに乗れそうだ。
あれなら先輩にずっと抱きついていられる。仮に、ちょっとくらい多めに回したとしても、さっきのジェットコースターに比べたらスピードも出ない。まさに良いことづくめだな。
そう思っていた俺の甘い考えは、数分後にあっけなくぶち壊されることになる。
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