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マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)

★ 期待しない訳がない

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 骨ばった大きな手が頬へと伸びてきた。触れられた指先の熱さに、呼びかけられたトーンの低さに反射的に肩が跳ねてしまった。

「……シュン」

「は、はいっ」

「いいのか? 俺に付き合ってくれるということで……」

「はいっ……触り合いっこでも……いつもみたいに一緒でも……あ、勿論……りょ、両方でも……俺……んっ」

 触れ合った唇も熱かった。深く絡めることはなかったけれども、何度も甘く食まれてますます気持ちが高まってしまう。

「……ありがとう、一緒に気持ちよくなろうな」

 わざとらしく音を鳴らしてから離れていった先輩が微笑む。緩やかな笑みを形作っている唇からは喜びがあふれているのに、それ以上に色っぽくて。

「はぃ……お、お願いします……」

 また俺は肩を跳ねさせてしまった上に声までひっくり返らせてしまったんだ。

 特に指摘するでもなく笑みを深めた先輩が、今度は頭を優しく撫でてくれる。その手つきに、すっかり気持ちがふわふわしていると聞き慣れた音が、金属同士がかち合うような音が聞こえ始めた。

 音の正体はすぐに分かった。

「先程も言ったが……君に、負担をかけるつもりはない……ただ……俺に身を任せてくれれば……それで……」

 息を乱しながら、頬を染めながら俺を見つめる先輩。彼の反対の手の中には、すでにさらけ出されていた逞しい雄が。隆起した彼の腹筋に当たりそうなくらいに反り返り、赤く染まった先端から透明な雫をこぼしていた。

 器用なもんだ。俺を撫でてくれながら、片手だけで前を寛げていたらしい。ベルトが外されたズボンは、重みからか引き締まった腰からずり落ちかけ、膝の手前で止まっている。

 脱ぐことすら惜しかったのだろう。鍛え抜かれた彫刻のような肉体に、ぴちりと張り付いているボクサータイプのパンツは僅かに下へとずらせれただけ。

 それが逆にエッチというか……こんなの視覚の暴力だろう……

 すっかり俺は見惚れてしまっていた。大好きな先輩が興奮してくれている姿に、瞬きすら忘れて。

 擽ったそうに笑う声が、頭の上から降ってくる。

「良かった……君も期待してくれているんだな……」

「え……?」

 うっとりと細められた視線を辿れば、すぐに分かった。分かってしまった。

 もう満足していたハズなのに、熱が収まっていたハズなのに。早くも俺のものは、しっかりと反応を示してしまっていたんだ。ピンっと勃たせて、先走りを滲ませてしまっていたんだ。

 こんなにもあからさまに興奮しているんだと、期待しているんだと、身体で示してしまっているのだ。何を言ってもムダだろう。それでも気恥ずかしさからか、咄嗟に俺は口を開いていた。

「これは……その……ぁっ」

 けれどもすぐに、そんな気など失せてしまっていた。

「っ……は、ぁ……大丈夫、可愛いぞ……俺も、全身全霊で……応えないとな……っ」

 硬くて太い先輩のものを押し当てられて、分厚い手のひらに一緒に握られて、背筋をぞくぞくと駆け抜けていった甘い感覚。堪らない気持ちよさに、先輩と一緒っていう幸福感に、すっかり夢中になってしまっていたんだ。
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