気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件～恋人ルート～

マッチョな先輩と恋人同士になった件（サルファールート）

★ 先輩は、ずっと優しいまま

　ホントに望んでいたとはいえ、煽るようなことを言ったのだ。勢いそのままにズボンとパンツをすっぽ抜かれて、さくっと指の一本くらいは挿れられる覚悟はしていた。

「……嬉しいよ……こんなに感じてくれていたんだな……」

　でも先輩は、いつも通り。しっかりとローションを取りに行っただけじゃない。俺のズボンを優しく脱がしてきたのだ。

　そんなもんだから、パンツの方もサッサと済ませてくれるハズもなく。じっくり見られてしまっている。

　脱がされる前から、色が変わってしまっている部分を。さらに今は、ウエストゴムに指を引っ掛け、少しズラしてから中を。

　まさか、普通に見られちゃうとは……

　羞恥心から反射的に顔ごと背けてしまったが、感覚で現状が分かってしまう。自分のものが、まだ硬さを保ったままであることも。先端から根元まで濡れそぼるどころか、放ったものがパンツの内側と俺のものとの間で糸を引いてしまっていることも。

　そんな俺にとっては悲惨な有り様を、先輩は嬉々として眺めている。

　……そう言えば、初めて触ってもらった時もこんな感じだったな。俺の先走りで濡れた指を、楽しそうに見せつけてきたっけ。

　自分がしたことで、好きな人が気持ちよくなってくれる喜び。それは分かる。目茶苦茶。だって俺も、俺の手で先輩が感じてくれて興奮しちゃうくらい嬉しかったし。でも。

「先輩……」

　流石に限度はある訳で。

「ああ、すまない……焦らすつもりはなかったんだが……」

　恥ずかしいから呼んだのだけれど。申し訳無さそうに微笑む先輩には、催促に聞こえたらしかった。甘さを含んだ声が降ってくる。

「待たせてしまったな……お詫びに、いっぱい甘やかしてあげるからな……」

　ベッドに体重をかけて鈍い音を鳴らしながら覆い被さり軽く口づけてくれてから、大きな手のひらが俺のものを包み込む。

　ねっとりとした音を鳴らしながら上下にゆったり扱かれてしまえば、指の腹で裏筋を優しく撫でられてしまえば、頭の中を占めていた気恥ずかしさなんて何処へやら。瞬く間に溺れていってしまう。

「あ、んぁ……いい……っ……あ、あっ……」

　自分の声帯から出ているとは思えない、媚びたような声を上げながら、強請るように自ら足を広げてしまう。

「シュン……」

　噛み締めるように先輩が俺を呼ぶ。

　閉じてしまっていた瞼を開ければ、熱を孕んだ視線と交わった。瞬間、下腹部に広がっていた甘い疼きが強くなった。

「う、ぁ……っ」

　目が合っただけでなんて……

　どうしようもないくらい、先輩のことが好きだからだ。蜂蜜色の瞳が欲に濡れている様を見てしまっただけで、この有り様。

　握ったシーツに爪を立て、足の指をびくりと伸ばして、俺は。

「もう、気持ちよくなってくれたんだな……」

「っ……はっ、は、ぁ……ん……ごめ、なさ……」

「大丈夫……可愛いよ……」

　うっとりと微笑んで、先輩は柔らかい唇で俺に触れてくれた。汗に濡れた額も、涙が滲んだ目元も構わずに。

　繰り返し送ってくれるキスが、曇りかけていた心を晴れやかにしてくれる。最後に唇を食んでくれてから、少し固い指先が俺の腰をするりと撫でた。

　言葉にされなくても手つきで分かった。続きをしてくれるんだって。

　期待通り、先輩は見慣れたボトルを手にしていた。キャップが開けられて、トロリとした中身が血管の浮き出たカッコいい手を濡らしていく。

　さっきまで、俺が鳴らしてしまっていたのと似ている粘ついた音が、先輩の手の中で鳴り続けて。

「シュン、触るぞ……」

「はい……」

　温くなった液体が、俺の穴を濡らしていった。