気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件～恋人ルート～

マッチョな先輩と恋人同士になった件（サルファールート）

★ だから、応えられたんだと思う

　今回ばかりは、分かったとも言われなかったし、微笑みかけてももらえなかった。

　指を絡めて繋がれた手を、シーツに縫い付けるように押さえつけられたかと思えば、強い快感に襲われた。勢いよくのしかかってきた先輩から、乳首を吸われていたのだ。

「い、ぁ……はぅ……っ」

　多分、この時点で軽くイってしまっていたと思う。でも、気づく余裕なんてある訳がなくて。ただチカチカと視界が瞬く中、俺は先輩の手を握り締めていたんだ。

　すぐに握り返してくれたけれど、先輩は止まらなかった。止めてやれないという事前の忠告通り、小刻みに震え続けている俺の身体を組み敷いたまま、さらなる心地よさを引き出そうとしている。

　とはいえ、すでに一度寸前まで高められていて、なおかつついさっきも到達しかけていたのだ。あっという間だった。

「んぅ……あ、あっ、あっ……ひ、っんん……ぅ……ぁ……」

　ふやけてしまってるんじゃないかってくらいに散々舌先で弄られていた先端に軽く歯を立てられて、今度こそ俺は呑まれていった。愛しい重みを感じながら首だけ仰け反らせて、腰を何度も震わせていたんだ。

　頭がくらくらしてしまうほどの甘い余韻。先輩の好きなようにしてもらえて、さらには望み通り胸だけでイけた喜び。

　幸せで仕方がないそれらのお陰で気分はプラスに保てていたけれど、恥ずかしさばかりは拭えない。だって、思いっきり下着の中に放ってしまったのだ。ただでさえ、その前に濡らしてしまっていたのに。

　股の間が熱く湿っている感覚は、まるで粗相をしてしまったかのような。少しずつ甘い感覚が薄れていくせいで、余計にその気持ち悪さばかりに意識が向いてしまう。いたたまれなくなってしまう。

「……可愛かったよ」

　絶妙なタイミングだった。

「俺の手を握ってくれながら、真っ赤な顔を蕩けさせて……本当に可愛かった……」

　喜びが滲み出ていた。熱い吐息混じりに囁く声からも、滲んだ目尻を拭ってくれる指先からも、額に頬にと口づけてくれる唇からも。

「愛してるよ、シュン……」

「……俺も……愛してます……」

　だから、応えられたんだと思う。

「あの……先輩……」

　だから、強請ることが出来たんだと思う。

「……今度は、下も……その……前も、後ろも……先輩の好きにして欲しいです……」

　色んな感情が、波紋のように広がっているみたいだった。

　優しい眼差しが大きく見開いて、逞しい肩がびくりと揺れて、尖った喉が上下して。

「…………君が、お願いしてくれたんだからな……？」

　噛みつくように口づけられた。俺がそそのかしたんだと、律儀に確認を取られてから。

　俺は、擦り寄ってくる唇を甘噛みすることで了承を伝えた。抱き締められた温もりから伝わってきた鼓動は、俺と同じくらい煩かった。