気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

文字の大きさ
上 下
190 / 507
マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)

特別なお揃い

しおりを挟む
「おい!シルヴィア!ベランダで何してるんだよ!体が冷えるぞ!」
そう言ってきたのは侯爵家の三男のオスカー・ブライスだ。

彼はルイスの親友だ。
学園生活では彼も一緒に4人で楽しんでた仲だった。
彼はちょっと言葉遣いが荒いとこがある。
なんでも小さい頃よく平民と絡んでたとか。
貴族としてはあるまじき行為だけど、前世の記憶がある私からしたら親しみやすい人だ。

「ええ、ごめんなさい。今入ろうと思ったとこよ。」

「ん?なんか顔色悪いぞ?大丈夫か?」

「大丈夫よ。さぁ早く中に入りましょう。」

「っちょ。押さなくてもいいだろ…!?」

「…」



彼も気付いてしまった。ルイス達が密会してることを…



「…中に入るぞ。」

「え、ええ」

オスカーと私は会場の中に入った。



________________

「はい…」

私達が会場の隅っこに到着した時、オスカーは私にハンカチを渡してくれた。

「涙の跡がある。これで拭いてろ。」

「え、ええ。ありがとう。」

私は渡されたハンカチで涙を拭いた。

「新しいハンカチを贈り返すわ。」

「いいよ。いらん。男として泣いてる女が居たら心配するのは当たり前だ。もしそれが知り合いなら余計な。」

「あら、嫌だわ。私は恩をちゃんと返す人よ。お礼をさせてちょうだい。」

「ふ、そうだったな。じゃあ楽しみにしとく。」

「ええ。そうして。」

「…」

「…」

話が続くこと無く、2人は無言になってしまった。

(やっぱり話さないといけないのかしら…。オスカーは頑固だから、話逸らしても意味ないわね…)


「何か飲み物持ってくる。」

「え、いえ、大丈夫よ。要らないわ。」

「いや!持ってくる。」

そう言ったオスカーはさっさと飲み物が置かれてるテーブルに行った。

(ちょっとでも落ち着かせる為に持ってきてくれるのかしら?)


「はい。飲み物」

「え、ええ。ありがとう。」

オスカーは飲み物をくれた。


私達は淡々と飲み物を飲んでた。ちょうど飲み物を飲み終わった時、オスカーが話を切り出した。



「で、どうするんだ?」

「え?」

「ルイスの事だよ。まさか噂は本当とはな。」

「…」

「復讐でもするのか?」

「え…」


復讐なんて考えても見なかった。
これから私はどう生きようかで頭がいっぱいだった。


(自分のことしか考えられないなんて… 私って薄情ね。)


「いいえ、しないわ。」

「は!? 悔しくないのかよ!」

「あら、オスカー。あなた一応ルイスの親友でしょ?ルイスの身を案じないの?」

「それとこれは違うだろ!この件は完全にルイスが悪い。」

「復讐はしないわ。だって意味ないもの。」


そう。復讐は意味ない。復讐はただ行き場のない気持ちを何かに当たって気を晴らす行為。ただの八つ当たりで、自己満足だ。時間の無駄に過ぎない。


「でもちゃんと責任は取らせるわ。」

「ほう。」

「心配してくれてありがとう。」

「!? べ、別にこんぐらい大したことねぇよ。俺ら友達だろ?」

「ふふ、そうね。」


(オスカーと喋ってたらしょんぼりしてた気持ちが薄れてきたわ。)

そう思いながら会場を見渡した。会場は私とは反して煌びやかで賑やかだった。



「あ、あのさ「オスカー、私、ルイスと婚約破棄しようと思うの。」」

「へ?」

「私とルイスは政略結婚だけど、信用できないパートナーと一生一緒に生きれるとは思わないの。」

そう貴族の結婚は信頼で成り立ってる。だって信頼出来ない人と事業なんて出来ないでしょ?


「だから私、パーティの途中だけど帰ろうと思うの。」


そう私の未来の為に決断しないと。その為に色々準備が必要ね。

「…ああ。それがいい。だが、何かする前に休めよ。顔色が悪いぞ。」

「あら、レディに対して失礼よ。」

「準備万端の時に戦った方がいいだろ。お前の為に言ってるんだ。」

「別に戦いに行くんじゃないのよ。話し合いをするのよ。」

「それは余計に頭を使いそうだな。やっぱり休息は今のお前には必要だな。」

「ふふ。そうね。」


オスカーは心配性ね。まだ友人は捨てたもんじゃないわね。


「…シルヴィア、忘れるなよ。」

「ん?何をかしら?」

「俺は何があってもお前の味方だ。」

「…。ふふ。その口説き文句は好きな人に言うべきよ。」

「!? い、いや、俺は別にく、口説く為に言ったわ、わけじゃない!」


(ふふ。でもありがとうオスカー。今の私にとってその言葉は救いだわ。本当に感謝するわ。ありがとう。)


「じゃあ、行ってきます。」

「おう、頑張れ。」


そして私はパーティ会場から出た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

ド平凡な俺が全員美形な四兄弟からなぜか愛され…執着されているらしい

パイ生地製作委員会
BL
それぞれ別ベクトルの執着攻め4人×平凡受け ★一言でも感想・質問嬉しいです:https://marshmallow-qa.com/8wk9xo87onpix02?t=dlOeZc&utm_medium=url_text&utm_source=promotion 更新報告用のX(Twitter)をフォローすると作品更新に早く気づけて便利です X(旧Twitter): https://twitter.com/piedough_bl

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...