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マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)
……好きなのは、俺の胸板だけか?
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ふと目を開ければ、ぼんやりとした視界いっぱいに映る端正な顔。金糸のようにキレイな睫毛を伏せ、健やかな寝息を立てている先輩のあどけない顔、形の良い唇。
朝から心臓に悪い。悪過ぎる。お陰で、目は一発で覚めたけれどさ。
それにしても、無意識下の欲求とは凄まじいものだ。なんせ俺は眠りながら、先輩の逞しい雄っぱいを揉んでしまっていたみたいだからな。
みたい、と思ったのは俺が掴んでいたからだ。鍛え上げられた筋肉で盛り上がった胸板を。どうりで。手のひらに柔らかい温度を感じるなと。
おそらく俺に好き勝手にされていただろうに。先輩は、いまだ夢の中。口元を柔らかく綻ばせたまま、目を固く閉じている。
「……サルファー先輩」
呼びかけても返事はない。ぐっすりなようだ。
「……サルファー」
試しにもう一度。せっかく寝ているのだからと、呼び捨てで呼んでみた。けれども返事はない。
少し瞼がぴくりと動いた気もしたが……気のせいだったらしい。すう、すうと規則正しい寝息を繰り返している。
目の前には、すっかり俺に気を許した様子で眠っている恋人。しかも、深い眠りについているのか、呼んだくらいでは起きない。
更には、昨日の先輩の言葉。好きなだけ触ってもらって構わないぞと。抱きついてくれて嬉しかったと。それらが揃ってしまった今、悪戯心が湧かない方が、難しい訳で。
「……失礼します」
吸い寄せられるように俺は、分厚い胸板に顔を埋めてしまっていた。頬を擦り寄せ、手のひらで揉みながら、その柔らかさとハリのある肉感を堪能してしまっていたんだ。
「あぁー……やっぱりスゴい……ふにふにしてるのにムチムチしてて……良い匂いもする……カッコいい……好き……」
「……好きなのは、俺の胸板だけか?」
「へ……?」
聞こえてくるハズがない柔らかい声からの問いかけに、俺の肩は面白いくらいに跳ねていた。恐る恐る顔を離し、見上げる様は、錆びついたロボットのようにぎこちなかったに違いない。
聞き間違いであって欲しかった。けれども、先程の問いかけは、やはり先輩だったらしい。しっかりと開いた黄色の瞳が、俺をじっと見つめている。それも、何だか寂しそう。
「せ、先輩……いつから、起きて……」
「さっきな……そんなことより、どうなんだ?」
「え?」
「シュンは……俺の胸板だけが、好きなのか?」
静かに問いかけて先輩は瞳を伏せた。少し固い手のひらが、俺の手に重なる。
絡められた太い指が、俺の指に擦り寄ってくる。至るところに刻まれた剣ダコが、俺の指横にするりと触れた。
「そ、そんな訳……全部好きに決まってるじゃないですか! 爽やかな笑顔は素敵だし……皆よりも上達が遅い俺のことも……ちゃんと褒めてくれるし、励ましてくれるし……先輩の大きな手で撫でてもらえると、俺、目茶苦茶元気でるんですっ、明日の鍛錬も頑張ろうって…………先輩?」
いつの間にか、俯く先輩の頬が赤く染まっている。耳もだ。無我夢中で捲し立てていたから気がつかなかった。
「……もしかして、照れてます?」
自分から俺に振っといて?
「ま、まさか、こんなに言ってくれるとは思わなかったんだ……普通に好きですよって言ってもらえるものだと……」
照れていたらしい。空いている方の手で、指通りの良さそうな髪を、後頭部をわしわし掻き混ぜている。
にしても、そんなに可愛らしい期待をしてくれていたのなら、応えなければ。いや、是非とも応えたい。
「……普段は頼もしくてカッコいいのに、すぐに照れちゃう先輩も可愛くて好きですよ」
繋いだ手を握りながら伝えてみる。先輩が俺に囁いてくれている時みたく、少しトーンを低くして。
「ぐ、ぅ……シュン……っ」
幅広の肩を震わせた先輩は、首まで真っ赤っ赤。けれども喜んでくれているのか、カッコいい口元はふにゃりと緩んでいる。
胸を満たしていく不思議な高揚感に、気持ちがふわふわする。しかし、俺のターンはここまでだったようで。
「ふふ、やっぱり可愛いです……大好き、んっ」
あっさりと形勢逆転されてしまった。啄むように数回口づけられただけで、俺は余裕をなくしてしまっていたのだ。
朝から心臓に悪い。悪過ぎる。お陰で、目は一発で覚めたけれどさ。
それにしても、無意識下の欲求とは凄まじいものだ。なんせ俺は眠りながら、先輩の逞しい雄っぱいを揉んでしまっていたみたいだからな。
みたい、と思ったのは俺が掴んでいたからだ。鍛え上げられた筋肉で盛り上がった胸板を。どうりで。手のひらに柔らかい温度を感じるなと。
おそらく俺に好き勝手にされていただろうに。先輩は、いまだ夢の中。口元を柔らかく綻ばせたまま、目を固く閉じている。
「……サルファー先輩」
呼びかけても返事はない。ぐっすりなようだ。
「……サルファー」
試しにもう一度。せっかく寝ているのだからと、呼び捨てで呼んでみた。けれども返事はない。
少し瞼がぴくりと動いた気もしたが……気のせいだったらしい。すう、すうと規則正しい寝息を繰り返している。
目の前には、すっかり俺に気を許した様子で眠っている恋人。しかも、深い眠りについているのか、呼んだくらいでは起きない。
更には、昨日の先輩の言葉。好きなだけ触ってもらって構わないぞと。抱きついてくれて嬉しかったと。それらが揃ってしまった今、悪戯心が湧かない方が、難しい訳で。
「……失礼します」
吸い寄せられるように俺は、分厚い胸板に顔を埋めてしまっていた。頬を擦り寄せ、手のひらで揉みながら、その柔らかさとハリのある肉感を堪能してしまっていたんだ。
「あぁー……やっぱりスゴい……ふにふにしてるのにムチムチしてて……良い匂いもする……カッコいい……好き……」
「……好きなのは、俺の胸板だけか?」
「へ……?」
聞こえてくるハズがない柔らかい声からの問いかけに、俺の肩は面白いくらいに跳ねていた。恐る恐る顔を離し、見上げる様は、錆びついたロボットのようにぎこちなかったに違いない。
聞き間違いであって欲しかった。けれども、先程の問いかけは、やはり先輩だったらしい。しっかりと開いた黄色の瞳が、俺をじっと見つめている。それも、何だか寂しそう。
「せ、先輩……いつから、起きて……」
「さっきな……そんなことより、どうなんだ?」
「え?」
「シュンは……俺の胸板だけが、好きなのか?」
静かに問いかけて先輩は瞳を伏せた。少し固い手のひらが、俺の手に重なる。
絡められた太い指が、俺の指に擦り寄ってくる。至るところに刻まれた剣ダコが、俺の指横にするりと触れた。
「そ、そんな訳……全部好きに決まってるじゃないですか! 爽やかな笑顔は素敵だし……皆よりも上達が遅い俺のことも……ちゃんと褒めてくれるし、励ましてくれるし……先輩の大きな手で撫でてもらえると、俺、目茶苦茶元気でるんですっ、明日の鍛錬も頑張ろうって…………先輩?」
いつの間にか、俯く先輩の頬が赤く染まっている。耳もだ。無我夢中で捲し立てていたから気がつかなかった。
「……もしかして、照れてます?」
自分から俺に振っといて?
「ま、まさか、こんなに言ってくれるとは思わなかったんだ……普通に好きですよって言ってもらえるものだと……」
照れていたらしい。空いている方の手で、指通りの良さそうな髪を、後頭部をわしわし掻き混ぜている。
にしても、そんなに可愛らしい期待をしてくれていたのなら、応えなければ。いや、是非とも応えたい。
「……普段は頼もしくてカッコいいのに、すぐに照れちゃう先輩も可愛くて好きですよ」
繋いだ手を握りながら伝えてみる。先輩が俺に囁いてくれている時みたく、少しトーンを低くして。
「ぐ、ぅ……シュン……っ」
幅広の肩を震わせた先輩は、首まで真っ赤っ赤。けれども喜んでくれているのか、カッコいい口元はふにゃりと緩んでいる。
胸を満たしていく不思議な高揚感に、気持ちがふわふわする。しかし、俺のターンはここまでだったようで。
「ふふ、やっぱり可愛いです……大好き、んっ」
あっさりと形勢逆転されてしまった。啄むように数回口づけられただけで、俺は余裕をなくしてしまっていたのだ。
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