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マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)

とことん甘やかされて

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 ……身体が重い。でも、温かい。全身が心地の良い温もりに包まれている。

 布団にしては、ふわふわではない。どちらかといえば、むっちりとした肉感があるような。柔らかさの中にも弾力があるような。

 とはいえ、心地が良いことには変わりない。俺は、寄り添うようにくっついてくれているそれに抱きついた。両腕を回し、両足を絡めて抱きついた。

 途端に、それがクスクスと笑い出す。僅かに震え出す。不思議に思って目を開ければ、視界いっぱいに鍛え上げられた雄っぱいが。頭の上から、申し訳なさそうな、嬉しそうな声が降ってくる。

「ふふ、すまない……起こしてしまったな」

 見上げれば、擽ったそうに微笑むサルファー先輩がいた。

「サルファー……先輩……?」

「ああ、君のサルファーだよ……シュン」

 太い指先が俺の頭を撫でてから、乱れていた髪の毛を耳にかけ、頬を撫でる。少し固い指先は、そのまま俺の輪郭を撫でるようにするりと下りていき、顎へと辿り着いた。

「寝惚けている君も、可愛いな……」

 微笑む瞳も、囁く声も甘かった。だからだろうか、触れ合った柔い唇すら甘く感じてしまう。

 嬉しくて、俺からもと、先輩の引き締まった首に腕を回そうとして気づく。

 もう俺の腕が、先輩の広い背にしがみついていたことに。くびれた先輩の腰を抱き寄せるように、両足を回してしまっていたことに。

「あ……」

「……ん? どうした? 深いキスの方が、良かったのか?」

「ふぇっ……いや、ちが……じゃなくて、それはそれで嬉しいですけど……そうじゃ、なくてですね……」

 どう説明したもんか。慌てる俺を不思議そうに見ていた先輩が不意に「ああ」と納得したような声を上げる。

「もしかして……眠っている最中に抱きついてきてくれたことか? そんなこと気にしなくていいのに……」

 今度は額や頬にキスをくれながら「嬉しかったよ……可愛い君も見れたからな」とまたしても、俺が浮かれそうなことを言ってくれる。いや、もう大分浮かれちゃってるけどさ。

「ところで……身体は大丈夫か? どこか痛むところはないか?」

「大丈夫です。どこも痛くはありません……先輩が、優しくしてくれたから……」

「そ、そうか……それは……良かった……」

 目の前にある頬がぽぽぽと赤く染まっていく。心配そうな眼差しに照れが滲んでいく。

 実際、俺は痛みを感じてはいなかった。致してもらっていた最中も今も。

 そりゃあ、疲れてはいる。けれども、心地の良い疲れだ。いっぱい遊んだ後のような、スポーツで楽しく汗を流した後のような、そんな疲労感。

「……何か、飲むか? 眠いなら、このまま朝まで眠っていていいぞ」

 俺の頭を撫でてくれる先輩の顔はまだ赤い。水分よりも可愛い彼にくっついていたかったが……言われてみれば、喉が酷く乾いている。

 気づいた途端に強くなっていく乾きに、俺は渋々抱きついている両手足を緩めた。

「お水、欲しいです……」

「分かった。ちょっと待っていてくれ」

 先輩は俺の額に口づけてから、ベッドを降りていく。最早、勝手知ったるといった具合で電気を点け、冷蔵庫を探ってから俺のところへ帰ってきた。

 ペットボトルをベッドサイドに置いてから、ベッドへと上がってくる。

「お待たせ、起き上がれるか?」

 はいも、いいえも言っていないのだが。尋ねながら先輩は、その太い腕を俺の背に、腰に回していた。もう抱き上げる気満々だ。

「……抱っこして欲しいです」

「ああ、いいぞっ」

 黄色の瞳が煌めいて、嬉しそうに細められる。せっかくだからと俺は、とことん甘えることにした。

「……先輩、水飲んだら……また……キス、してもらえませんか? 今度は、その……深いのを……」

「ふふ、いいぞ……いっぱいしてあげるからな……甘えたな君も可愛いな……」

 約束通りにいっぱいしてもらいながら、先輩の逞しい腕に抱かれながら、俺はいつしか心地の良い眠りについていた。
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