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マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)

★ ……やっぱり、まだ君は分かっていないな

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 分厚い手のひらが、剣ダコのついた太い指が、たっぷりと絡ませた透明な液体によって、ぬらぬら光って見える。

 反対の手で持っていたボトルをベッドの端に置いてから、先輩は濡れていない手で俺の膝に触れた。

「一応、俺の手で温めてみたが……それでも冷たかったら、すまない……」

「……だ、大丈夫ですよ……冷たいくらい……気にしないで下さい……」

 ホントに冷たいくらいなら、どうってことない。今からすることに比べたら。先輩の前で、立てている膝を抱えて、自分からお尻の穴をさらす恥ずかしさに比べたら。



 じゃあ、早速準備をという段になって、俺は先輩に問われた。

「する際の……君の体勢のことなんだが……うつ伏せと仰向け、どちらが良いか?」

 因みにと前置きをしてから先輩は「君の身体に負担がかからないのは、うつ伏せらしいんだが」と付け加えた。

「うーん……うつ伏せだと……先輩の顔、見れないですよね……」

 筋肉に覆われた頼もしい肩を跳ねさせ、先輩が目を見開く。驚いたらしかった。

 まさか、自分のことを判断基準にされるとは思っていなかったんだろう。俺にとっては、最重要事項なんだけどな。

「あ、ああ……そう、だな。寝そべって……腰を高く上げておいてもらうことになるからな……」

 先輩の声は、少しだけ震えていた。太い指で真っ赤になった頬を掻きながら、長い睫毛を伏せている。

「じゃあ、仰向けがいいです。先輩の顔が見えてた方が安心できるし……それに……」

「……それに、なんだ?」

「……し、して欲しい時に……キス……してもらえるじゃないですか……」

「ぐ、ぅっ……本当に君は……」

 目を輝かせながら、前のめりに聞かれたから答えたのに。

 唸りながら先輩は、シャツの胸元を握り締めている。服に寄ったシワと同じくらいの濃いシワが、先輩の眉間に刻まれていた。

「……したくなったら、すぐに言ってくれ……キス以外のこともな……」

「はいっ」

「それから、絶対に無理はしないでくれ。痛くなくても、怖かったり、気持ち悪かったりしたら、ちゃんと俺に言うんだぞ?」

「…………はい」

 舞い上がっていた気分が急激に落ちていく。

 だって、先輩は優しいから。言ったが最後、止めてしまうだろう。いくら俺がしたくても、絶対に。

 バレないように、我慢しなくちゃな……

 密かに決意したことも、先輩には勘づかれていたようだった。温かい手が、俺の肩を優しく掴んだ。

「なぁ、シュン……俺達のペースでやるんだろう? 別に、今日が駄目でも次がある。言っておくが……何があっても俺は諦めない。どんなに時間がかかっても、必ず君のことを抱くからな」

「……サルファー先輩」

「だから、何かあったら、ちゃんと俺に教えてくれ。些細なことでもな。いいな?」

「はいっ」



 ほんの少し前、元気よく頷いてしまったのを、俺は今、少しだけ後悔している。

「シュン……言っただろう? 何かあったら教えてくれって……」

 先輩の視線が、ローションから俺に向いてすぐだった。勘づかれてしまった。

 先輩は、寂しそうに瞳を細めている。俺の言葉次第では止めるつもりなのだろう。すでにその手は、ティッシュへと伸びようとしていた。早く誤解を解かなければ。

「怖くないですっ、怖くはないんですけど……ただ……」

 先輩の手が止まる。代わりに俺の手を優しく握ってくれた。

「……恥ずかしくて……先輩に俺の汚いところ、見られちゃうの……それで、もし……先輩に引かれちゃったら……俺」

「……やっぱり、まだ君は分かっていないな」

「……え?」

「……ほら」

 手を離されたかと思えば、片手で軽々と抱き起こされた。正座をしていた先輩は足を崩し、その逞しい太ももを大きく開く。

 頭の芯まで響いて聞こえた。心臓が、大きく高鳴る音が。

「……勃って、ますね……先輩の……」

 しかも、触らせてもらった時よりも、大きいような。

 気がつけば、俺は吸い寄せられるように近づき、身を寄せていた。

 窮屈そうなくらいに、内側からズボンを押し上げている先輩の雄。大きく盛り上がっているそこに、図々しくも触れてしまっていたのだ。
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