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マッチョな先輩と恋人同士になった件(サルファールート)

★ 準備って……俺を抱いてくれる為の、ですか?

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 黄色の瞳が泳いでいる。形の良い唇が、小さく開いては「あー……」だの「うー……」だの、言葉になっていない声を漏らしている。なんか、目茶苦茶言いにくそう。

 準備……準備か。いや、でも触りたいとも言ってたっけ。ああ、もしかして。

「……サルファー先輩」

「な、なんだ?」

「……準備って……俺を抱いてくれる為の、ですか? ……それで、触りたいのって…………俺の、お尻の……」

「…………ああ」

 消え入りそうな声だった。筋肉で盛り上がった肩をビクリと跳ねさせ、先輩は赤く染まりかけている首を縦に振った。

 大きな手で、指通りの良さそうな黄色の髪をかき混ぜるように後頭部を掻きながら、ポツポツと話し始める。

「……自分で言うのも何だが……俺のは……その……デカい、だろう?」

「はい……スゴく大きかったです……」

 まだ、ちゃんと見せてもらってはいないけど。ズボン越しに触らせてもらっただけでも、俺のよりも太くて、長くて。

「……っ」

 出したばかりなのに、疼いてしまった。

 思い出しただけなのに。指先で触れた、あの熱を、硬さを。先輩が、俺で、あんなに興奮してくれていたという事実を。

 幸い、先輩には勘づかれてはいないようだった。

「……だから、ちゃんと……慣らしていかないと……」

 気恥ずかしそうに睫毛を伏せ、自分の髪をかけ混ぜる手を更にワシャワシャと早めながら話し続けている。今の内に、心もとない下半身を隠さなければ。

 しかし、掛け布団は俺の下。脱がされて、足首に引っかかっていたパンツとズボンは、いつの間にやらベッドの端から落ちかけている。

 仕方ない。捲くられたままのTシャツを、静かに限界まで下げて、熱を持ち始めているあそこを隠した。

「……今から準備をしていかないと……君を、傷つけてしまう……優しく抱くことが、出来ないだろう?」

「……そう、ですね……」

「……だろう? だから、君が嫌ではなければ……俺に準備を手伝わ」

 急に先輩が言葉を切った。不思議に思い、見上げてからすぐだった。

「んっ……ん、ふ、ぅ……」

 視界いっぱいに先輩のカッコいい顔があって、熱くて柔らかい唇が口に触れていて。

「……君は……本当に俺を煽るのが上手いな……」

 上唇を甘く食まれた後に、遠回しに指摘されてしまった。

 言葉だけでなく、行動でも。俺が懸命に引き下ろしていたシャツを、あっさりと捲られてしまったのだ。晒されてしまった。熱のこもった先輩の瞳の前に、反応しかけている俺のものが。

「……これは、その……」

「……気にしなくていい……感じやすい君も、とても可愛いよ……」

「……う……ありがとう、ございます……」

 頭を優しく撫でてくれて、頬に口づけてくれてから先輩は「少し待っててくれ」と俺の上から退いていった。

 ベッドを降りて、壁際に置かれたバッグの中身を探っていたかと思えば、いそいそと俺の元に戻ってくる。

 再びベッドに上がった先輩の手には、キャップのついたボトルが握られていた。見た目の形は、小さめの食器用洗剤のような、でもデザイン的にはシャンプーとかボディーソープのような。

 とにかく見ただけでは中身が分からない。それを持ってきた、先輩の意図も。

「……なんですか? それ」

「ローションだ」

 どこか得意気に口端を持ち上げ、先輩は手にしたボトルを俺に見せつけてきた。

 でも、まだピンと来ていなかった俺は、聞いた単語をそのまま返してしまっていた。

「……ろーしょん……?」

「ああ、しっかり濡らしてから触らないと……ただでさえ、傷つきやすいデリケートな場所だろう? 万が一にも、君に痛い思いはさせたくないからな」

 濡らしてから、触る……じゃないと、俺が痛い思いを。

 やっと線で繋がった。ボトルを持ってくる前に話していたことと、目の前にあるローションとが。

「あ、え……? てことは、今からしてくれるんですか? 準備……」

 俺が言える立場ではないが、先輩も今更気づいたらしかった。

 頬を染め、端正な顔を恥ずかしそうにくしゃりと歪めながら、慌ててローションを頼もしい背に隠す。

「あ、ああ……君が、その……き、期待して……くれていたみたいだったから……嫌ではないかと、思っていたんだが……」

 背筋を伸ばし、正座をする先輩。彼の神妙な雰囲気に俺も釣られたんだろう。起き上がり、居住まいを正していた。
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